2024年にケアマネの『法定研修』が見直し! 新カリキュラムを解説
今後、各研修は新カリキュラムに沿った内容に変わります。
法定研修の目的は、ケアマネジャーとして必要な専門知識や技術の修得を図ること、専門職としての能力の保持・向上を図ることなどです。
カリキュラムの見直しは、ケアマネジャーが受講する一連の法定研修が対象となります。
今回は、このケアマネジャーの法定研修のカリキュラムの見直しについて解説します。
役割・能力の変化などに対応するのが目的
ケアマネジャーの法定研修のカリキュラムを見直す目的は大きく2つあります。
一つは、社会情勢の変化でケアマネジャーに求められる役割・能力も変わってきたこと。
そしてもう一つは、昨今の制度改正・施策動向を反映させることです。
『介護支援専門員の資質向上に資する研修等のあり方に関する調査研究事業報告書(令和4年3月 株式会社日本総合研究所)』では、制度改定のポイントとして以下のように記されています(一部引用)。
見直しのポイント
1.幅広い視点で生活全般を捉え、生活の将来予測や各職種の視点や知見に基づいた根拠のある支援の組み立てを行うことが介護支援専門員に求められていることを踏まえ、そのような社会的な要請に対応できる知識や技術を修得できるように科目の構成・内容を見直す。
2.介護保険以外の領域も含めて、制度・政策、社会資源等についての近年の動向(地域共生社会、認知症施策大綱、ヤングケアラー、仕事と介護の両立、科学的介護、身寄りがない人への対応、意思決定支援等)を定期的に確認し、日々のケアマネジメントの実践のあり方を見直すための内容の充実・更新を行う。
3.法定研修修了後の継続研修(法定外研修、OJT等)で実践力を養成することを前提に、カリキュラムの内容を幅広い知識の獲得に重きを置いた時間配分(=講義中心)に見直す。
また、同報告書では本調査研究は介護支援専門員に求められる能力や役割の変遷と制度改正の状況等を考慮しながら、介護支援専門員の法定研修のカリキュラム、ガイドライン等の見直し案を作成することを目的としています。
そのうえで、研修内容の実施状況について、国や地方自治体が一体となって課題や好事例を共有し、研修の質を全国的に底上げするために、全国介護支援専門員研修向上会議を実施したと記されています。
法定研修と法定外研修の連動で研修体制構築
前述のとおり、今回の制度改定は研修カリキュラム内容の改定が中心です。
また、それ以外に『法定研修』と『法定外研修』の連動による、国・都道府県・市町村が一体となった研修体制の構築が求められています。
法定研修は各都道府県が管理・運営責任を担い、ケアマネジャーが介護保険法を主体とした知識と技術を備えているかを確認するために実施されています。
一方の法定外研修は、法定研修以外の内容でケアマネジャーの資質向上に向けて実施されている研修や講演会または研究大会などを指しています。
研修の実施主体の種別や主任更新研修の受講要件となっているか否かなどは問わないとされており、市区町村・地域包括支援センター・職能団体などが中心となって実施しています。
つまり、法定研修で全国的に統一した知識力と技術力を向上させ、法定外研修で各々の地域特性を考慮したケアマネジメントの実践的な能力を引き出すことが目的です。
ただし、ケアマネジャーは勤務先で業務の負担を抱えつつ、法定研修と法定外研修を受講しなければなりません。
また、受講料や受講内容の地域差も問題となっています。
今回の見直しでは、都道府県と地域が情報を共有し横展開することで全国的な資質の底上げを目指しています。
法定研修と法定外研修が効果的に連動するためには、オンライン研修の普及と活用、それぞれの研修スケジュールの調整、情報共有方法の統一などを整備し、受講者の負担にならないような制度にする必要があります。
各地域では、地域特性などを考慮した研修内容および運営方法に対して、独自の工夫がなされています。
これらの工夫がケアマネジャーの資質向上に貢献しており、その事例も多いのです。
今回の研修制度の見直しが、ケアマネジャーの資質向上や研修負担の軽減化などにどのような効果が出るのか、今後の動向に注目しましょう。
※本記事の記載内容は、2023年9月現在の法令・情報等に基づいています。