森会計事務所

飲食店のFL比率を見直して売上アップを図るには?

20.02.04
業種別【飲食業】
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飲食店の経営者が売上アップを考えるときに、必ず押さえておきたいのが『FL比率』です。
FはFood(食材費)、LはLabor(人件費)のことで、利益を上げるには、この二つのコストを把握することが大切なのです。
そこで、理想的なFL比率とはどの程度なのかをはじめ、シミュレーションの仕方、FL比率の下げ方などを解説していきます。
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利益を上げるために望ましい『FL比率』は?

飲食店における、FoodとLaborを足したものを『FLコスト』と呼びます。
FLコストが、売上高全体の何%を占めているか数値にしたものが『FL比率』です。
自分の店が、どのくらい儲けているのかを把握する指針にもなります。
また、銀行などから融資や出資を受けている店では、FL比率が悪ければ場合よっては資金調達ができなくなってしまうこともあり得ます。
繁盛店か否かを客観的に判断するための重要な指標の一つである、経営者は決してスルーできない数値です。

ではまず、自店のFL比率を『(Food+Labor)÷売上高』の計算式で割り出してみましょう。
50%程度が一般的な目安といわれていますが、いかがでしょうか。
もし50%以上であれば、利益率が低いと判断できます。
逆に50%以下であれば、利益率が高いといえます。
さらに、店の規模にかかわらず、70%を超える場合は赤字経営、つまり閉店の危機が間近に迫っていると見てとれます。
自店の『FL比率』が現在どのくらいなのか数値により把握することで、次に目指すべき売上高がわかってきます。


具体的な数字でシミュレーションをしよう

黒字経営を続けるための理想的な『FL比率』がわかったところで、具体的な数字でイメージしてみましょう。
月間売上が500万円のA店があると仮定します。
この店では、食材費200万円(F)、人件費150万円(L)が毎月かかっています。
先ほどの計算式に当てはめてみると、

・FL比率=(200万+150万)÷500万=70%
・Food=200万÷500万=40%
・Labor=150万÷500万=30%

という計算になります。
FL比率がすでに70%であるため、食材費と人件費以外にかかる経費は30%に収めなければ赤字が出てしまいます。
つまり、家賃、水道光熱費、消耗品費など、そのほか発生する経費をすべて足して150万円(売上額に対して30%)でなければならないのです。
家賃は売上額の10%程度が理想とされているため、仮に月額50万円とします。
水道光熱費の理想は全体の5%、つまり25万円。
残りの75万円から、そのほかすべての経費を充てることになるため、利益がほとんど見込めない状況に……。
FL比率が70%で月間売上が500万円の場合は、このような経営になりそうです。

もう一つのパターンを見ていきましょう。
B店では、Fコストが月90万円、Lコストが月40万円かかっており、目標比率は50%としています。

・FL比率目標50%=(90万+40万)÷X ⇒毎月の目標売上高260万円

B店では毎週日曜定休としているので、月の営業日数は26日、つまり平均して1日10万円の売上があれば目標達成となります。
昨日が9万円なら明日は11万円、先週が50万円なら今週は70万円といった具合に、目標額を設定していきます。
そのために、どのような集客をし、どのようなメニュー開発をしていけばよいか考えていく必要があります。

もしFLコストに改善点があれば、食材費を下げたり、営業時間を見直して人件費を見直したりすることもできるはずです。
十分に目標達成していて、従業員の士気を高めたい場合には、逆に人件費のアップも考えられるでしょう。
目標に到達していて、なおかつ資金に余裕がある場合は、Fコストを高めて料理の質をアップすることで、客層を広げることも可能になるかもしれません。


売上額アップの得策はFコストを下げること

飲食店を黒字経営で続けるためには、やはりコストダウンは外せません。
最初に見直すべきポイントは、Fコストです。
まず、食材の仕入れ原価を下げたい場合は、仕入れ先を変更するのがシンプルな方法です。
野菜は近所のスーパーよりも農家と直接契約をして購入するほうが安く済みますし、なにより新鮮な野菜が手に入ります。
そして、昨今問題視されている食品ロス=食材廃棄率を下げることも重要です。
先に仕入れたり、仕込んだりした食材を優先的に使用したり、冷蔵庫などのストック場所を清潔に保ち、腐らせないようにする努力も必要です。
食材廃棄については、過度な盛り付け(オーバーポーション)をしないこともポイントです。

多くの飲食店は、利益率がたった5%程度といわれています。
忙しく働いて毎月500万円の売上額があっても、手元に残るのが25万円だと満足とは言えません。
FL比率の重要さを理解して、黒字経営に向けて計画を立てていきましょう。


※本記事の記載内容は、2020年2月現在の法令・情報等に基づいています。