いま、シティプロモーションが熱い! 都道府県 / 市町村の広告・広報の現在。その4
都道府県/市町村の広告・広報・マーケティングを指す「シティプロモーション」についての4回目、最終回となりました。
今回は、移住者獲得や人口減への歯止めに関するシティプロモーションについて、ご紹介します。
今回は、移住者獲得や人口減への歯止めに関するシティプロモーションについて、ご紹介します。
僕は仕事柄、いくつかのそういった活動のイベントに関わらせていただくことがあり、また、友人知人が移住者獲得や人口減への歯止めに関するシティプロモーションに関わっているケースも多いので、いくつかご紹介していきましょう。
まずは、長野県富士見町のケースから。八ヶ岳の麓のこの町では、「富士見町テレワークタウン計画~高原・ときどき・都会~」と銘打って、移住者やオフィス開設のための情報提供やサポートをしています。
例えば、町外から移住を希望して「森のオフィス」と呼ばれるコワーキングスペース(共同のオフィス)を日常的な仕事場として使う場合、月額8万3,000円までの補助が受けられるという制度を開始。
こういった制度を告知するために専用ウェブサイトを整備したり、渋谷ヒカリエでイベントを開催したりしています。
この富士見町テレワークタウン計画のプロモーションを担当しているのは、元広告代理店社員で現在大手電機メーカーに勤める津田さん。
家族で富士見町に移住し、火・水・木曜日は品川のメーカー本社に勤務し、金・土・日・月曜日は富士見町で暮らすという「移住を自ら実践」しながら、富士見町のシティプロモーションを、個人で立ち上げた会社で請け負っています。
以前から津田さんの知人であった僕は、昨年10月に開催された渋谷ヒカリエでのイベントに登壇。マーケティングの専門家の立場から、富士見町の取り組みについて解説いたしました。
次に、静岡県浜松市のケース。ウナギやヤマハ、スズキ自動車で全国的に知名度の高い浜松ですが、その人口は減り続けています。
なんとか定住者を増やそうと、昨年11月に「わがまちの魅力を発信する」というシンポジウムが行われ、僕はそこでのパネルディスカッションに参加する形で登壇いたしました。
主催は、NPO法人「はままつ子育てネットワークぴっぴ」。
浜松市は徳川家康が江戸幕府を開く前に居城を構えていたことから「出世の街」を標ぼうしていますが、そこから子供を産み育てるのにふさわしいところとして「出生のまち」を掲げており、そのことをどう効果的に発信していくかが、シンポジウムのテーマでした。
僕からは、次の2点を指摘しました。
1点目は、市のホームページを見る限り「出世の街」に実態が伴っていないこと。家康の故事と関連させるだけではなく、例えば「出世支援プロジェクト」として起業支援プログラムを用意するなど、内実を伴わせる必要があることです。
2点目は、「出生のまち」と唱える契機が分からないので、「出世の街は、出生のまち」などと必ず出世の街と関連付けること。そして、やはり内情を伴わせることが重要なので、出産支援・子育て支援を具体的に充実させる必要性について、お話させていただきました。
会場には浜松市民の方々を中心に100名ほどの方が集まっていましたが、大いに盛り上がり、この問題への関心の高さをうかがわせました。
次回からは、また新しいマーケティング関連キーワードについて、ご紹介していく予定です。
次回の「佐藤達郎のマーケティング論」は『ネイティブ・アドって知ってますか? ツイッターやフェイスブックの新しいタイプの広告です』をお届けします。
佐藤達郎のマーケティング論
[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。
[記事提供]
(運営:株式会社アックスコンサルティング)
まずは、長野県富士見町のケースから。八ヶ岳の麓のこの町では、「富士見町テレワークタウン計画~高原・ときどき・都会~」と銘打って、移住者やオフィス開設のための情報提供やサポートをしています。
例えば、町外から移住を希望して「森のオフィス」と呼ばれるコワーキングスペース(共同のオフィス)を日常的な仕事場として使う場合、月額8万3,000円までの補助が受けられるという制度を開始。
こういった制度を告知するために専用ウェブサイトを整備したり、渋谷ヒカリエでイベントを開催したりしています。
この富士見町テレワークタウン計画のプロモーションを担当しているのは、元広告代理店社員で現在大手電機メーカーに勤める津田さん。
家族で富士見町に移住し、火・水・木曜日は品川のメーカー本社に勤務し、金・土・日・月曜日は富士見町で暮らすという「移住を自ら実践」しながら、富士見町のシティプロモーションを、個人で立ち上げた会社で請け負っています。
以前から津田さんの知人であった僕は、昨年10月に開催された渋谷ヒカリエでのイベントに登壇。マーケティングの専門家の立場から、富士見町の取り組みについて解説いたしました。
次に、静岡県浜松市のケース。ウナギやヤマハ、スズキ自動車で全国的に知名度の高い浜松ですが、その人口は減り続けています。
なんとか定住者を増やそうと、昨年11月に「わがまちの魅力を発信する」というシンポジウムが行われ、僕はそこでのパネルディスカッションに参加する形で登壇いたしました。
主催は、NPO法人「はままつ子育てネットワークぴっぴ」。
浜松市は徳川家康が江戸幕府を開く前に居城を構えていたことから「出世の街」を標ぼうしていますが、そこから子供を産み育てるのにふさわしいところとして「出生のまち」を掲げており、そのことをどう効果的に発信していくかが、シンポジウムのテーマでした。
僕からは、次の2点を指摘しました。
1点目は、市のホームページを見る限り「出世の街」に実態が伴っていないこと。家康の故事と関連させるだけではなく、例えば「出世支援プロジェクト」として起業支援プログラムを用意するなど、内実を伴わせる必要があることです。
2点目は、「出生のまち」と唱える契機が分からないので、「出世の街は、出生のまち」などと必ず出世の街と関連付けること。そして、やはり内情を伴わせることが重要なので、出産支援・子育て支援を具体的に充実させる必要性について、お話させていただきました。
会場には浜松市民の方々を中心に100名ほどの方が集まっていましたが、大いに盛り上がり、この問題への関心の高さをうかがわせました。
次回からは、また新しいマーケティング関連キーワードについて、ご紹介していく予定です。
次回の「佐藤達郎のマーケティング論」は『ネイティブ・アドって知ってますか? ツイッターやフェイスブックの新しいタイプの広告です』をお届けします。
佐藤達郎のマーケティング論
[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。
[記事提供]
(運営:株式会社アックスコンサルティング)