『リアリティ・ショック』などを発端とするメンタル不調への早期対処
GW(ゴールデンウィーク)が明けると、出社したくない、やる気が出ないといったメンタル不調を訴える従業員は珍しくありません。
GW明けのこのような症状を『五月病』といい、その主な原因は、入社前に思い描いていたイメージと現実とのギャップに苦しむ『リアリティ・ショック』だといわれています。
リアリティ・ショックを受けた従業員を放っておくと、場合によっては離職につながってしまう可能性もあるため、企業には適切な対策を講じる必要があります。
今回は、メンタル不調を起こした従業員の早期発見・対処方法について学んでいきましょう。
GW明けのこのような症状を『五月病』といい、その主な原因は、入社前に思い描いていたイメージと現実とのギャップに苦しむ『リアリティ・ショック』だといわれています。
リアリティ・ショックを受けた従業員を放っておくと、場合によっては離職につながってしまう可能性もあるため、企業には適切な対策を講じる必要があります。
今回は、メンタル不調を起こした従業員の早期発見・対処方法について学んでいきましょう。
GW明けは要注意。五月病の背景とは?
2023年のGWは、平日2日間を休みにすれば、最大で9連休も可能です。
このような長期休暇で日頃の疲れを癒やし、英気を養うという人も多いのではないでしょうか。
しかし、長期休暇もよいことばかりではありません。
GW明けに倦怠感や無気力感を感じ、「会社に行きたくない」といった気持ちから、軽度のうつ状態になる五月病を発症する人が出やすくなります。
医学的には『適応障害 』と診断される五月病は、特に新入社員がなりやすく、その原因の多くはリアリティ・ショックであるといわれています。
リアリティ・ショックは、思い描いていたことと現実が乖離していたと感じたときの心の動きを指す言葉で、1985年にアメリカの組織心理学者・E.C.ヒューズが提唱しました。
4月に入社した新入社員が1カ月を過ごし、入社前に描いていたイメージと実際の仕事との乖離によってリアリティ・ショックを受け、GWをはさんで、仕事を続けられなくなるケースは少なくありません。
企業はこのリアリティ・ショックに起因する五月病に、適切に対応する必要があります。
対処の第一歩は、五月病になった従業員がどのようなことにリアリティ・ショックを受けているのかを把握することです。
リアリティ・ショックは業務内容だけでなく、同僚や上司との人間関係やそのなかで感じる他者からの評価、社風や企業の将来性などに対しても発生します。
「思ったよりも同期の能力が高い」「頑張っているのに評価されない」「想像していた社風と違った」など、従業員はさまざまな場面でリアリティ・ショックを受けます。まずは否定をせず、どのようなことを感じているのか、本人から話を聞くことが大切です。
従業員のメンタル不調を防ぐには
リアリティ・ショックから脱するには、従業員が感じているギャップを埋めることがもっとも効果的な対処法といえます。
具体的には、定期的な面談を行ったり、年齢の近い先輩社員に相談役としてサポートに回ってもらうメンター制度を導入するなど、従業員のフォロー体制を構築することが重要になります。
また、充足感が足りていなかったり、承認欲求が満たされていなかったりすることも、リアリティ・ショックの原因になります。
とにかく褒めればいいというものではありませんが、上長は部下である従業員のよいところを見つけ、言葉や文章にするなどして、できるだけ具体性をもって感謝や承認を表明していきましょう。
また、「頑張っているのに評価されない」と感じている従業員に対しては、業務上のコミュニケーションに齟齬がないか確認してみましょう。
よく「イマドキの若手は、言われたことしかやらない」といった声を耳にします。
しかし一方で、その仕事をすることで何を求められているのか、どのような成果が必要なのかなどを、相手の立場に立って説明しているかどうかを、上長自身が振り返ることが大切です。
「これくらいは言わなくてもわかってほしい」といった考えから脱しない限り、若手従業員とのコミュニケーションギャップを埋めることはできません。
さらに、内定者向けの就業研修や、学生の就労体験など、入社前に業務を体験してもらう機会を設けることも効果的です。
より具体的なイメージを持ってもらうことで、リアリティ・ショックの軽減が期待できます。
五月病を含む従業員のメンタルの状況を把握し、メンタル不調の早期発見もしくは防止していくためには、定期的に従業員の『ストレスチェック』を行っていくことが効果的です。
現在、厚生労働省は『ストレスチェック制度 』の導入を企業に求めています(50人未満の事業所は、当分の間、努力義務とされています)。
この制度は、定期的に診断を行うことで従業員本人にストレスがあることを気づくように促し、メンタルヘルス不調のリスクを低減させるほか、検査結果を分析して職場環境の改善につなげ、ストレスの要因を低減させることや、メンタルヘルス不調のリスクが高い従業員を早期に発見して医師の面接指導につなげることなどを目的としています。
ストレスチェックは、五月病を抱えている従業員の悩みやストレスを可視化する有効な手段です。
厚生労働省のWebサイトで公開している導入ガイドなど参考に、必要に応じて導入してみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2023年3月現在の法令・情報等に基づいています。
2023年のGWは、平日2日間を休みにすれば、最大で9連休も可能です。
このような長期休暇で日頃の疲れを癒やし、英気を養うという人も多いのではないでしょうか。
しかし、長期休暇もよいことばかりではありません。
GW明けに倦怠感や無気力感を感じ、「会社に行きたくない」といった気持ちから、軽度のうつ状態になる五月病を発症する人が出やすくなります。
医学的には『適応障害 』と診断される五月病は、特に新入社員がなりやすく、その原因の多くはリアリティ・ショックであるといわれています。
リアリティ・ショックは、思い描いていたことと現実が乖離していたと感じたときの心の動きを指す言葉で、1985年にアメリカの組織心理学者・E.C.ヒューズが提唱しました。
4月に入社した新入社員が1カ月を過ごし、入社前に描いていたイメージと実際の仕事との乖離によってリアリティ・ショックを受け、GWをはさんで、仕事を続けられなくなるケースは少なくありません。
企業はこのリアリティ・ショックに起因する五月病に、適切に対応する必要があります。
対処の第一歩は、五月病になった従業員がどのようなことにリアリティ・ショックを受けているのかを把握することです。
リアリティ・ショックは業務内容だけでなく、同僚や上司との人間関係やそのなかで感じる他者からの評価、社風や企業の将来性などに対しても発生します。
「思ったよりも同期の能力が高い」「頑張っているのに評価されない」「想像していた社風と違った」など、従業員はさまざまな場面でリアリティ・ショックを受けます。まずは否定をせず、どのようなことを感じているのか、本人から話を聞くことが大切です。
従業員のメンタル不調を防ぐには
リアリティ・ショックから脱するには、従業員が感じているギャップを埋めることがもっとも効果的な対処法といえます。
具体的には、定期的な面談を行ったり、年齢の近い先輩社員に相談役としてサポートに回ってもらうメンター制度を導入するなど、従業員のフォロー体制を構築することが重要になります。
また、充足感が足りていなかったり、承認欲求が満たされていなかったりすることも、リアリティ・ショックの原因になります。
とにかく褒めればいいというものではありませんが、上長は部下である従業員のよいところを見つけ、言葉や文章にするなどして、できるだけ具体性をもって感謝や承認を表明していきましょう。
また、「頑張っているのに評価されない」と感じている従業員に対しては、業務上のコミュニケーションに齟齬がないか確認してみましょう。
よく「イマドキの若手は、言われたことしかやらない」といった声を耳にします。
しかし一方で、その仕事をすることで何を求められているのか、どのような成果が必要なのかなどを、相手の立場に立って説明しているかどうかを、上長自身が振り返ることが大切です。
「これくらいは言わなくてもわかってほしい」といった考えから脱しない限り、若手従業員とのコミュニケーションギャップを埋めることはできません。
さらに、内定者向けの就業研修や、学生の就労体験など、入社前に業務を体験してもらう機会を設けることも効果的です。
より具体的なイメージを持ってもらうことで、リアリティ・ショックの軽減が期待できます。
五月病を含む従業員のメンタルの状況を把握し、メンタル不調の早期発見もしくは防止していくためには、定期的に従業員の『ストレスチェック』を行っていくことが効果的です。
現在、厚生労働省は『ストレスチェック制度 』の導入を企業に求めています(50人未満の事業所は、当分の間、努力義務とされています)。
この制度は、定期的に診断を行うことで従業員本人にストレスがあることを気づくように促し、メンタルヘルス不調のリスクを低減させるほか、検査結果を分析して職場環境の改善につなげ、ストレスの要因を低減させることや、メンタルヘルス不調のリスクが高い従業員を早期に発見して医師の面接指導につなげることなどを目的としています。
ストレスチェックは、五月病を抱えている従業員の悩みやストレスを可視化する有効な手段です。
厚生労働省のWebサイトで公開している導入ガイドなど参考に、必要に応じて導入してみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2023年3月現在の法令・情報等に基づいています。