新規開設時には歯科医院の名称と標榜科目に要注意!
歯科医院を開業する際に、必ず決めなければならないのが、標榜科目と医院の名称です。
標榜科目とは、医療法によって定められた医療機関が看板や広告などで掲示できる診療科名のことで、歯科医は『歯科』『小児歯科』『矯正歯科』『歯科口腔外科』の4つを標榜することが認められています。
逆にこれ以外の診療科名を標榜してはいけません。
また、医院の名称も、医療法や医療広告ガイドラインによる規定があり、これに沿った名称をつけなければなりません。
今回は、歯科医院を新規開設する際に、気をつけたい標榜科目と医院の名称について説明します。
標榜科目とは、医療法によって定められた医療機関が看板や広告などで掲示できる診療科名のことで、歯科医は『歯科』『小児歯科』『矯正歯科』『歯科口腔外科』の4つを標榜することが認められています。
逆にこれ以外の診療科名を標榜してはいけません。
また、医院の名称も、医療法や医療広告ガイドラインによる規定があり、これに沿った名称をつけなければなりません。
今回は、歯科医院を新規開設する際に、気をつけたい標榜科目と医院の名称について説明します。
標榜することが認められている診療科名
患者が自身の症状に合わせて適切な医療機関を選択できるよう、医療法では、医師および歯科医師の標榜科目について、政令に定められた診療科名を使用するように求めています。
歯科医院では、4つの診療科名の標榜が認められており、歯科医院における標榜科目の割合は『歯科』が最も高く、現在、日本ではほぼすべての診療所が『歯科』を掲げています。
また、複数の診療科名を標榜することは禁じられていないことから、『歯科』『小児歯科』『矯正歯科』『歯科口腔外科』の4つすべてを診療科名に掲げている診療所もあります。
さらに、診療内容に合致していれば、『小児矯正歯科』のように、標榜科目を組み合わせることも可能です。
逆に、医療広告ガイドラインではこの4つ以外の標榜を認めていません。
そのため、法令に根拠のない名称である『インプラント科』や『審美歯科』などは診療科名として標榜してはいけないことになっています。
ただし、患者が自分で情報を収集にくるホームページなどで、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合や、そのほか定められた要件を満たした場合は、広告することが可能になります。
歯科医院の名称をつける際のルール
歯科医院の名称を決める際にも、いくつか注意が必要です。
まず、『病院』は、医療法1条の5によって、「20人以上の患者を入院させるための施設を有するもの」と定められており、「患者を入院させるための施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するもの」は『診療所』になります。
歯科医院の多くは患者を入院させる施設がないため病院という名称は使えず、診療所、もしくはクリニック、医院といった名称になります。
『病院分院』や『総合内科』のような、患者に病院だと誤解させるような紛らわしい名称の使用も禁止されています。
歯科医院の名称は、医療広告ガイドラインの規制も受けます。
ガイドラインが定める『内容が虚偽にわたる広告』『他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告』『誇大な広告』に該当する名称をつけてはいけません。
たとえば、研究所の付属機関でないにも関わらず『○○研究所付属』とつけたり、鈴木という歯科医師が『田中クリニック』とつけたりするのは、内容が虚偽にわたる広告になるため、禁止される可能性があります。
『理想的○○診療所』や『最強○○クリニック』などは、優位性や優秀性を示す名称であるため、比較優良広告に該当してしまいます。
『無痛治療歯科医院』や『虫歯ゼロクリニック』などは誇大広告に該当するので、たとえ虚偽ではなかったとしても、認められません。
また、医療法以外の法律にも気を配る必要があります。
不正競争防止法では、世間一般で広く認識されているものと同一の営業表示の使用を禁じています。
そのため、近隣で営業している歯科医院と同一の名称をつけると、不正競争防止法違反になる可能性があります。
では、歯科医同士が同じ名字のため、同一の名称を選んだ場合はどうでしょうか。
日本では医院の名称に開設者の名前を用いるケースが多いため、法令違反かどうかは、相手の診療所との地理的な関係や、業種の相違点、表示を採用した理由など、総合的な観点から判断されます。
さらに、法令以外に集患の面でも、歯科医院の名称は重要です。
多くの歯科医院では、歯科医師の名字にクリニックを加えた名称を採用していますが、漢字で『斎藤クリニック』と掲げるのと、ひらがなで『さいとうクリニック』と掲げるのとでは、患者に与える印象が異なります。
どのようなイメージを患者に与えたいのかを考え、表記を検討するとよいでしょう。
また、近年は多くの患者がインターネット検索で歯科医院を探しています。
たとえば『新橋三丁目デンタルクリニック』など、地名を前面に出してみたり、『ぴかぴかデンタルクリニック』などイメージが膨らむような名称にしてみたりといった、『目をとめてもらう』工夫も必要です。
歯科医院の名称と標榜科目のつけ方には細かなルールがあります。
名称決定の際には専門家にも相談して、適切なものを選べるようにしましょう。
※本記事の記載内容は、2023年1月現在の法令・情報等に基づいています。
患者が自身の症状に合わせて適切な医療機関を選択できるよう、医療法では、医師および歯科医師の標榜科目について、政令に定められた診療科名を使用するように求めています。
歯科医院では、4つの診療科名の標榜が認められており、歯科医院における標榜科目の割合は『歯科』が最も高く、現在、日本ではほぼすべての診療所が『歯科』を掲げています。
また、複数の診療科名を標榜することは禁じられていないことから、『歯科』『小児歯科』『矯正歯科』『歯科口腔外科』の4つすべてを診療科名に掲げている診療所もあります。
さらに、診療内容に合致していれば、『小児矯正歯科』のように、標榜科目を組み合わせることも可能です。
逆に、医療広告ガイドラインではこの4つ以外の標榜を認めていません。
そのため、法令に根拠のない名称である『インプラント科』や『審美歯科』などは診療科名として標榜してはいけないことになっています。
ただし、患者が自分で情報を収集にくるホームページなどで、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合や、そのほか定められた要件を満たした場合は、広告することが可能になります。
歯科医院の名称をつける際のルール
歯科医院の名称を決める際にも、いくつか注意が必要です。
まず、『病院』は、医療法1条の5によって、「20人以上の患者を入院させるための施設を有するもの」と定められており、「患者を入院させるための施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するもの」は『診療所』になります。
歯科医院の多くは患者を入院させる施設がないため病院という名称は使えず、診療所、もしくはクリニック、医院といった名称になります。
『病院分院』や『総合内科』のような、患者に病院だと誤解させるような紛らわしい名称の使用も禁止されています。
歯科医院の名称は、医療広告ガイドラインの規制も受けます。
ガイドラインが定める『内容が虚偽にわたる広告』『他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告』『誇大な広告』に該当する名称をつけてはいけません。
たとえば、研究所の付属機関でないにも関わらず『○○研究所付属』とつけたり、鈴木という歯科医師が『田中クリニック』とつけたりするのは、内容が虚偽にわたる広告になるため、禁止される可能性があります。
『理想的○○診療所』や『最強○○クリニック』などは、優位性や優秀性を示す名称であるため、比較優良広告に該当してしまいます。
『無痛治療歯科医院』や『虫歯ゼロクリニック』などは誇大広告に該当するので、たとえ虚偽ではなかったとしても、認められません。
また、医療法以外の法律にも気を配る必要があります。
不正競争防止法では、世間一般で広く認識されているものと同一の営業表示の使用を禁じています。
そのため、近隣で営業している歯科医院と同一の名称をつけると、不正競争防止法違反になる可能性があります。
では、歯科医同士が同じ名字のため、同一の名称を選んだ場合はどうでしょうか。
日本では医院の名称に開設者の名前を用いるケースが多いため、法令違反かどうかは、相手の診療所との地理的な関係や、業種の相違点、表示を採用した理由など、総合的な観点から判断されます。
さらに、法令以外に集患の面でも、歯科医院の名称は重要です。
多くの歯科医院では、歯科医師の名字にクリニックを加えた名称を採用していますが、漢字で『斎藤クリニック』と掲げるのと、ひらがなで『さいとうクリニック』と掲げるのとでは、患者に与える印象が異なります。
どのようなイメージを患者に与えたいのかを考え、表記を検討するとよいでしょう。
また、近年は多くの患者がインターネット検索で歯科医院を探しています。
たとえば『新橋三丁目デンタルクリニック』など、地名を前面に出してみたり、『ぴかぴかデンタルクリニック』などイメージが膨らむような名称にしてみたりといった、『目をとめてもらう』工夫も必要です。
歯科医院の名称と標榜科目のつけ方には細かなルールがあります。
名称決定の際には専門家にも相談して、適切なものを選べるようにしましょう。
※本記事の記載内容は、2023年1月現在の法令・情報等に基づいています。