土地家屋調査士法人共立パートナーズ

「筆界特定制度」とは

17.08.17
オリジナル記事
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土地家屋調査士の横田教和です。

 

今回は、「筆界特定制度」と「筆界特定の標準処理期間」について、書きたいと思います。

 

【Question】

筆界特定制度とは、どのような制度で、いつから始まったのでしょうか?



【Answer】

筆界特定制度(ひつかいとくていせいど)とは、土地の所有権の登記名義人などの申請に基づいて、
法務局の専門の登記官が必要な調査を行い、外部専門家の意見を参考にしながら、現地の筆界の位置を特定する制度
です。

 

これは、土地の境界をめぐる紛争があった場合、この制度を活用するために法務局に申請すると、
筆界特定登記官という専門の登記官や、土地家屋調査士などの外部の専門家が、
関係する土地をいろいろ調べて筆界をはっきり(特定)させてくれる制度ということです。

 

このように、裁判に頼らずとも隣人同士の境界紛争を早期に解決できる画期的な制度が、
平成18年1月20日より施行されました。

 

また、この制度の代理人として業務を行える資格者はすべての土地家屋調査士が該当することになりました。

続いて、筆界特定の標準処理期間 についてお話させていただきます。

 

【Question】

筆界特定の標準処理期間について教えて下さい。


【Answer】

筆界特定制度創設の背景には、筆界確定訴訟(平均審理期間が2年程度)と比較して、
より迅速な手続き
が求められています。

筆界特定制度での標準処理期間は、通常の事件であれば8ヵ月程度が目安で、長くても1年程度

一般的ですが、事案の複雑性、困難性、関係者の数、各地域の気候条件が加わると、
やはりケースバイケースとなります。

 

各法務局において、これらの事情や事件数をもとに無理のない期間を設定するよう努力していますが、
例えば、積雪の多い地域では冬期間の測量や現地調査が非情に困難となりますので、
このような地域について3ヵ月程度長めの期間を設定しているようです。

 

いずれにしても各地域の実情に合わせて標準処理期間を設定しざるを得ないことが考えられます。

筆界特定申請後の手続きの流れと、概ねの所要期間は次のとおりです。


(1)筆界特定申請

     ⇓
(2)申請書の審査・資料収集等 ----(概ね2ヵ月)  
     ⇓  
(3)申請があった旨の公告・通知 ----(概ね3ヵ月)    
     ⇓ 
(4)筆界調査委員の指定
     ⇓ 
(5)現況等把握調査 ----(概ね4ヵ月)
     ⇓ 
(6)論点整理
     ⇓ 
(7)手続き費用の予納
     ⇓ 
(8)測量等の発注
     ⇓ 
(9)特定調査 ----(概ね4~6ヵ月)
     ⇓
(10)意見聴取等の期日の実施
     ⇓
(11)筆界特定委員の意見提出
     ⇓
(12)筆界特定 ----(概ね6~9ヵ月)
     ⇓
(13)筆界特定をした旨の公告・通知

参考図書:「筆界特定完全実務ハンドブック」弁護士鈴木仁史著日本法令


筆界特定制度は平成18年1月20日の施行後、予想以上の申請件数があるそうで、現在の筆界調査委員では
業務量に追いつかず、急遽大幅増員する法務局も出てきています。

 

その他「筆界特定制度」「筆界特定の標準処理期間」についてお知りになりたい場合には、
弊社までおたずねください。

 

本日も最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。

 

 

 

土地家屋調査士法人 共立測量登記事務所 

 

代表 横田教和