至誠国際特許事務所

第9回:商標制度とは? -2-

23.04.21
中小企業支援弁理士木村の知的財産フリートーク

 今回は商標登録制度の内容をお話します。

 先ず、商標は、実際に商品、サービスに対して使用されることにより保護価値が発生します。即ち、業務上の信用です。

 例えば、TOYOTAとい商標が付された車を見れば、「トヨタ自動車が作ったのだから性能も耐久性もよいだろう、私も乗ってみたいな」というイメージを抱きます。

 これが業務上の信用
です。この業務上の信用は一朝一夕には生まれません。長年にわたるトヨタ社の、良い車を作り続けた企業努力によるものです。

 発明は元々新しいもので、発明そのものに保護価値がありますが、商標そのものは文字、図形等の組み合わせであり、商標そのものには保護価値はありません。あくまでも長年の企業努力による会社への信用、評判がその商標に化体することにより保護価値が出てきます

 そうであるがゆえに、商標は、必ず、使用される商品又はサービスとの関係を紐づけて登録する制度になっています。

 ですから、商標出願時に、商標(トレードマーク)そのものを決めることが重要ですが、次に、どの商品、サービスに使用するか、を決めることが非常に重要です。

 出願時のポイントは実はここにあります。特許庁は、世の中に存在する多くの商品を、45の区分に分類しており、商標登録をする際には、出願時に、この商品役務区分を指定する必要があります。
 これを「指定商品」、「指定役務」と言います。
 その結果、登録された商標は指定された区分とのカップリングで登録されて権利が発生します。
 ということは、仮に商標そのものが同一であっても、区分が異なれば別の権利となり、商標権侵害といった問題は生じません。

 出願時に「指定商品・役務」を決める場合には、実際に使用している商品、役務のみならず、可能であれば会社の「定款」に規定されている事業を参考にして決めることが有効です。

 また、商標の保護価値は、事業において商標が使用されて取引されることにより事業者に対する評価、業務上の信用そのものにあることから、事業が行われず、商標が使用されていない場合には、保護価値が消滅している、ということになります。

 従って、商標法では、商標権者は、登録された商標を使用する義務を規定しています。
 即ち、「3年間継続して不使用の場合には、当該登録商標を取り消すことができる」という規定があります(商標法第50条)。従って、商標が登録になった場合には、継続して使用することをお勧めします。

 さらに、登録商標の権利範囲は、当該商標のみならず、類似する商標、類似する商品も含みます。
 これは、登録商標と同一の商標のみならず、似た商標が無断で他人により使用された場合にも、登録商標に化体した業務上の信用は棄損され、商標権者の損害につながるからです。

 通常、非常に成功している会社の事業の登録商標に似た商標を使って、他社の利益に相乗りして儲けようというような行為を不正競争と言いますが、このような不正競争は概ね、踏力商標の類似範囲で発生します。従って、商標法では「登録商標の類似」、「商品・サービスの類似」という概念が設けられており、この「類似」という法概念が非常に重要になり、多くの判例、審決例が蓄積されています。

 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。