森会計事務所

「いつまでも帰ってくれない!」長居するお客への対応策

24.09.03
業種別【飲食業】
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カフェからレストランに居酒屋まで、飲食店にはさまざまな業態がありますが、一部の業態で悩みのタネとなるのが『長居するお客』です。
いつまでも帰らずに長時間にわたり滞在するお客は、飲食店経営の大切な要素でもある「回転率」を下げ、売上の低迷を招きかねません。
しかし、なかなか表立ってストレートに「お帰りください」とは言えないでしょう。
長時間にわたり滞在するお客には、どのような対応が有効なのか解説します。

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回転率を下げてしまう帰らないお客

同じ飲食店でも、高級レストランや料亭、ゆっくりくつろいでもらうコンセプトのカフェなどは、長時間の滞在を前提としたお店であり客単価を高く設定していることが多いため、お客が長い間滞在していても大きな問題ではありません。
また、追加注文が多い居酒屋なども、お客の長時間の滞在が前提となっている経営スタイルといえます。

一方、それ以外の飲食店は必要以上に長時間にわたり滞在するお客の対応に苦慮しています。
業態や店舗の広さ、時間帯などによって異なるものの、一般的にピークタイムの飲食店におけるお客の滞在時間は30分から1時間ほどといわれています。
カウンター席がメインのラーメン店などはより短く、平均滞在時間が20分~40分というケースが多く見られます。

効率よくお客を入れ替えることで利益を出している飲食店の場合、平均時間以上にお客に滞在されてしまうと、新規のお客を案内できず、回転率を下げてしまうことにもなりかねません。
しかし、お客が故意に居座っているといった状況などではない限り、なかなか店側から退店を促すのはむずかしいところです。

長時間にわたり滞在するお客に対しては、あらかじめ店のルールを明示しておくことが大切です。
まずは滞在時間や利用に関するルールを定めて、店内に貼り出しておきましょう。
たとえば、「混雑している場合はお声がけをすることがございます」「ドリンクのみのご注文の場合は60分までとなります」「お席での勉強やパソコンなどでの作業はご遠慮ください」など、事前にルールを示しておくことで、長時間にわたり滞在するお客への牽制にもなりますし、スタッフが声をかけやすくなります。

ただし、滞在時間を定めていたとしても、空いている時間帯にまでそのルールを適用させる必要はありません。
営業時間中で、ほかのお客がまったくいない状態にもかかわらず退店を促すと、お客を不快な気分にさせてしまいます。
適度にお客が滞在している店は、ほかのお客を呼び込む効果もあります。
実際に混み合ってきた場合にのみ、「そろそろお時間になりましたので……」と声をかけるようにしましょう。

さりげなく退店を促すテクニック

店のルールを定めて明示しているのにもかかわらず、長時間にわたり滞在するお客に対しては、店員から積極的に働きかけていくしかありません。
たとえば、昼過ぎくらいに複数人で来店されて、食事が終わっても会話が盛り上がってしまい、追加注文をすることもなく滞在し続けているタイプのグループであれば、「お皿をお下げしてもよろしいでしょうか」などと声をかけたうえで、食器を下げてしまうのが効果的です。
多くの場合は話に夢中になっているため、食器を下げることでかなりの時間が経っていることをお客に気づかせることができます。
「水のおかわりを尋ねる」「ランチメニューからディナーメニューに取り替える」「ブラインドを下げる」などの行為でも、お客に対して長時間の滞在を自覚させることができますし、「食後に温かいお茶を出す」という行為も、サービスでありながら、退店を促すテクニックの一つです。

また、ラストオーダーの時間間際に滑り込みで来店されるお客にも注意が必要です。
店にもよりますが、ラストオーダーから閉店までの時間が短い場合は、閉店時間を過ぎても退店されないケースが多々あります。
お客が滞在している状態では、閉店作業もできませんし、スタッフを帰すこともできません。
そのような場合は、お客が来店された時点で「もうすぐラストオーダーで◯時に閉店となりますが、よろしいでしょうか?」と声をかけ、閉店間近であることを意識してもらいましょう。

それでも退店されないお客に対しては、「閉店時間となりました」と声をかけ、看板をしまったり、他のテーブルを拭いたりするなど、できるところから閉店作業を進めてしまうのが効果的です。

飲食店にとって、追加注文をせずに長時間にわたり滞在し続けるお客はあまり歓迎できるものではありませんが、待ち合わせで仕方なく長く居続けているなど、お客にもそれぞれ事情がある可能性も考えられます。
ルールに縛られない柔軟な対応を考えていくことが大切です。


※本記事の記載内容は、2024年9月現在の法令・情報等に基づいています。