賃金を引き上げる事業場の設備投資などを支援する『業務改善助成金』
助成上限額および助成率にて算出した金額のうち、いずれか低いほうが支給されます。
『業務改善助成金』
『業務改善助成金』は、以下の要件を満たす事業場(※1)が対象となります。
1.中小規模・小規模事業者(※2)
2.事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内
3.解雇、賃金引下げなどの不交付事由がない
※1 原則、同一場所にあれば一の事業場とし、場所的に分散しているものは別個の事業場とされます。
※2 資本金や常時雇用する労働者の数によって定義されます。
詳しくは厚生労働省より発表されている要綱をご確認ください。
【助成上限額】
「事業場内最低賃金の引上げ額」および「引き上げる労働者数」によって変わります。
以下、括弧内の金額は、事業場規模30人未満の事業者の場合です。
・30円コース(事業場内最低賃金30円以上引上げ)
1人 30万円(60万円)
2~3人 50万円(90万円)
4~6人 70万円(100万円)
7人以上 100万円(120万円)
10人以上 120万円(130万円)
・45円コース(事業場内最低賃金45円以上引上げ)
1人 45万円(80万円)
2~3人 70万円(110万円)
4~6人 100万円(140万円)
7人以上 150万円(160万円)
10人以上 180万円(180万円)
・60円コース(事業場内最低賃金60円以上引上げ)
1人 60万円(110万円)
2~3人 90万円(160万円)
4~6人 150万円(190万円)
7人以上 230万円(230万円)
10人以上 300万円(300万円)
・90円コース(事業場内最低賃金90円以上引上げ)
1人 90万円(170万円)
2~3人 150万円(240万円)
4~6人 270万円(290万円)
7人以上 450万円(450万円)
10人以上 600万円(600万円)
10人以上の上限額区分は、特例事業者が、10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合に対象になります。
【助成率】
助成率とは、生産性向上に資する投資にかかった費用に対し、助成金を支給する割合のことです。
引上げ前の事業場内最低賃金の金額によって助成率が変わります。
1.900円未満:9/10
2.900円以上950円未満:4/5(生産性要件を満たすと9/10)
3.950円以上:3/4(生産性要件を満たすと4/5)
『生産性要件』とは、企業の決算書類から算出した労働者1人当たりの付加価値を指します。
助成金の支給申請時の直近の決算書類に基づく生産性と、その3年度前の決算書類に基づく生産性を比較し、伸び率が一定水準を超えている場合などに、加算して支給されます。
【生産性向上に資する投資例】
・POSレジシステム導入による在庫管理の短縮
・リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
・専門家による業務フロー見直しなどの経営コンサルティング
・顧客・在庫・帳票管理システムの導入
・建設業における各種重機の運転資格の取得(資格取得は一定のものに限られます)
・外国人観光客を接待等するための外国語研修
・リース・ローン・ライセンス契約などによる経費
【事業場内最低賃金の引上げのルール】
事業場内最低賃金の引上げを行うことを助成の要件としており、下記のような引上げルールがあります。
・雇い入れ後3カ月を経過した労働者の事業場内最低賃金の引上げを行う
・事業場内最低賃金の引上げを複数回に分けた場合は助成対象外となっており、賃金の引上げは1回のみで行う必要がある
・フルタイム勤務者の事業場内最低賃金の引上げは、所定労働時間・日数の減少を伴わないもの
・引き上げる労働者数は、事業場内最低賃金である労働者および引上げによって賃金額が追い抜かれる労働者をカウントできる
ただし、いずれも申請コースと同額以上の賃金引上げが必要です。
【その他の注意事項】
・申請回数について
過去に本助成金を申請した事がある事業場も再申請が可能です。
ただし、令和6年度内(4/1~申請締め切り12/27まで)の申請は1回までです。
・生産性向上に資する投資について
設備投資による機器導入などの納品は、交付決定後ではならず、交付決定前に納品された場合は助成対象外となります。
一方、申請後、交付決定前であっても機器を発注することは差し支えありません。
今年度の申請期限は12月27日(事業完了期限は令和7年1月31日)までです。
設備投資などの予定がある事業主の方は利用を検討してみてはいかがでしょうか。
詳細は専門家にお問い合わせください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html
※本記事の記載内容は、2024年5月31日現在の法令・情報等に基づいています。