分筆登記が難しくなったのは本当か
土地家屋調査士の横田教和です。
今回は、最近、不動産業界の方よりしばしば質問を受ける事が多いので、
テーマにしてみたいと思います。
「分筆登記が難しくなったのは本当か?」
Question
お隣の土地を一部買わせてもらうことになったので、
近くの土地家屋調査士さんに相談に行ったところ、
土地の分筆登記は不動産登記法の改正で手続きがちょっと複雑になったと言われてしまいました。
それは本当ですか?
Answer (平成17年10月14日現在の情報です)
結論から言いますと「複雑になった」と言うより、「厳密に申請しなければならなくなった」
という方が正しいようです。
不動産登記を管理している法務局サイドとしては、国民の不動産を守るためには、
1)正確な地図の整備
2)土地の形の正確性を確保
の2点が必要だと考えています。
そのため、分筆登記をする際に法務局へ提供する土地の地積測量図は、
原則として分筆後の土地の全てについて
1)地積(土地の面積)の求積方法
2)筆界点間の距離
3)筆界点の座標値
を明らかにしなければならなくなりました。
ここでの、「全ての土地の地積を求めなければならない」という縛りがポイントになります。
もし分筆前の地積と分筆後の地積の差が誤差の限度を超えるときには、
「地積の更正の登記」の申請をしてからでなければ分筆登記をすることができなくなってしまったのです。
改正前の不動産登記法では、分筆される側の土地だけ地積の求積を行い、残りの土地については、
便宜上、登記簿に記載されている面積から分筆する土地の面積を差し引いて登記申請することができたので、
地積更正登記をすることなく分筆登記をすることができました。
今回の不動産登記法の改正で地積更正登記をしなければならない可能性がでてきたことを考えると
申請人への費用負担が大きくなったと言えます。
しかし、従前の方法を続けていると、分筆される側の土地は正確な地積で登記されますが、
残る土地の誤差は大きくなり、全体として地図や地積測量図等の正確性が悪くなる可能性がありました。
今回の改正からは、手続き上の簡便さを求めるより
1)正確な地図の整備
2)土地の形の正確性を確保
を優先することで、土地所有者の不動産を守り、未然に土地筆界紛争を防止しようという法務局サイドの強い意志を感じます。
「自己の不動産を守る」為の努力たるもの大変なものです。
本日も最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
土地家屋調査士法人 共立測量登記事務所
代表 横田教和