至誠国際特許事務所

第5回:「特許について I」

22.12.21
中小企業支援弁理士木村の知的財産フリートーク
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前回は「特許庁」についてお話ししました。

これから、各知的財産の個別の説明に入っていきます。

先ずは、知的財産の代表格である「特許」です。
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特許は「ハイレベルな技術的アイデア(これを「発明」と称します)を保護する知財制度」です。「ハイレベル」とは、例えば、基幹産業である、電気、鉄鋼、自動車、コンピュータ、インターネット関連技術等の先端的な技術が該当します。一方、「ハイレベルではない、特に、日用品の技術的アイデア(これを「考案」)と称します」は、特許制度の弟的存在である「実用新案制度」により保護されます。
 従って、一応、技術レベルにより、住み分けが成立しております。

 出願人としては、基本的には、技術的アイデアがハイレベルであるか否か、によりいずれの制度を選択することができます。
 この相違は、後ほど説明しますが、実用新案制度は非常に中小企業向きの制度です。

「実用新案制度は、権利価値がないので使い物にならない」というご意見の弁理士さんもいらっしゃいますが、私はそうは思いません。長所と短所を知って使えば、中小企業にとっては、非常に有効な武器になります。中小企業はいかに上手に実用新案制度を使いこなすか、により事業に大きな影響が出てくる、と言っても過言ではありません。
 
 特許は非常に厳しい審査を経て成立します。この審査は、徹底的な減点方式、マイナス思考で行われると思ってください。「原則、特許にはしません。特許にしない理由がなければ、残念ながら特許にしてあげます」という思想で成立しています。この考え方は、日本のみならず各国の特許庁でも同様です。

 従って、出願人はこのような非常に厳しい状況のなかで審査において特許庁と戦わねばなりません。この場面で、弁理士は出願人、発明者の強い味方になります。
 
 発明が特許になるためには、「新規性」(客観的に世界のどの国においても新しいこと)、「進歩性」(世の中に提供するメリット=技術的効果が大きいこと)をクリアすれば大体、特許になります。この場合、「新規性」をクリアすることはそれほど難しくはありません。どのような発明でも、基本的に新しい場合がほとんどです。
一方、「進歩性」はなかなか手ごわく、これをクリアするのに出願人の方は大変ご苦労をされます。ですから、特許になるためには「進歩性」をいかにクリアするか、がポイントです。

 一般的には、その発明が世の中に提供できる「効果」が大きいことを特許庁に対して主張、立証できれば、進歩性は肯定されます。但し、「新規性」は「新しいか、否か」というゼロイチの、客観的、形式的な判断であるのに対し、「進歩性」は、進歩しているか否かは、なかなか基準線が引きにくく、微妙な判断です。

 従って、特許庁は様々な基準を設け、判断の客観性を担保しようとしていますが(「特許審査基準」)。それでも進歩性の議論は非常に判断が難しい面があり、特許の審査におけるメインの論点は「進歩性」です。「進歩性」の議論を制する者は特許を制する、といえます。
 また、特許は戦い取るものであり、黙って待っていれば特許になる、というものではありません。
 
 ここまでお読みいただきありがとうございました。