組織の成長には欠かせない『モチベーター』になるには
従業員に的確な指示を与え、やる気を引き出すには、みずから業務を遂行する能力とは別に『人を活かす』能力が必要になります。
このように従業員のモチベーションを上げることのできる人を『モチベーター』といいます。
優秀なモチベーターがいる組織は、全体で高いパフォーマンスを発揮し、大きな成果を上げることができます。
経営者がモチベーターとなって従業員を導くには、何が必要なのでしょうか。
モチベーターになる人の資質や、逆に従業員のやる気を削いでしまう人の特徴などを解説します。
『働きがい』のある組織の業績が伸びている
従業員の組織に対する意識は、『働きやすさ』と『働きがい』に大別することができます。
働きやすさは労働条件や配属先、人間関係や職場環境、福利厚生などに起因するのに対し、働きがいは仕事の内容や責任、評価や達成感などに影響されます。
働きやすく働きがいのある組織は、従業員の仕事への意欲や会社への定着率も高い傾向にあります。
厚生労働省による従業員調査では、『働きやすく、働きがいのある組織』が『働きづらく、働きがいのない組織』よりも、『仕事への意欲』と『勤務継続の意向』が倍以上も高いことがわかっています。
そして、会社の業績についても、『働きやすく、働きがいのある組織』のほうがよくなる傾向にあることがわかりました。
組織の成長のためには、『働きやすさ』と『働きがい』の両方の底上げが欠かせません。
特に働きがいの有無は、組織の士気に大きく関わります。
働きがいは仕事へのモチベーションと言い換えることもできます。
組織において多くの仕事は、個人ではなくチームとして行われるものですが、一方で個人のモチベーションが高くないと、全体として望んだ以上の成果を上げることはできません。
高いモチベーションで仕事に臨むためには、指示どおりに目の前の業務をこなすのではなく、一人ひとりがその仕事を『自分ごと』として捉え、自主的に動く必要があります。
そのためには、従業員のやる気を引き出して、モチベーションを上げることのできるモチベーターの存在が必要不可欠となります。
モチベーターになるために必要なものとは
モチベーターは従業員に対する管理能力や、リーダーとしての能力に長けた人のことを指し、「従業員と目標やビジョンを共有できる」「従業員を信頼し、自主性を重んじる」「従業員が失敗してもフォローする」「個人の能力や貢献度を把握し、公平な評価を下せる」などの特徴を持ちます。
従業員にとって目標やビジョンは働く原動力になり、責任のある仕事を任されることで使命感や職業意識も生まれます。
裁量権を与えられた結果、たとえミスをしても的確なフォローをしてもらえるのであれば、思い切って仕事に取り組むことができ、会社や上司からの公平な評価は向上心の醸成にも結びつきます。
部下を鼓舞してやる気を起こさせる、いわゆる世間一般的な『理想の上司像』が、まさにモチベーターのイメージといえるのではないでしょうか。
逆に、従業員のモチベーションを下げてしまう言動をする人のことを、「ディモチベーター」や「モチベーションブレイカー」と呼びます。
たとえば、論理的に叱って諭すのではなく、感情のままに怒ったり、自身の責任から逃れたりする人、または必要なコミュニケーションを取らなかったり、偏った評価しかできなかったりする人です。
このような人は、たとえ本人の能力が高くても、従業員のモチベーションを下げ、やる気を削ぎ、組織に悪影響を与えてしまいます。
もし、自身に心当たりがあるのであれば、言動を見直し、モチベーターになるための努力をしなければいけません。
モチベーターになるためには、的確な判断を下すための論理的な思考が必要になります。
言っていることに矛盾があったり、論理が破綻していたりするのでは、従業員の信頼を得ることはできませんし、現場を混乱させることにもつながります。
論理的な思考は決断の裏付けにもなり、業務の進行をスムーズにします。
また、従業員の話に耳を傾け、的確な声かけを行うなど、コミュニケーション能力も重要です。コミュニケーションによって従業員の状態や能力を把握していなければ、公平に評価することもできません。
本人の資質によるところもありますが、組織を率いるのであれば向き不向きにかかわらず、モチベーターとしての役割を求められます。
従業員に高いモチベーションを持って仕事に取り組んでもらうためには、リーダーとしてどうあるべきなのか、よく考えてみましょう。
※本記事の記載内容は、2024年3月現在の法令・情報等に基づいています。