森会計事務所

知らないうちに罰則の対象に? 身近にある法律違反

26.10.13
ビジネス【法律豆知識】
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落とし物をそのまま持ち帰る、多く渡されたと気づきながら、お釣りを黙って受け取るなど、軽い気持ちで行なったことでも、法律上、犯罪に当たる行為は意外と身近にあります。
法律を知らなかったとしても、刑事責任を問われることがあります。
日常のなかで見落とされがちな行為が、どの法律のどの罪に当たるのかを知っておけば、自分や家族が思わぬトラブルに巻き込まれるのを防ぐのに役立ちます。
今回は、身の回りで起こりやすい法律違反を取り上げ、成立する犯罪と罰則、そして境界線がどこにあるのかを解説します。

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落とし物・お釣り・撮影に潜む罪

落とし物を拾ってそのまま自分のものにすると、占有離脱物横領罪に問われる可能性があります。
法定刑は1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料です。
道で拾った財布や置き忘れの傘などが典型例です。

多く渡されたお釣りも注意が必要です。
気づいたタイミングによって、成立する罪が変わります。
その場でお釣りが多いことに気づきながら店員に告げずに受け取って立ち去った場合は、不作為による詐欺罪が成立する可能性があります。
多いことを告げない行為が、不作為による欺罔行為と評価されるためです。
法定刑は10年以下の拘禁刑です。
一方、受け取ったときには気づかず、帰宅後に多いことに気づいた場合は、その後も返還せず自分のものにした行為について、刑事責任が問題となる可能性があります。
気づいた後の事情によって法的な評価が異なるためです。

窃盗罪は、他人が占有している財物を窃取する罪で、法定刑は10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。
他人の占有を離れた物なら占有離脱物横領罪、他人が占有している物なら窃盗罪、と整理するとわかりやすいでしょう。
店舗内やタクシー内の忘れ物は、店舗の管理者や運転手に占有が移っていると判断されることがあり、その場合は窃盗罪が成立する可能性があります。

書店などで問題になる「デジタル万引き」も注意が必要です。
これは店舗で未購入の書籍や雑誌の誌面をスマートフォンで撮影する行為を指しますが、撮影するだけであれば、通常、窃盗罪は成立しないと考えられています。
しかし、誌面の文章や写真を撮影する行為は著作権法上の複製に当たります。
たとえば、後日購入する本のタイトルや表紙を控えるために撮影するといった個人的、または家庭内など限られた範囲で使用する場合であれば、私的使用のための複製として認められる場合があります。
一方で、SNSへの投稿や仕事での利用は私的使用の範囲外となり、著作権者の許諾が必要となることがあります。
ただし、適法な引用など、別の権利制限規定が適用される場合もあります。

また、店舗が禁止している場所に無断で入るなど、管理権者の意思に反して建物に侵入した場合には、建造物侵入罪が成立し、3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金刑が科せられる可能性があります。

転売・賭け事・割り込みも違反になる

まず、チケットの高額転売です。
2019年6月14日に施行されたチケット不正転売禁止法が高額転売を規制しています。
対象となるのは、一定の要件を満たした「特定興行入場券」です。
興行主の事前の同意を得ず、反復継続の意思をもって、販売価格を超える価格で転売する行為が禁止されています。
不正転売の目的でチケットを譲り受ける行為も禁止されています。
違反した場合の法定刑は、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方です。
なお、行けなくなったチケット1枚を定価以下で友人に譲る行為は、同法の「不正転売」には原則として該当しません。
ただし、主催者の規約などで譲渡が禁止されている場合は、規約違反となる可能性があります。

個人間の賭け事も、賭博罪の問題になります。
単純賭博罪の法定刑は、50万円以下の罰金または科料です。
ただし、「一時の娯楽に供する物」を賭けたにとどまるときは処罰されません。
その場で消費する菓子や飲み物を賭ける程度であれば、この例外に当たると考えられています。
一方、金銭を賭けた場合は、少額でも賭博罪が成立する可能性があります。
賭博を反復して行い、常習性が認められる場合には、常習賭博罪が成立する可能性があり、法定刑は3年以下の拘禁刑です。

最後に、行列への割り込みです。
軽犯罪法は、公共の場所で乗物や催し物などを待っている人の列に、威勢を示して割り込んだり、その列を乱したりする行為を処罰の対象としています。
単に列に割り込んだだけで、直ちに軽犯罪法違反になるわけではありません。
ただし、列に割り込む際に相手に危害を加える旨を告げれば、脅迫罪が成立する可能性があります。
また、威嚇して相手に列を譲ることを強制した場合には、強要罪が成立する可能性もあります。

ここまで見てきた行為は、いずれも日常のなかで起こりうるものです。
共通するのは、「これくらいなら」という軽い気持ちが出発点になっている点です。
万一、犯罪に当たる可能性のある行為をしてしまったり、トラブルになったりした場合は、自己判断で対応せず、早めに弁護士などの専門家に相談しましょう。


※本記事の記載内容は、2026年10月現在の法令・情報等に基づいています。