新築と中古で異なる!『不動産登記』費用を把握する
不動産登記とは、不動産の住所や面積などの「状況」と、所有権や抵当権などの「権利」を明確にするための不動産登記法に基づく制度です。
登記が行われると、その情報は登記簿などに記録され、誰でも閲覧することが可能になります。
登記する際は、法務局で申請するときに「登録免許税」がかかり、土地家屋調査士や司法書士への「報酬」といった費用も必要になります。
高額になる可能性もある不動産の登記費用の内訳を把握しておきましょう。
新しく建物を建てた場合の登記費用
不動産登記にはいくつかの種類があり、必要になる費用の額も登記の種類ごとに異なります。
新しく建物を建てた場合は、『建物表題登記』と『所有権保存登記』という2つの登記を行います。
不動産登記の登記記録は、不動産の現況を示す「表題部」と、権利を示す「権利部」に分かれています。
新築の建物は、建物表題登記によって表題部に住所や面積などの状況を記録し、所有権保存登記によって権利部に所有権を記録することになります。
建物表題登記には不動産の調査や測量が必要になるため、通常は土地や家屋の専門家である土地家屋調査士に、調査から登記の手続きまで一括で依頼することになります。
土地家屋調査士に建物表題登記の一連の手続きを依頼する際の報酬は、8万~10万円が相場といわれています。
しかし、この費用は不動産の面積や種類、形状などによって変動します。
建物表題登記は、建物が完成してから1カ月以内の申請が義務づけられています。
また、所有権保存登記は司法書士に依頼することになるため、新しく建物を建てた場合は司法書士の報酬も必要になります。
さらに、所有権保存登記を申請する際は「登録免許税」も納めなければいけません。
登録免許税とは、登記をする際に登記を行う人が国に納める税金で、不動産登記の場合はその不動産の所有者が支払わなければならないものです。
登録免許税額は原則として「課税標準額×税率」という式で求め、税額は登記の種類によって異なります。
所有権保存登記の税率は0.4%なので、「課税標準額×0.4%」で登録免許税額を求めることができます。
ただし、新築の場合は2024年3月31日まで軽減税率が適用され、住宅用家屋の床面積が50㎡以上であることなどの一定の要件を満たす場合、その税率は0.15%とされ、さらに住宅を長くよい状態で保てるよう設計された認定長期優良住宅や、二酸化炭素の排出量を抑制する仕組みのある認定低炭素住宅の要件を満たせば0.1%となります。
ちなみに、建物表題登記は登録免許税が不要です。
ここでいう登録免許税額を求めるための課税標準額とは、不動産の価格のことです。
中古の建物であれば、固定資産税の課税対象となる固定資産課税台帳に登録された価格がありますが、新築の建物の場合は固定資産課税台帳に登録がないため、建物の構造や用途ごとに法務局が設定している価格になります。
ただし、これらは実際の取引価格とは異なるため、注意が必要です。
所有権移転登記と抵当権設定登記の費用
では、建物や土地の所有者を移転する場合はどのような登記が必要なのでしょうか。
中古の建物や既存の土地などを購入した際には、『所有権移転登記』が必要になります。
所有権移転登記は不動産の所有者が変わったときに行う登記で、家や土地を相続した場合なども、この登記を行う必要があります。
所有権移転登記の登録免許税も、「課税標準額×税率」で求めますが、税率は購入した場合と相続した場合で異なります。
土地や中古の建物を購入した場合の税率は2.0%、土地や建物を相続した場合の税率は0.4%となっています。
ただし、土地の売買による所有権移転登記の税率は、2026年3月31日まで1.5%に軽減されます。
また、中古建物についても要件を満たせば、2024年3月31日まで、所有権の移転登記の税率が本来の2.0%から0.3%に軽減されます。
ちなみに、既存の土地を購入してそこに新しく建物を建てる場合は、土地に対する所有権移転登記と、建物に対する所有権保存登記の両方が必要です。
また、銀行で住宅ローンを組む際には、『抵当権設定登記』を行います。
抵当権とはいわゆる担保のことで、住宅ローンの返済が滞った際に、銀行が優先的に土地及び建物を差し押さえて未払い分を回収できる権利のことです。
この抵当権を設定するために、抵当権設定登記が必要になります。
抵当権設定登記の登録免許税の税率は0.4%ですが、居住用の家で床面積が50㎡以上など一定の条件を満たすと、所有権保存登記及び所有権移転登記と同様に税率が軽減され、0.1%になります。
なお、抵当権設定登記の課税標準額は、所有権保存登記及び所有権移転登記と異なり、債権金額です。
これらの登記手続きは複雑で手間もかかり、知識も必要なため、登記の専門家である司法書士に依頼するのが一般的です。
登記時に必要な各種税金や、土地家屋調査士および司法書士への報酬など、かかる費用は複数に渡るので、まずはしっかり確認しておきましょう。
※本記事の記載内容は、2024年1月現在の法令・情報等に基づいています。