司法書士法人小笠原合同事務所

遺留分を考慮する

21.01.04
遺言を書くポイント
遺言書の文案を作成時に必ず考慮するのは遺留分です。やはり遺留分を侵害する遺言は可能な限り避けたい。遺留分とは最低限の相続分のことで、法廷相続分の2分の1がほとんど。
dummy
例えば長男のみに全財産を与える内容にすると、遺留分を侵害された他の兄弟が訴えて紛争になりやすい。また、すべての財産について言及しないと、書き残した分を巡って遺産分割協議が必要となりもめる可能性がある。貴金属や骨とう品など動産までもれなく忘れず書くのがいいだろう。また、前回ポイントとしてお話した付言事項もあわせて活用したい。遺言作成の動機や財産分配の理由や希望などを書くことで「争族」の回避に一定の効果がある。
遺言作成時には財産目録を作成することを相談者にアドバイスしている。可能な範囲で調べて漏れなく作成する。しかし、預金の残高や株や不動産の評価額に神経質になる必要はない。自分の思う適切な配分とその配分が遺留分をどの程度侵害しているのかを確認するため作成しているからである。遺言の効力発生する相続開始時には変動しているはずなので、現段階で正確なものはあまり意味がない。
主に遺したい相続人がある場合も、遺留分を満たしていなくとも少しは他の相続人に配分することを勧めている。期待より少なくてもゼロとはやはり気持ちが違うと想うのだが、絶対あげたくないと言われると説得はするが作成は可能だと説明している。みなそれぞれの歴史、いきさつがあるのだろう。遺言者の考えが尊重されるべきだと考えて文案を作成している。