退職者にも賞与は払わないといけないの?
5月に会社を自己都合で辞めた退職者が、7月の夏季賞与を支払ってほしいと請求してきました。「辞めた人に賞与なんてあげたくなんかない。お断りだ!」と言いたいところですが、実際のところはどうなのでしょう。
たとえば夏季賞与の計算期間が12月から5月までで、支給が7月初旬だったとします。5月に会社を辞めた社員は、賞与の計算期間は在籍して働いています。この場合、賞与を支給する必要はあるのでしょうか?
たとえば夏季賞与の計算期間が12月から5月までで、支給が7月初旬だったとします。5月に会社を辞めた社員は、賞与の計算期間は在籍して働いています。この場合、賞与を支給する必要はあるのでしょうか?
賞与は必ず支給しなければならないものではありません。支給するのかどうか、どのように支給するかは、使用者と労働者との間の契約で決まります。賞与を社内制度として設ける場合には、必ず就業規則に定めなければならないことになっています。就業規則にどのように定めているかがポイントとなります。
就業規則において「支給日に在籍をしている者に対して賞与を支給する」という内容が規定されている場合は、退職をしており在籍していない者に対しては、賞与を支給しなくてもよいという判例が出ています(大和銀行事件・最一小判 昭和57年10月7日)。
賞与は支給後の将来も引き続き仕事をすることによって、これからも会社に貢献してもらいたいという意味合いがあります。辞めた人には将来の期待はできません。また、支給日に在籍しているかどうかで判断することは、賞与受給者を明確にできるという意味で合理性があります。
自己都合ではなく、会社都合退職の場合はどうでしょうか? 定年退職の場合はどうでしょうか? 社員が自分の意思で会社を辞めるわけではないのですから、支給日に在職していなくても支給しなければならないことになります。
年俸制を採用している場合も支給しなければなりません。年俸制は年間で支給する金額を契約で定めて分割して支給しているに過ぎません。実態としては賃金と考えられるからです(山本香料事件・大阪地判 平10年7月29日)。
ちなみに、給与については、給与計算期間に働いていた場合には、支給日に在籍していなかったとしても支給する必要があります。給与は労働の対価だからです。
判例でカンタン理解・労働法
[記事提供]
(運営:株式会社アックスコンサルティング)
就業規則において「支給日に在籍をしている者に対して賞与を支給する」という内容が規定されている場合は、退職をしており在籍していない者に対しては、賞与を支給しなくてもよいという判例が出ています(大和銀行事件・最一小判 昭和57年10月7日)。
賞与は支給後の将来も引き続き仕事をすることによって、これからも会社に貢献してもらいたいという意味合いがあります。辞めた人には将来の期待はできません。また、支給日に在籍しているかどうかで判断することは、賞与受給者を明確にできるという意味で合理性があります。
自己都合ではなく、会社都合退職の場合はどうでしょうか? 定年退職の場合はどうでしょうか? 社員が自分の意思で会社を辞めるわけではないのですから、支給日に在職していなくても支給しなければならないことになります。
年俸制を採用している場合も支給しなければなりません。年俸制は年間で支給する金額を契約で定めて分割して支給しているに過ぎません。実態としては賃金と考えられるからです(山本香料事件・大阪地判 平10年7月29日)。
ちなみに、給与については、給与計算期間に働いていた場合には、支給日に在籍していなかったとしても支給する必要があります。給与は労働の対価だからです。
判例でカンタン理解・労働法
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