なぜ自分が逮捕? 身に覚えのないことで逮捕されたら
犯罪と縁のない生活を送っている人にとっては、逮捕なんて他人事のように感じるでしょう。
しかし現実には、特に罪を犯していなくても、身に覚えのないことで逮捕されるということも起きています。
もし、そのような事態に巻き込まれたらどうすればよいのでしょうか?
そこで今回は、逮捕された場合に自分の身を守るために最低限知っておくべきことについて説明します。
まずは弁護士に相談する
罪を犯した自覚のあるないにかかわらず、逮捕されると、警察署内にある留置施設に身体を拘束されることになります。
そうすると、家族や職場と自由に連絡を取ることもできなくなります。
そのため、逮捕された場合にまず考えるべきことは、弁護士を呼ぶことです。
逮捕で法律上認められている身体拘束の時間は、逮捕されてから最大でも72時間になります。
しかし、多くの場合はその後、検察官により勾留請求され、さらに10日間ほど身体拘束されることになります。
場合によっては、そこからさらに最大で10日間勾留延長されることもあります。
身体拘束をされている間は、警察官や検察官による取調べを受けることになります。
もし、知り合いの弁護士がいれば、その弁護士を呼ぶことが可能です。
知り合いの弁護士がいない場合には、逮捕された際に、地域の弁護士会に『当番弁護士』の派遣を要請することができます。
派遣要請をすると、その日に待機している弁護士が派遣されてくるので、無料でアドバイスを受けることができます。
また、逮捕後に勾留された場合、一定の要件を満たせば、裁判官に国選弁護人を選任してもらうことも可能です。
親族を含む第三者と会うことが禁止されている『接見禁止』の状態であったとしても、弁護士とは立会人なく会うことができます。
特に身に覚えのないことで逮捕されている場合には、一刻も早く身体拘束から解放され、それまでの日常を取り戻す必要があります。
そのためには、なるべく早く弁護士を呼び、今後の方針などについて相談することが重要です。
取調べへの対応について方針を決める
では、自分が罪を犯していない場合の取調べでは、どのような対応を取るのがよいのでしょうか。
警察官や検察官による取調べには、弁護士は同席することができません。
そのため、自分一人で対応する必要があります。
取調べがない日もありますが、重大事件であった場合には、連日のように長時間の取調べが続くこともあります。
取調べで話したことは、『供述調書』という文書になって記録化され、起訴ないし不起訴処分の資料になるとともに、起訴後は裁判の証拠にもなり得ます。
取調べでは、黙秘権を行使して一切話をしないということも、権利として保障されています。
不本意な供述調書が作成されてしまうリスクを考えると、取調べへの対応として、一切を黙秘するという対応も十分考えられるでしょう。
最も気を付けるべきことは、記憶と異なる事実を認めてしまうことです。
身に覚えのない事実を一度認めてしまうと、それを覆すことはとてもむずかしいといえます。
一方で、身に覚えがないのであれば、不起訴処分になることを狙って、自分に有利な事実を供述するというのも選択肢としてあり得ます。
とはいえ、起訴するか否かは検察官が決めることであり、いくら身の潔白を力説したとしても、残念ながら起訴されるということもあります。
どのように対応すべきか個別具体的な状況によってさまざまであり、絶対の正解というのはありません。
取調べでは、こちらの知る事実を話していたはずが、いつの間にか不利益になることを話していたというおそれもあります。
だからこそ逮捕されたらなるべく早く弁護士を呼び、取調べについてどのような対応をすべきか相談することが重要になるのです。
第三者の行動により自分が加害者側に立たされてしまったり、何かしらの食い違いにより犯罪に巻き込まれてしまったりするケースは少なくありません。
また、そのような場合はほとんどの人が、身体を拘束されたことで不安になり、冷静に判断できなくなります。
自分の身の潔白を証明するためにも、まずは一刻も早く弁護士を呼び、相談することが大切であることを覚えておきましょう。
※本記事の記載内容は、2023年9月現在の法令・情報等に基づいています。