トラブルを防ぎ患者やスタッフを守る『医療監視カメラ』のすすめ
こうしたトラブルを未然に防ぐために有効なのが、医療監視カメラです。
監視カメラは盗難や不審者の侵入以外にも、こうしたトラブルに有効とされ、多くの医療機関で導入が進んでいます。
トラブルを防ぐということは、患者や自院で働くスタッフを守ることにもつながります。
導入を検討している未設置の医療機関に向けて、監視カメラのメリットや活用できるシーンなどを説明します。
受付窓口での会計トラブルにも効果を発揮
医療機関には、常に不特定多数の人が出入りします。
診療時間中であれば、誰でも簡単に立ち入れますし、有床診療所や病院では患者を見舞う家族や知り合いを装い、容易に中に入ることもできます。
2024年4月には、東京都武蔵野市の病院に男が侵入し、人がいない隙を見計らって入院患者の現金を盗んだとして、逮捕されました。
入院患者の現金のほかにも、患者の所有物であるスマートフォンやノートパソコン、病院の機材や薬剤なども換金目的や犯罪への利用などで狙われることがあります。
不審者の侵入を防ぐのはもちろんですが、万が一被害に遭った場合も、犯人を特定するためには監視カメラの設置が必要不可欠といえます。
また、個人のクリニックであれば、狙われやすい受付窓口や事務室などに監視カメラを設置しておくことで、現金窃盗などへの抑止力となるでしょう。
受付窓口では患者と医療費などで現金のやり取りを行うため、釣り銭ミスなどの会計トラブルが起きた際にも、監視カメラの映像記録が事実確認に役立ちます。
会計トラブル以外にも、来院者からのクレームなど、患者とやり取りをする受付窓口は、特に何かしらの問題が起きやすい場所なので、最初に監視カメラの設置を検討しましょう。
患者からのクレームも正当なものであれば適切に対処しなければいけませんが、なかには理不尽と思えるようなものがあります。
患者やその家族から受ける理不尽なクレームや暴言・暴力などの迷惑行為は、ハラスメントの一種である『ペイシェントハラスメント(ペイハラ)』に含まれます。
ペイハラはコロナ禍を経て、増加傾向にあるといわれています。
ペイハラからスタッフを守るために、医療機関は毅然とした態度で対処する必要がありますが、まずは迷惑行為があったことを監視カメラの映像記録などによって客観的に確認、証明しなければいけません。
監視カメラのタイプと設置する際の注意点
医療機関の待合室などでは、患者同士の言い争いやケンカなども発生しがちです。
疾病を抱えているうえに、二次感染のリスクもあり、長時間待たされることもある待合室は、患者にとってストレスのかかりやすい環境であり、話し声や物音など、些細なことが原因でトラブルがよく起こります。
監視カメラによる事実確認で、こうしたトラブルも解決に導くことができます。
ほかにも、病床がある医療機関では、入院患者の徘徊や無断外出などを見守るために監視カメラが活躍します。
あまり考えたくはないですが、スタッフによる横領や薬剤の外部への持ち出しといった不正行為を防ぐためにも設置を検討したいところです。
監視カメラは24時間稼働させることが前提なので、できるだけ高画質で記録を残せるものが望ましく、医療機関では威圧感のないドーム型のものが適しています。
また、出入り口など、屋外に設置する場合は、防水性や防塵性に優れているボックス型やバレット型の監視カメラがおすすめです。
これらは四角い箱にカメラがついた、いわゆる標準的な防犯カメラの形なので、威圧感があり、不審者への牽制に効果的です。
監視カメラは医療機関の運営に欠かせないものといえますが、一方で、運用に際してはプライバシーや守秘事項などに注意しなければいけません。
医療機関の監視カメラは、個人を特定するためにも使われるものなので、入院病棟に設置するのであれば、入院患者の同意を得ておく必要がありますし、受付窓口や待合室に設置するのであれば、監視カメラがある旨をステッカーなどで周知しておきましょう。
自治体によっては、監視カメラの設置についてガイドラインを策定しているところも少なくありません。
自院のある市区町村でのガイドラインの有無を確認し、もしガイドラインを定めているのであれば、従うようにしましょう。
※本記事の記載内容は、2024年6月現在の法令・情報等に基づいています。