第11回 商標制度とは 3 -クリスチャンルブタン事件-
「クリスチャンルブタン事件」について語っております。
クリスチャンルブタンの商標に関しては、特許庁は、「色彩のみからなる商標」に関する「商標審査基準」(特許庁が作成した商標法適用に関する内規)に基づいて審査を行っており、特に、意図的、政策的な審査が行われた、というものではありません。特許庁は、商標審査基準において、「色彩のみの商標」については「複数の色彩のみからなる商標」に関しては、識別力を容認するが、「単一の色彩のみからなる商標」に関しては識別力を認めない」旨を規定しております(商標法第3条第1項第6号)。従って、この拒絶理由を受けた場合には、出願人として、登録を獲得するためには「使用による識別力の発生」を立証することが必要となります。
ルブタン社の「レッドソール」出願に関しては、この審査基準どおりに審査され、拒絶理由通知、拒絶査定となっております。もちろん、出願人は意見書を提出して反論をしているのですがあまり有効な反論ではありませんでした。
本来、「使用による識別力の発生」を立証する場合には、販売量、販売額、広告宣伝費、雑誌、新聞への掲載回数、テレビでの広告回数等の立証が必要ですが、ルブタン社は「サンプルトラフィッキング」(セレブ、女優等が使用し、それがウェブ、雑誌等に掲載される)という手法を採っており、積極的な宣伝広告は行っておりません。従って、ルブタン社は余り有効な使用証拠を提出することができませんでした。
その結果、拒絶査定に対して不服審判を請求し、審判でも戦ったのですが、残念ながら審決却下になり、特許庁での登録、権利化は不可能でした。ルブタン社は現在、審決を不服として知財高裁に提訴しましたが、知財高裁でも敗訴しております。
なお、「色彩のみからなる商標」に関しては、特許庁は一貫して「単一の色彩のみからなる商標」の登録は認めておりません。現在、件の「色彩のみからなる商標」が登録されておりますが、全て複数色の商標で、例えば、セブンイレブンの店舗の入り口の軒部分にあるオレンジ、白、緑、赤の看板、トンボ鉛筆の青色黒の消しゴムのカバーの模様、三井住友フィナンシャルグループの緑、黄緑のマーク等があります。
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