森会計事務所

秘密保持契約は退職後も有効なのか?

15.08.14
ビジネス【労働法】
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「最近、お客様が減っていると思ったら、当社を辞めた営業マンがお客様に営業をかけていることが発覚。こんなことが許されるわけがない!」 

こういったトラブルに備えるためにも、秘密保持契約を結んでおく必要があります。果たして、秘密保持契約はどの程度有効なのでしょうか?
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従業員として働いてもらっている間には、会社の営業上重要な秘密を当然に知り得る立場にあります。働いている間の守秘義務違反は、解雇の理由となり得ます。

判例(古河鉱業足尾製作所事件・東京高裁昭和55年2月18日)において、「労働者は労働契約に基づく付随的義務として、信義則上、使用者の利益をことさらに害するような行為を避けるべき責務を負い、その一つとして使用者の業務上の秘密を洩らさないとの義務を負う」となっていて、従業員は当然に守秘義務を負うことがはっきりしています。 
  
では、退職後はどうでしょうか? 退職後の秘密保持契約の有効性に関する判例として、ダイオーズサービシーズ事件(東京地判平成14年8月30日)があります。判例では次の内容の説明がされています。 

退職後の秘密保持義務を広く認めてしまうと、退職者が次の仕事をみつけるのが難しくなってしまう。しかし、元の会社にとって営業秘密は重要な価値があるので、労働契約終了後も秘密を保持させることは、その秘密の性質・範囲、価値、当事者(労働者)の退職前の地位に照らし、合理性が認められるときは、秘密は保持しなければならない。 

つまり、退職後も秘密保持契約は有効ということです。秘密保持契約を結ぶときには「秘密」の内容を具体的にはっきりとさせておくことが重要です。先の判例において結ばれていた秘密保持契約では、次のことが明確に記されていました。 

「就業期間中は勿論のこと、事情があって貴社を退職した後にも、貴社の業務に関わる重要な機密事項、特に『顧客の名簿及び取引内容に関わる事項』並びに『製品の製造過程、価格等に関わる事項』については一切他に漏らさないこと」 


判例でカンタン理解・労働法 


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