土地家屋調査士法人共立パートナーズ

「境界の確認方法の種類について」

18.09.25
オリジナル記事
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こんにちは。共立測量登記事務所 横浜支店の濱中です。

久しぶりのメルマガ担当です。

 

今回は私どもが取り扱う業務の中で
大変重要な境界の決め方(協議)について少し書きたいと思います。

 ①民民(私人)間での境界協議

  弊社で取り扱う事案の一番スタンダードな業務です。

  既存の境界標・現地状況・法務局保管の資料などに基づき協議を進めていくケースです。

  既存境界標もなく、図面などの資料がない場合は
  地図・地図に準ずる図面における筆界記載を参考にして相互協議で決めていきます

  
  (厳密には所有権界になるかと思います。
   所有権界と筆界の違いについては以前弊社代表がメルマガで記事にしていたので、
   ご参照ください。)
   
  なお訴訟上の和解や調停も取り扱いは民民間協議と同じです。
  

 ②ADR

  「訴訟手続きによらずに民事上の紛争を解決しようとする紛争当事者のため、
   公正な第三者が関与してその解決を図る手続き」の総称です。

  こちらはいろいろな制約があるのでまたの機会に書いてみたいと思います。

 ③公有地の境界確定協議

  一般的に多いのは公道との境界になります

  民有地間に境界が存在するように公有地との間にも境界が存在します。

  特に分筆などの登記を行うための境界確定業務を行う場合には
  関係する土地境界の全てにおいて確認を行う必要があります。

  土地の所在地を管轄する役所によって若干の取り扱いの違いはありますが、
  基本的には区役所や土木事務所への確定申請を行い市区町村との協議を行います。

  道路の境界の場合は道路として公示された際の認定幅員という
  道路の幅が決まっているケースが多く、道路を挟んだ反対側の土地の所有者にも
  境界の立会をお願いする場合が多いので通常よりも時間を要します。

  また公有地も市区町村だけではなく国有財産の場合もありますので、
  その場合はまた手続きが異なるケースがあります。

 ④筆界特定制度

  こちらも以前弊社代表が記事に書かせていただいているので詳細は
  割愛させていただきますが、
  これまで私人間で境界に異議がでた際は訴訟において解決を図るという
  手段しかなかったのに対し、

  登記を管轄する法務局の主導により筆界の公的な認定判断制度として発足した手続き
  になります。
  
  訴訟を行うと時間・費用が余計に掛かってしまうのに対し、
  筆界特定制度を利用することにより迅速に解決を図ることを目的としています。

 (ケースにもよるようですが、当初は1年・2年はかかっていたようですが
  現在は期間短縮してきているようです)

 ⑤境界に関する裁判

  隣接する所有者相互間の境界紛争が発生してしまった場合の解決手続きとしては
  「所有権確認訴訟」「境界確定訴訟」があります。

 ・所有権確認訴訟→ 土地所有権の及ぶ範囲(所有権界)を確認するものです。

           筆界を確認する手続きではありません。
           先に述べたADRとの連携もあるようです。
           抗力としては私人間で決めた境界と同様です。

 ・境界確定訴訟 → 原始筆界を確認または形成するものです。
           不明な筆界であっても筆界として裁判所により筆界が引かれます。
           一方、筆界は私人間の同意で決まられない性質から
           和解手続きはありません。        

  ⑥地積調査

   筆界の起源は地租改正事業と言われていますが、
   これは税徴収を目的とした一筆地の把握を目的としたものでした。

   その後明治初期以降の国土保全の地図作成という観点から始まった事業と変わり、    

   第二次大戦後、国土の正確な把握として国土調査法が制定され現在に至っています。

   こちらは協議とは違いますが、近年実施されている地積成果は
   その性質上復元性が高いことから境界確認手続きには有効な資料となります

  

 以上のように境界の協議・確認方法はその状況に合わせて制度が用意されております。
 公法上の筆界として認められるもの、そうでないものもあり中々理解しにくい部分です。

 複雑な事案の時は一度ご相談いただけると嬉しいです。

 

 私自身が来なるテーマでしたので長々と書いてしまいましたが、
 皆様も知りたいテーマがあればどんどんリクエストいただけると幸いです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

共立測量登記事務所 濱中