森会計事務所

リピーターを増やす美容師のコミュニケーション術

25.11.04
業種別【美容業】
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美容師に求められるのは、お客の期待に応える確かな技術力と、信頼関係を築くためのコミュニケーション能力です。
いくら技術力があっても会話の距離感を誤れば、リピーターにはなってはくれません。
コミュニケーション能力の高い美容師は、会話力だけではなく、お客の『心地よさ』を見極める観察力と、空気を読んで適切な対処ができる対応力を兼ね備えています。
リピーターを増やすために美容師が知っておきたい、コミュニケーション能力を高める方法を解説します。

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静かに過ごしたいお客のことも意識する

美容室はお客が自分の容姿について相談したり、時にはプライベートな悩みを打ち明けたりする非常にパーソナルな空間です。
したがって、「この美容師さんになら、安心して任せられる」という信頼感がなければ、お客がリピーターになることはありません。
お客と信頼関係を築いて、リピーターになってもらうには、確かな技術力はもちろん、コミュニケーション能力も必要になります。

コミュニケーション能力の高い人というと、おしゃべりが得意な人だと考えがちです。
しかし、真のコミュニケーション能力とは、ただ話がうまいことだけではありません。
お客のなかには、「今日は疲れているから静かに過ごしたい」と思っている方もいれば、「美容師さんとの会話を楽しみにしている」という方もいます。
この違いを瞬時に見極め、お客に合わせた接客をすることがコミュニケーション能力であり、良好な関係づくりの第一歩といえるでしょう。

まずは、最初の段階で、今日お客が話したいと思っているかどうかを察知しましょう。
お客の様子をよく観察し、会話の主導権を無理に握ろうとせず、お客が質問してきたり、みずから話しかけてきたりしたら、そこから話を広げていきます。
もし、お客から静かに過ごしたい雰囲気を感じ取ったのであれば、必要なこと以外は控えめに接するのが得策です。

会話を振ることを意識しつつ、質問には注意

おしゃべりの好きなお客だった場合は、できるだけみずから話題を振ることを意識しましょう。
お客の髪の悩みや、ライフスタイル、好きなことなど、お客自身が話しやすい話題をさりげなく振ることで、何より、「自分の話を聞いてもらえた」という満足感を得てもらえます。
接客中は、つい自分の話をしてしまいがちですが、接客の際の会話の割合は、自分3:お客7くらいの割合にしておくのがよいでしょう。

また、接客に慣れていないと、最初の会話のきっかけが見つからないこともあります。
お客との会話に困らないためにも、天気や季節の話題、最近のニュース、映画、旅行、グルメなど、誰でも気軽に話せる無難な話題をいくつか用意しておくと、会話のきっかけや会話が途切れた際の助けになります。
ただし、政治や宗教、他人の悪口など、意見が分かれる可能性のあるものやネガティブな話題は避けるのが鉄則です。
お客が不快に感じてしまうと、せっかく築きかけた信頼関係が崩れてしまう可能性があります。

そして、お客との関係が深まるにつれて、プライベートな話題になることもあるでしょう。
しかし、初対面やまだ関係が浅いうちは、家族構成や収入、恋愛事情など、踏み込みすぎた質問は避けるべきです。
お客が話したがらない様子であれば、すぐに別の話題に切り替えましょう。
お客のプライバシーに配慮し、不快感を与えないことが大切です。

引き出しの数と会話のメモが接客を助ける

コミュニケーション能力は先天的な才能ではなく、後天的に磨くことができるスキルです。
日頃からさまざまな情報に触れることで、お客との会話の引き出しを増やすことができますし、お客が興味を持っている話題についてある程度詳しければ、会話はより一層盛り上がるでしょう。
たとえば、ニュースアプリで世間の出来事をチェックしたり、流行りの映画や音楽、グルメ情報を調べたりするなど、日頃から情報収集に努めましょう。

また、お客との会話をメモして覚えておくことも、円滑なコミュニケーションの一助になります。
たとえば、次回のご来店時に「前回は◯◯◯のお話をしていましたね」と一言添えるだけで、お客は「自分のことをちゃんと覚えてくれている」と感じてくれるはずです。
この小さな気遣いがリピートへとつながります。
「家族構成」「趣味」「仕事」「好きな芸能人」など、会話で出てきたキーワードを施術後にメモを残す習慣をつけておきましょう。

コミュニケーション能力は、普段の生活のなかでも鍛えることができます。
同僚や家族、友人など、身近な人との会話を大切にしましょう。
相手の話を最後まで聞く、相手の気持ちを想像しながら話すなど、日々の積み重ねがコミュニケーション能力の向上につながります。
最終的に「悩みを安心して話せる」と感じてもらえる接客ができれば、自然とリピーターは増えていくでしょう。


※本記事の記載内容は、2025年11月現在の法令・情報等に基づいています。