社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

お客からのオーダーが『無茶振り』だった場合の正しい対応は?

24.04.02
業種別【美容業】
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美容師は接客業のため、お客への接客には懇切丁寧な対応が求められます。
しかし、お客のなかには、実現できない髪型や複雑なカラーなど、対処が不可能なオーダーをする人もいます。
よい接客を心がけようとして、こうした『無茶振り』を受けてしてしまうと、お客の要望通りにならず、クレームに発展してしまう可能性もあります。
では、お客からの無茶振りには、どのように対処すればよいのでしょうか。
むずかしいオーダーの対処方法や、お客への上手な断り方などを学んでおきましょう。
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対応できない理由を伝えて別の提案を

美容室にはさまざまなお客が来店しますが、お客全員に専門的な知識があるわけではないので、美容師であれば明らかに不可能だとわかるオーダーをされることもあります。

たとえば、お客がショートカットにもかかわらず、ある程度の髪の長さが必要なヘアスタイルをオーダーしてきた場合、その希望を叶えることは物理的にむずかしいでしょう。
また、お客の髪質では再現がむずかしいヘアスタイルを希望されたり、明らかに施術によって髪がダメージを受けてしまうヘアスタイルを注文されたりするといったケースもあるかもしれません。

仕上がりイメージのすれ違いだけではなく、「ブリーチをしたくはないが、明るい髪色にしてほしい」や「黒染め後に、カラートーンのチェンジをしたい」など、カラーにまつわるオーダーにも、多くの美容師は頭を悩ませています。

実現するのが現実的でないオーダーは、そのまま引き受けてもお客の要望通りにはならず、結果として満足度を下げることにもなりかねません。

大切なのは、どうしてこの施術が実現できないのか、丁寧に説明してお客の理解を得ることです。
もし、実現がむずかしいヘアスタイルを希望されたら、お客の頭の形や輪郭、髪質や毛量などを伝えて、イメージ通りにはならない可能性があることを説明しましょう。
カラーに関するむずかしいオーダーも、髪にダメージを与えてしまうことや、色が入りにくいことなどを前もって伝えておくことが重要です。
同時に、カタログやカラーサンプルなどを見せながら、別のヘアスタイルやカラーを提案し、お客の頭のなかのイメージとすり合わせを行なっていくとよいでしょう。

人気がある美容師ほど、施術前のヒアリングを欠かしません。
お客が当初想定していたイメージ通りとはいかなくても、入念なすり合わせを行なった結果、最終的に似合っているヘアスタイルに仕上げることができれば、お客の満足度は高まるからです。

『お任せ』のお客には特にヒアリングが重要

細かすぎるオーダーはもちろんですが、逆に何もイメージが固まっておらず、すべてを美容師に任せてしまうオーダーも困りものです。
特に男性のお客のなかには、具体的なヘアスタイルが決まっておらず、漠然と「伸びた分だけ切ってください」や「お任せするので、いい感じにしてください」といったオーダーをする人がいます。
好みは人それぞれなので、美容師のセンスでカットしたとしても、満足してもらえるとは限りません。
『お任せ』のお客に対しても、施術前にヒアリングをして、要望をすくい上げて出来上がりをイメージしてもらう作業が必要になります。

その際にヒントとなるのは、「されたくない髪型はありますか?」や「今までどういった髪型でしたか?」などの質問です。
男性の場合は、襟足や前髪の長さ、耳を出す出さないなどを細かく聞いても「お任せで」となってしまう場合があるので、最低限してほしくないことを押さえておき、以前のヘアスタイルに近づけていくという手段があります。
また、カタログや雑誌などを用いてさまざまなヘアスタイルを紹介することで、興味が出てくる髪型があるかもしれません。
Googleなどの画像検索やSNSのハッシュタグなどから、イメージに近いヘアスタイルの写真を探すのも有効です。

ほかにも、男女問わず、他店のやり直しを希望したり、有名な美容師のスタイリングと同じものをオーダーしたりするお客もいます。
こうした注文に対応できるのであれば問題ありませんが、少しでもむずかしいと思った場合は、断る勇気を持つことも大切です。特に、技術的にむずかしい施術であれば、失敗する確率も高くなってしまいます。

お客にお断りする際は、できるだけ要望には応じたいことを伝えながら、実現がむずかしい理由を丁寧に説明して理解を求めましょう。


※本記事の記載内容は、2024年4月現在の法令・情報等に基づいています。