社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

介護事業所が『SNS採用』を成功させるために必要なポイントとは!?

24.06.04
業種別【介護業】
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急速な少子高齢化の影響で、介護業界の人材不足問題は深刻化しています。
厚生労働省がまとめた『第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について』によると、2025年度には介護職員の必要数に対して約32万人、2040年度には約69万人が不足するとされています。
人材不足問題を解消するため、介護職員の処遇改善、多様な働き方などさまざまな対策がなされていますが、それでも必要職員数とは大きく乖離しており、今後も継続した人材確保のための対策が必要です。
今回は、その打開策の一つとなりうる『SNS採用』について解説します。
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介護業界に若年者を雇用する必要性

『令和4年介護労働実態調査』によると、職種別の平均年齢は介護支援専門員が53.0歳で最も高く、訪問介護員50.0歳、サ-ビス提供責任者49.5歳、看護職員48.0歳と続いています。
他の業界における労働者の平均年齢は概ね30代後半から40歳代前半となっていますので、介護業界の労働者が高齢化していることがわかります。
そして、介護業界での平均年齢は今後もさらに上昇すると予想されています。
慢性的な人材不足問題の解消には、幅広い年齢層の採用が必要ですが、職員の高齢化問題も考慮すると若年者層の人材をどのように雇用していくかがポイントです。
その打開策の一つとなる可能性があるのが『SNS採用』です。

『SNS採用』のメリットとデメリット

ジョブズリサーチセンターが実施した『求職者の動向・意識調査2023』によると、仕事を探す際に利用した求人情報源で最も多いのは「求人情報サイト(携帯・スマホ)」で、全体の37.2%を占めており、特に女性では、若年労働者層ほど利用頻度が高い傾向にあります。
しかし、求人情報サイトは、応募の有無に関係なくコストがかかり、継続して利用する場合にはある程度の予算を計上しておく必要があります。
そのようななか、近年注目されている手法が『SNS採用』です。
SNS採用は『ソーシャルリクルーティング』とも呼ばれ、SNSを通じて行われる採用活動のことを意味します。
SNS採用を導入する企業は年々増加しており、特にZ世代を中心とした就職活動者の情報収集源として広がっています。
若い世代が日常的に利用しているSNSを採用に活用することで、自社のアピール、認知度の向上、求人情報掲載、スカウトなど、さまざまな効果が期待できます。

SNS採用の主なメリットとして、以下の事項があげられます。
(1)無料または低コストで運用できるため予算が抑えられる
(2)拡散力が非常に高く、多くの人に自社の存在を知ってもらうことができる
(3)就職、転職の潜在層へのアプローチが可能
(4)SNS求職者と接点を持つことにより、長期的な採用戦略としての活用も可能
(5)会社の雰囲気や理念、働き方などのリアルな情報を発信できる

一方、SNS採用のデメリットには、以下の事項があります。
(1)運用を始めてから認知度が向上するまでに時間がかかるため、即効性は期待できない
(2)最新の情報を継続して発信する必要があるため、スタッフの労力がかかる
(3)情報発信の内容によっては、炎上するリスクを伴っている

SNSの媒体と主な特徴

SNS媒体にはそれぞれの特性や利用者の年齢層などの違いがありますので、どれが自社の採用計画に最適な媒体であるかを選ぶためにも、各SNSの特徴を把握しておくことが重要です。

TikTok:10代の利用率が非常に高く、今後社会人になる世代をターゲットとして、新卒採用への活用が期待されています。
スマートフォンで簡単に動画を作成できるため、効率的に採用動画を作成でき、事業所内の雰囲気やスタッフの人柄を伝えるのに最適です。
X(旧Twitter):国内で6,600万人以上のユーザーがおり、幅広い世代にアピールできます。
また、アカウント運用は無料で始められるため、低コストで迅速な情報発信が可能であり、「リツイート」や「いいね」などのエンゲージメントを通じて、情報が拡散しやすいというメリットがあります。
Instagram:10~20代の利用者が多く、新卒採用から転職希望者まで幅広くアプローチできます。
写真や動画を投稿できるため、事業所の魅力を視覚的に伝えることができると共に身近で親近感を感じやすくさせるというメリットがあります。
YouTube:Googleが運営する世界最大の動画共有サービスで、国内では7,800万人以上が利用しており、幅広い年齢層にアピールできます。
動画で事業所の雰囲気や業務内容などを視覚的にわかりやすく伝えることができるため、働くイメージを持ってもらいやすく、ミスマッチを防ぐ効果も期待できます。
LINE:約9,600万人という国内最大級の利用者を抱えており、新卒から中途採用まで幅広い求職者にアプローチできます。
LINEが持つデータ(年齢、性別、趣味などのユーザーデータ)を利用して、ターゲットに合った情報を配信できます。

SNS採用を成功に導くためには、採用戦略を立て計画的に運用することが必要です。
採用戦略として、まずSNS採用の目的と目標を決定し、自社で採用したい人物像を「ペルソナ」に設定してターゲット層を絞ります。
そして、採用戦略にあわせたSNS媒体を選定し、「運用担当者の選定」「コンテンツの検討」「運用マニュアルやルールの作成」を行います。
このように、SNS採用を成功させるためには、計画的かつ継続的に運用を進めて行くことが重要なポイントとなります。
若年世代の人材確保のためにも、SNS採用の利用を検討してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2024年6月現在の法令・情報等に基づいています。