森会計事務所

成人式から訪日外国人まで!『着付け』ができる美容室で売上アップ

24.07.02
業種別【美容業】
dummy
美容室のなかには、着物の『着付け』をアピールポイントにしている店があります。
こうした美容室は、成人式や結婚式、入学式や卒業式など、着付けの需要が高まるタイミングで、多くのお客を集めています。
呉服店やホテル、式場などでも着付けを行うことはできますが、美容室でヘアセットと同時に行うことができれば、全体的な仕上がりのイメージを統一させることができるのはもちろん、お客も着付けとヘアセットを別々に行わずに済みます。
美容室で着付けサービスを提供するメリットや、着付けを学ぶための方法などを説明します。
dummy

美容室で着付けを行うお客と店側のメリット

結婚式や成人式といった冠婚葬祭などで着物を着る際に、お客が頭を悩ませるのが着付けを行う場所や料金です。
大きな式場やホテルなどでは、専門の着付け師が着付けをしてくれますが、同時にヘアセットもお願いしてしまうと、ある程度の金額になってしまいます。
式場やホテルの立地と規模などにもよりますが、高いと20,000円以上かかる場合もあります。

自宅や会場に着付け師を呼ぶ『出張着付け』の相場は、4,000円から8,000円プラス出張費などと、式場やホテルよりも安価にすむケースが多いです。
ただし、原則として出張する着付け師は1人の場合が多く、仕上がりがイメージ通りではなかったとしても別の人に替えてもらうことはできません。

手間を考えれば、着付けはヘアセットと同時に整えることのできる美容室で行うのがベストです。
料金は式場やホテルよりも安く、通常は着付けとヘアセットを含めて、6,000円から15,000円程度が相場といわれています。

また、美容室であれば、着付け後に全体のバランスを考えてヘアセットをすることもできます。
着物は場に合わせたものを着用する必要があるため、着物に合わせて美容師にヘアセットを整えてもらったほうがお客も安心です。

店側も着付けのできる美容師がいれば、シーズンごとの着付け需要を取りこぼすことがありません。
1年のなかでも、正月と成人式が続く1月や、卒業・入学シーズンの3~4月は着物を着る機会が増えるため、着付け需要も高まります。
これらの時期は、売上のアップはもちろん、着付けを希望されるお客の多くはヘアセットも合わせて依頼されるので、客単価のアップも期待できます。

また、着付けのできる美容室は、お客の口コミで情報が拡散されていく可能性がありますし、逆に着付けをきっかけにリピーターになってくれるお客もいるかもしれません。

美容師が着付けのスキルを身につけるには

お客にとっても店にとってもメリットのある美容室での着付けですが、美容師側に着付けのスキルがないと、お客が満足する仕上がりにならず、クレームにつながってしまう可能性もあります。

また、一口に着物といっても、カジュアル、セミフォーマル、フォーマルで着付けの方法が異なるため、相応の知識と技術を学ぶには、着付け教室に通うのが近道です。
着付け教室のなかには美容師を対象としたコースを用意しているところもあり、比較的短期間でスキルを身につけることができます。

さらに、教室に通ったうえで、国家資格の『着付け技能士』や、その他の民間資格の取得を目指すのもおすすめです。
着付け技能士は、学科試験と実技試験によって、着付けの知識と技能が審査され、技術レベルに応じて『1級着付け技能士』か『2級着付け技能士』を取得できます。
着付け技能士などの資格は必ず取得しなければいけないものではありませんが、有資格者の在籍する美容室は、やはり集客の面で有利です。
お客にとって満足のいく着付けサービスを提供するためにも、資格の取得は検討しておきたいところです。

2023年度の国内の呉服市場は、前年比101.4%の2,240億円と微増ながらも規模は拡大しています。
また、外国人旅行客の増加に伴う『着物文化』への関心の高まりによって、着物のレンタル事業なども好調です。
都内の大手美容室では、着物のレンタルと着付け、ヘアセットを一つにまとめた訪日外国人客向けの体験プランを打ち出しました。
着付けのスキルを身につけておくことで、こうした訪日外国人からの「着物を着てみたい」という要望にも応えることができます。
集客や他店との差別化のためにも、着付けスキルを身につけてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2024年7月現在の法令・情報等に基づいています。