至誠国際特許事務所

第6回:「特許について II」

23.01.05
中小企業支援弁理士木村の知的財産フリートーク
dummy

 前回は特許の審査制度を大まかに説明しました。

 今回は、特許の審査手続について説明します。
dummy

 前回ご説明したように、「特許」は特許庁と戦わねば取得することはできません。その意味で、特許庁での「審査」は、言ってみれば、出願人にとっての最初のバトルフィールドです。

 特許出願したままでは特許庁は審査してくれません。「審査請求」という手続が必要です。

 通常、審査請求をしてから審査の結論が出るまでには1年~2年程度の時間を要します。

 特許庁は年間約29万件(2021年現在)という多くの特許件数を抱えているので審査順番待ちになります。
 ちなみに、日本は、中国、米国に次いで世界第三位の特許出願件数の国です。従って特許出願をしても審査の結論(「査定」と言います)が出るまでには(審査請求を出願と同時に行った場合)、通常1年程度かかります。

 これを短縮する方法があり、当所のお客様は多くの方々がこの方法を利用されます。
 即ち、「早期審査」、「スーパー早期審査」です。特に、中小企業の方々は、「早く権利化して事業に活かしたい」という要請がありますので、これに応えるものです。少々、費用は掛かり、ますが、これにより、早期審査であれば約3ヶ月、スーパー早期審査であれば1か月で最初の通知(99%が「拒絶理由通知(特許できない理由の通知)」)が発行され、迅速に対応すれば約半年以内に特許化することもできます。

 ほとんどの出願は最低一回は「(特許を取ることを)拒絶」されます。この通知を「拒絶理由通知」といい、言ってみれば「特許審査のハイライト・主役」のようなものです。

 審査官はいかに適切な理由を見付けて「拒絶理由通知」を作成するかが仕事の最重要ポイントであり、弁理士・特許事務所側では、この拒絶理由をいかに克服したか、で仕事の腕を問われます。「拒絶理由通知」さらに、最終判断である「拒絶査定」を巡って、審査官、弁理士、特許事務所、出願人の間で、様々なドラマが展開します。

 この「拒絶理由通知」の発行は複数回に及ぶ場合が多く、その都度、反論する機会が与えられますので、出願人側は弁理士が代理して反論を行い、担当の審査官が納得して「これなら特許にすべきである」という心証が形成されるまでこの作業が継続することになります。

 これにより特許になる場合(「特許査定」といいます)もありますが、最終的にも、特許が認められない場合もあります(「拒絶査定」)。
 この場合、出願人としては対応策として、(1)審判請求して「審判」段階で特許化をさらに追求する(拒絶理由の克服を行う)(2)実用新案出願へ出願変更する(3)分割出願する、という対応策があります。

 審判は特許庁の審査制度の中で、第一段階の「審査」に次ぐ、第二段階の制度であり、「審査」での否定的結論(拒絶査定)に対する不服申し立て手段です。裁判で言えば、審査段階が「地裁」・審判段階が「高裁」という関係性に相当します。結果的に、特許を含む産業財産権制度は、4審制(審査・審判・知財高裁・最高裁)です。

 当所の経験では、審査段階で特許が成立しなかった案件でも審判において特許が成立した事例は非常に多くあります。
 これは審査での判断が、やや「形式的、画一的」な議論をする傾向があるのに対し、審判での判断は「実質的、個別具体的」であること、及び、担当する審査官が審査では1人であり、担当審査官の意見で結論が決まるのに対し、審判では3人のベテラン審査官が「審判官」として全員の合議で判断するようになっていることが大きな理由です。

 また、審判における「面接審査」(近年は審査での面接審査も)も非常に有効に機能します。従って、費用及び時間はかかりますが、事情が許せば、審査で特許にならなかったとしても審判請求を行い、さらに特許化をトライすることをお勧めしております。

 また、「実用新案出願への変更」は、特に、審査で進歩性の評価が厳しく、なかなか克服の可能性が難しい場合にお勧めしており、「出願の分割」は、当初の出願明細書の範囲内で、請求範囲を再構築して特許化を追求しなおしたい、という場合に適しております。

 なお、審判の結論は特許審決又は拒絶審決で、特許されれば問題はないのですが、拒絶審決の場合には、知財高裁へ審決取消訴訟を提起し、特許庁を被告にしてさらに争うことができます。
 但し、現状、覆審率は20%前後という情報があり、残念ながら特許庁の審決を高裁段階で覆すことは余り簡単ではない、といえます。従って、この観点からも、審査又は審判での特許化が非常に重要となります。なお、この事情は、商標、意匠の場合も同様です。

 このように、審査段階で仮に特許化できなかったとしても、さらに権利化に向けてトライできる可能性はありますので、ぜひ弁理士にご相談をいただき、事情が許せば、これらの手段を使用することもできます。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。