WOMマーケティングって何ですか? それはクチコミのことで、「ウォム」と読みます
クチコミのことを、英語圏のマーケティング界では「WOM(ウォム)」と呼びます。「Word Of Mouth」の頭文字を取ったものです。
クチコミが人の行動に少なからぬ影響を及ぼすであろうことは、ずっと以前から漠然と知られていました。
友人や知人の評判を聞いて、夏の旅行先を決めたり、商品を購入する際の参考にした経験が皆様にもあるのではないでしょうか。
クチコミが人の行動に少なからぬ影響を及ぼすであろうことは、ずっと以前から漠然と知られていました。
友人や知人の評判を聞いて、夏の旅行先を決めたり、商品を購入する際の参考にした経験が皆様にもあるのではないでしょうか。
調査でも、テレビCMや新聞広告より「友人・家族からのクチコミ」の方を重視する、と答える人が多くなっています。
ネット上の情報収集でも、「クチコミ・サイト」の方が、企業のホームページよりも重視している人が多いという調査結果も出ています。
消費者のクチコミ重視の傾向は、近年ますます強まっています。
理由の1つには、マスメディアの持つ影響力の相対的な低下が挙げられます。
特に若い層では「テレビを見ない」「新聞を読まない」という人は少なくありません。
また、テレビで言われていることや新聞に書かれていることを、そのまま信じない層も増えていると考えられます。
2つ目の理由は、インターネットとソーシャルメディアの著しい発達です。
これまでは「周囲の人間」に限られていたクチコミ(WOM)が、ソーシャルメディアの発達によりパワーを驚異的に増大しました。
ごく普通の人が発した商品やサービスについての感想が、ソーシャルメディアのシェアやリツイート(再投稿)といった仕組みを介して、場合によっては何百人、何千人、何万人に広まる可能性があるのです。
3つ目の理由は、「広告を信じない」「広告を積極的に避ける」人々が増えたことが挙げられるでしょう。
これは1つ目と2つ目の理由にも関連したものですが、世間の本音が集まるソーシャルメディアは、「広告なんて、しょせん都合のいいことしか言わない」という人々の気持ちを増大させている傾向にあるようです。
また、デジタル機器の発達で一般化した録画視聴では、テレビCMは簡単にスキップされてしまいます。
そんな状況の中で、企業のマーケティング活動に、このWOMを積極的に取り入れようとする試みが盛んに行われ、「WOMマーケティング」と呼ばれるようになっています。
アメリカのWOMMA(WOMマーケティング協会)初代会長アンディ・セルノヴィッツの著書『WOMマーケティング入門』には、「WOMマーケティングとは、“話題になるために行う活動すべて”ですが、決してヤラセではなく、ウソのクチコミは広まらない」と記されています。
そして今、WOMマーケティングが盛んに行われるようになったのは、現在では、ソーシャルメディアやデジタルを中心にマーケティングに活かせるようになったから、だと言います。
フェイスブックで「いいね」をしている人は何人いるのか、ツイッターの公式アカウントにフォロワーは何人いるのか、などを数字で把握でき、努力目標を立てやすいことも、マーケティング活動の一環として取り入れやすくなった理由だと考えられるでしょう。
しかし、クチコミには「正のクチコミ(自社製品に好意的なクチコミ)」だけではなく、「負のクチコミ(自社製品に否定的なクチコミ)」も当然存在します。
広告のように、企業はコントロールが利きません。
だからこそ、いかにクチコミを効果的に自社のマーケティングに活用できるのか、今もさまざまな研究とトライがなされているのが現状だと言えるでしょう。
次回の「佐藤達郎のマーケティング論」は『“推奨するユーザー”を指す「ブランド・アドボケイツ」に、近年注目が集まっています』をお届けします。
佐藤達郎のマーケティング論
[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。
[記事提供]
(運営:株式会社アックスコンサルティング)
ネット上の情報収集でも、「クチコミ・サイト」の方が、企業のホームページよりも重視している人が多いという調査結果も出ています。
消費者のクチコミ重視の傾向は、近年ますます強まっています。
理由の1つには、マスメディアの持つ影響力の相対的な低下が挙げられます。
特に若い層では「テレビを見ない」「新聞を読まない」という人は少なくありません。
また、テレビで言われていることや新聞に書かれていることを、そのまま信じない層も増えていると考えられます。
2つ目の理由は、インターネットとソーシャルメディアの著しい発達です。
これまでは「周囲の人間」に限られていたクチコミ(WOM)が、ソーシャルメディアの発達によりパワーを驚異的に増大しました。
ごく普通の人が発した商品やサービスについての感想が、ソーシャルメディアのシェアやリツイート(再投稿)といった仕組みを介して、場合によっては何百人、何千人、何万人に広まる可能性があるのです。
3つ目の理由は、「広告を信じない」「広告を積極的に避ける」人々が増えたことが挙げられるでしょう。
これは1つ目と2つ目の理由にも関連したものですが、世間の本音が集まるソーシャルメディアは、「広告なんて、しょせん都合のいいことしか言わない」という人々の気持ちを増大させている傾向にあるようです。
また、デジタル機器の発達で一般化した録画視聴では、テレビCMは簡単にスキップされてしまいます。
そんな状況の中で、企業のマーケティング活動に、このWOMを積極的に取り入れようとする試みが盛んに行われ、「WOMマーケティング」と呼ばれるようになっています。
アメリカのWOMMA(WOMマーケティング協会)初代会長アンディ・セルノヴィッツの著書『WOMマーケティング入門』には、「WOMマーケティングとは、“話題になるために行う活動すべて”ですが、決してヤラセではなく、ウソのクチコミは広まらない」と記されています。
そして今、WOMマーケティングが盛んに行われるようになったのは、現在では、ソーシャルメディアやデジタルを中心にマーケティングに活かせるようになったから、だと言います。
フェイスブックで「いいね」をしている人は何人いるのか、ツイッターの公式アカウントにフォロワーは何人いるのか、などを数字で把握でき、努力目標を立てやすいことも、マーケティング活動の一環として取り入れやすくなった理由だと考えられるでしょう。
しかし、クチコミには「正のクチコミ(自社製品に好意的なクチコミ)」だけではなく、「負のクチコミ(自社製品に否定的なクチコミ)」も当然存在します。
広告のように、企業はコントロールが利きません。
だからこそ、いかにクチコミを効果的に自社のマーケティングに活用できるのか、今もさまざまな研究とトライがなされているのが現状だと言えるでしょう。
次回の「佐藤達郎のマーケティング論」は『“推奨するユーザー”を指す「ブランド・アドボケイツ」に、近年注目が集まっています』をお届けします。
佐藤達郎のマーケティング論
[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。
[記事提供]
(運営:株式会社アックスコンサルティング)