「欠勤しない」「有給休暇を取らない」のは美徳?
「日本人は勤勉だ」と言いますが、生まれつきではありません。
明治の初めに来たお抱え外国人が書いているものに、「日本人は時間を守らないので困る」と言っているものがありますから。恐らく、規律を守らせる義務教育が徹底したからでしょう。
その結果、工員も兵隊も優秀だと言われました。その代わり欠点は、「言われたことはやるけれども、独創性に欠ける」ということでしょうか。欠勤が少ないというのは美点です。行き過ぎなければ。海外で問題になるアブセンティイズムとは、無断欠勤のことです。
明治の初めに来たお抱え外国人が書いているものに、「日本人は時間を守らないので困る」と言っているものがありますから。恐らく、規律を守らせる義務教育が徹底したからでしょう。
その結果、工員も兵隊も優秀だと言われました。その代わり欠点は、「言われたことはやるけれども、独創性に欠ける」ということでしょうか。欠勤が少ないというのは美点です。行き過ぎなければ。海外で問題になるアブセンティイズムとは、無断欠勤のことです。
<有給休暇を取らせるメリット>
せっかく労働基準法で権利として定められている有給休暇を、取らない人たちがいることが、長年問題になっています。
統計によると、取得率の全産業平均は、2014年に48.8%で、時系列でも50%前後を安定的に推移しています。これは、欠勤が少ないということと共通するところがあるのかもしれません。
従業員の有給休暇というのは、企業にとってもメリットがあります。
金融関係の大企業では、転勤が頻繁です。これは、特定の顧客や関係者との癒着を防ぐ意味があります。異動のない小企業の場合、経理担当が不明瞭な処理をしていても他者には分かりづらいもの。有給休暇を取らせて他の者が業務を代わることで、不明瞭な処理を防ぐことができるでしょう。
企業としても、従業員に有休を取らせるべくあの手この手を考えています。たとえば、半日や時間単位の取得、傷病・介護に失効した休暇を使えるなどです。一斉休暇などは有休になりますが、個人の都合でないので制限があります。
<有給休暇取得率の高い企業>
「東洋経済」では、890社の有休取得率を3年間調べ、トップ300社の企業名を発表しています(2015年)。
見ると、大企業でもバラツキがあるのに驚かされます。業種でいうと、輸送用機器や電気・ガスの取得率が高く、建設、不動産、倉庫・運輸、小売の取得率が低いという特徴があります。第1位はホンダ(101.5%)、第2位ダイハツ工業、第3位アイシン精機でした。第300位にあたる企業でも、57.7%というように全産業平均を上回っていました。
企業成長のための人的資源熟考
[プロフィール]
佐野 陽子(さの・ようこ)
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。
[記事提供]
(運営:株式会社アックスコンサルティング)
せっかく労働基準法で権利として定められている有給休暇を、取らない人たちがいることが、長年問題になっています。
統計によると、取得率の全産業平均は、2014年に48.8%で、時系列でも50%前後を安定的に推移しています。これは、欠勤が少ないということと共通するところがあるのかもしれません。
従業員の有給休暇というのは、企業にとってもメリットがあります。
金融関係の大企業では、転勤が頻繁です。これは、特定の顧客や関係者との癒着を防ぐ意味があります。異動のない小企業の場合、経理担当が不明瞭な処理をしていても他者には分かりづらいもの。有給休暇を取らせて他の者が業務を代わることで、不明瞭な処理を防ぐことができるでしょう。
企業としても、従業員に有休を取らせるべくあの手この手を考えています。たとえば、半日や時間単位の取得、傷病・介護に失効した休暇を使えるなどです。一斉休暇などは有休になりますが、個人の都合でないので制限があります。
<有給休暇取得率の高い企業>
「東洋経済」では、890社の有休取得率を3年間調べ、トップ300社の企業名を発表しています(2015年)。
見ると、大企業でもバラツキがあるのに驚かされます。業種でいうと、輸送用機器や電気・ガスの取得率が高く、建設、不動産、倉庫・運輸、小売の取得率が低いという特徴があります。第1位はホンダ(101.5%)、第2位ダイハツ工業、第3位アイシン精機でした。第300位にあたる企業でも、57.7%というように全産業平均を上回っていました。
企業成長のための人的資源熟考
[プロフィール]
佐野 陽子(さの・ようこ)
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。
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(運営:株式会社アックスコンサルティング)