『渉外』はどんな仕事?『営業』や『広報』との違いを解説
多くの金融機関や百貨店には渉外部があり、一般の企業でも渉外部を設けているところがあります。
渉外の業務内容は顧客の要望を汲み取って商品の提案をしたり、PRを行なったりするなど、営業や広報の仕事と重なる部分も多くあります。
そこで、営業や広報と兼任させるのではなく、専任で渉外業務に携わる部署を設置したりスタッフを配置したりすることで、顧客に対して複合的なサービスの提供が可能になります。
渉外業務の具体的な内容と、渉外専門の部署を設置するメリットについて解説します。
顧客との関係強化に欠かせない渉外部
『渉外』とは、社外に対して交渉や連絡を行う業務を指し、業種や業態により、役割が少し変わります。
金融機関であれば、法人や個人の顧客のもとに出向いて話を聞き、金融商品や資金運用についての提案を行い、最終的に商品やサービスを契約してもらうことが渉外部の仕事になります。
金融機関の窓口としての役割もあるため、営業と同様に顧客との強固な信頼関係を築いていくことが求められます。
百貨店における渉外部は『外商顧客』と呼ばれる富裕層の顧客のもとに出向き、要望に沿って商品を提案する役割を担います。
取り扱う商品は高額なものが多く、金融機関と同様に顧客との信頼関係が大切で、渉外部が百貨店の売上の要になるともいわれています。
商品やサービスを提案して売るという意味では、営業の仕事とよく似ており、内容が重なる部分もあります。
営業が自社の商品やサービスを顧客に販売することに特化した業務なのに対し、渉外は顧客の要望を汲み取り、提案や交渉をはじめサポートを行うことを業務としています。
つまり、営業と同じように自社の商品やサービスを提案するのと同時に、顧客との関係性を強化して企業に利益をもたらすのが、渉外部の役割です。
したがって多くの場合、渉外担当が接するのは特定の顧客に限られ、不特定多数と接する営業とはその特性が違い、密で深いコミュニケーション能力や提案力、交渉力などが求められます。
また、外部に自社の商品を周知させるという意味では、広報の仕事とも重なる部分があります。
ただし、渉外が原則として特定の顧客のみと向き合うのに対し、広報は顧客以外の見込み客やメディアなどへの対応も担います。
営業と同様に、渉外と広報も親和性の高い業務だけあり、企業によっては広報部と渉外部を合わせた広報渉外部を設置しているところもあります。
効果的な営業と渉外の役割分担を考える
一部の企業では、営業部と渉外部、営業担当と渉外担当を分けることで、業務の効率化を図っているところもあります。
業種や業態により、営業と渉外の役割分担の範囲はさまざまです。
たとえば、未開拓のエリアや分野などにアプローチするといった販路の拡大は営業担当に任せ、実際に契約が取れた段階で渉外担当が営業担当から引き継ぎ、具体的に交渉を進めていくケースです。
このような役割分担を行うことで、営業担当は一つの案件に掛かりきりになることなく、別ルートの開拓など新規顧客の創出に専念できます。
特に近年は、取り扱う商品やサービスが複雑化しているため、逆に渉外担当が商品の説明を行い顧客に魅力を理解してもらったところで、最後に営業担当が契約を締結させるというケースもあります。
この場合は、渉外担当が顧客訪問数を増やしながら自社商品の提案に力を尽くし、営業担当が実際の売上を立てていくという方式です。
また、提案から販売までのすべてを営業担当に任せ、渉外担当はアフターフォローに回ることで、長期に渡って顧客との良好な関係を築いている企業もあります。
メーカーにおいては、商品やサービスを売って終わりではなく、顧客に何度もリピートしてもらい、ファンになってもらうことが重要です。
渉外担当がカスタマーサポートやアフターサービスを行い、きめ細やかなフォローで顧客との関係を強化することは、継続的な売上に貢献する方法の一つといえます。
渉外担当は関係性を構築した顧客から商品の問題点や不満点を拾い上げ、商品企画や開発・制作部門などにフィードバックを行うことで、品質改善や顧客満足度の向上を担います。
顧客との関係強化はもちろんですが、商品やサービスの品質向上のためにも渉外担当は欠かせない存在です。
特にアフターフォローが必要となる、継続的に使用する商品やサービスを提供している場合は、営業部や広報部とは別に、渉外業務を専任で行う部署または担当者を置くかどうか検討してみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2024年4月現在の法令・情報等に基づいています。