集客に効果的な『食べ放題メニュー』の導入方法
何十種類もの料理を好きなだけ自由に取って食べることができるビュッフェスタイルの店も流行しています。
こうした『食べ放題』は、お客にとってはもちろん、店側にもさまざまなメリットがあります。
一方で、導入する際にはいくつかの注意点があり、準備をしないまま安易に導入すると失敗してしまう可能性もあります。
しっかりと集客を図ることができる効果的な食べ放題の導入方法を考えていきます。
収益性の高さが食べ放題のメリット
好きなものをおなかいっぱいになるまで食べられる食べ放題はファミリー層や友人グループ、カップルなどに人気です。
特にコロナ禍の大きな波が過ぎてからは、これまで外食に行きづらかったお客も店に足を運ぶ傾向にあり、食べ放題で話題の店は平日でも混雑していることがあります。
こうした集客以外にも店側にはさまざまなメリットがあります。
その一つが収益性の高さです。
焼き肉やしゃぶしゃぶなどの使用素材を絞る食べ放題であれば、限定された食材を大量に仕入れることになるため、通常よりも安価に仕入れが行いやすく、十分な利益を確保することが可能です。
特に焼き肉やカニ、寿司などの高級感のあるメニューは、食べ放題であることが価値になるため、多少価格を高めに設定しても、お得感を演出できます。
つまり客単価が高く、お客が来れば来るほど、収益を確保できるというのが、食べ放題の最大のメリットです。
同じ食べ放題でもコースを複数用意することで、選択肢を増やし、高価格帯であることの忌避感を緩和させることができます。
たとえば、ある焼き肉チェーンでは、品数を絞った一番安価なコースが3,180円で、通常のコースが3,580円、ほとんどのメニューを頼めるコースが4,780円、黒毛和牛が食べられるコースが5,680円に設定されています。
高額のコースだけでは割高感が否めず来店する客層が限定されますが、安価なコースもあることで幅広い客層の来店を可能にしています。
このように価格が固定されていることも食べ放題の特徴です。
そのため、食材を仕入れた段階で、ある程度の売上を予測しやすいというメリットがあります。
食べ放題は原価率の高さがネック
食べ放題は仕入れのコストだけではなく、人件費の削減も可能です。
焼き肉やしゃぶしゃぶ、カニなどは素材をそのまま提供することになるため、そこまで調理に手がかかりませんし、寿司やピザなどはアルバイトによるオペレーションでの調理も不可能ではありません。
また、オーダーバイキング形式ではなく、ビュッフェスタイルの食べ放題は、一般的な飲食店のように注文が入ってから調理するのではなく、あらかじめ大量の料理を調理しておけるため、昼のピークタイムに合わせて調理スタッフを増やしておく必要もありません。
ビュッフェ形式はお客がメニューを直接取りに行くため、配膳スタッフの人数も最低限で済みます。
ただし、ビュッフェ形式は動線の確保に相応の広さを要するため、導入する際は店舗面積に留意しておきましょう。
さらに、食べ放題は時間制限を設けることでお客の回転率を上げることもできます。
制限時間があることで、滞在時間が読めないお客はいなくなりますし、たとえ長居されていたとしても、「制限時間になりましたので」とスムーズな退店の誘導が可能です。
また、ランチタイムは90分、ディナータイムは120分など、時間帯によって制限時間を変えることで、客足の調整もできます。
このようにメリットの多い食べ放題ですが、デメリットがないわけではありません。
デメリットの一つは原価率の高さです。
焼き肉やしゃぶしゃぶなどの肉系から、カニや寿司などの海鮮系まで、独自のルートがなければ、基本的に食べ放題では原価率の高い食材を扱います。
ピザやパスタ、お好み焼きやもんじゃ焼きなどは、いわゆる『粉もの』なので原価率が低いと思われがちです。
しかし、小麦粉の約83%を海外から輸入している日本では、ロシアのウクライナ侵攻や記録的な円安などで小麦粉の価格も高騰しており、必ずしも原価率の低い食材とはいえなくなりました。
近年は小麦粉を扱うパン屋やラーメン店の倒産も相次いでいます。
さらに、ビュッフェ形式の場合は客足によって作った料理が消費しきれなかったり、お客の食べ残しが発生したりするなど、食品ロスのおそれもあります。
食べ放題で利益を出すためには、原価率の低い食材を選んだり、一部のメニューに絞ったりするなどの工夫が必要になります。
焼き肉やしゃぶしゃぶ、カニなど原価率の高い主食材以外に、ご飯や麺類など原価率の低いメニューも用意し、満腹になってもらうようにするのも一つの手段です。
最近では、卵かけご飯の食べ放題や、おでん食べ放題、アボカド食べ放題など、少し変わった食材の食べ放題で人気を博している飲食店もあります。
食べ放題の導入を検討する場合は、どんな食材や価格設定ならお客を集めることが可能なのか、考えてみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2024年6月現在の法令・情報等に基づいています。