キッズメニュー中心の施策を考え、ファミリー層を呼び込む
たとえば子どもたちが喜ぶキッズメニューなどを充実させることは、子連れ客の集客やリピーターの獲得にもつながります。
しかし、単純にキッズメニューを増やしただけでは、ファミリー層に満足してもらえません。
大手のファミリーレストランやファストフード店などでは、親子に優しい飲食環境を提供すべく、さまざまな施策を打ち出しています。
今回は、キッズメニューの導入を中心に、ファミリー層を呼び込むための取り組みを紹介します。
経営の安定化を図る子ども向けサービス
全国で約60店舗を展開するスープ専門店の『Soup Stock Tokyo』が、2023年4月25日から離乳食(無料)やキッズセット(有料)の全店提供を開始し、大きな話題となりました。
これまで女性の一人客を主なターゲットにしていただけに、SNSでは賛否両論が巻き起こりましたが、スープストックトーキョー側は公式サイト上で声明を出し、理解を求めました。
スープストックトーキョーが離乳食やキッズセットの提供をはじめたのには、ファミリー需要の強化や客層の拡大のほかにも、従来のターゲットの属性が変化してきたという理由があるといわれています。
声明文のなかに「お客様のライフステージが変わり、ご家族やお子様と一緒にご来店いただく方も増えてきた」とある通り、スープストックトーキョーの今回の施策は、従来の顧客の生活変化に寄り添うための取り組みといえるでしょう。
変化の激しい飲食産業において安定した経営を実現するためには、新しい展開が必要となる場合もあります。
スープストックトーキョーの取り組みも、その一環といえるのではないでしょうか。
飲食店における子ども向けのサービスは、経営の安定化を図る施策として有効です。
業績を伸ばしている大手チェーンはキッズメニューが充実しており、たとえばファミリーレストランでは、お子さまプレートやカレーにパンケーキ、フライドポテトやうどんなど、子どもが喜ぶ食べやすいメニューを取り揃えています。
ハンバーガーチェーンや回転寿司チェーンでも、キッズメニューは定番であり、人気です。
キッズメニューがあることで、大人は子どもと一緒に気兼ねなく食事を楽しめます。
また、子ども用の食事を持参しなくてもよいので、保護者の負担が軽減されます。
キッズメニューの有無は、保護者が店を選ぶ際の大きな判断材料になるでしょう。
キッズメニューで注意したいアレルギー品目
しかし、単純に子ども向けのメニューを取り入れればよいというものでもありません。
キッズメニューを導入する際には、食物アレルギーへの対応に注意する必要があります。
子どもの食物アレルギーは特に卵や小麦、牛乳が多く、飲食店側はこれらのアレルゲン(原因の抗原)が含まれるアレルギー品目を把握しておかなければいけません。
さらに、メニューや公式サイトにアレルゲン情報を記載したり、低アレルゲンメニューを用意したりするなどの対応も必要となります。
アレルギー品目をアレルギー体質の子どもが口にすると命に関わる場合もあるため、キッズメニューの提供には十分注意しましょう。
また、添加物をできるだけ減らしたり、オーガニック食材を使用したりといった配慮も喜ばれます。
保護者が安心して子どもに食べさせることのできるメニューづくりを意識しましょう。
もし、使用している食材などの問題でキッズメニューの提供が難しいようであれば、従来のメニューのミニサイズを用意したり、取り分け用の小皿を用意したりといった工夫で対応できる場合もあります。
ファミリーのための環境づくりにも注力
キッズメニューを展開するなら、親子が楽しく快適に食事をとれる環境づくりも大切です。
たとえば、飽きやすい子どもでもなるべく席についていられるように、大手チェーンの店舗ではさまざまな工夫がされています。
多くのファミリーレストランでは、大人向けのメニューよりもキッズメニューの方が先に提供され、子どもから先に食事をとれるオペレーションになっています。
もし、保護者のメニューが先に提供されたら、子どもの世話をしている保護者は食事をとりにくいでしょう。
せっかくの料理が冷めてしまうかもしれません。
キッズメニューが先に提供されれば、子どもが食べたり、お店からもらったおまけのおもちゃやお菓子などに夢中になっていたりする間に、保護者は自分の食事を楽しめます。
長時間の滞在でも子どもが飽きないような工夫をしている飲食店は多いのです。
ほかにも、軽くて割れづらいプラスチック製のカトラリーや食器、落下防止のベルトのついた乳幼児用のイスを用意するなど、安全面での配慮も必要です。
さらに、トイレなどでのおむつ交換スペースや授乳室、遊具の揃ったキッズルームなども子連れ客に喜ばれます。
ファミリー層を満足させることができれば、子どもが大きくなるまで継続して来店してもらえる可能性は高くなります。
環境づくりに回す予算が少なければ、離乳食の持ち込み自由化や子どもに限定した割引など、コストをかけない施策もあります。
自店がファミリー層にリーチするためには何ができるのか、店の設備やメニューなどをふまえ、スタッフと一緒によく考えてみましょう。
※本記事の記載内容は、2023年7月現在の法令・情報等に基づいています。