期限延長!『交際費等の損金不算入制度』
税務会計における交際費とは、取引先などに対する接待や贈答などを目的とした支出のことです。
税務上、交際費は原則として損金算入できないことになっていますが、期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人は、一部を損金として算入することが認められていました。
これを『交際費等の損金不算入制度』といい、成立当初は限定的な特例措置とされていましたが、複数回にわたり期限が延長されており、2022年度税制改正大綱にも2年間の延長が盛り込まれました。
課税負担を減らすことのできる交際費等の損金不算入制度について説明します。
税務上、交際費は原則として損金算入できないことになっていますが、期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人は、一部を損金として算入することが認められていました。
これを『交際費等の損金不算入制度』といい、成立当初は限定的な特例措置とされていましたが、複数回にわたり期限が延長されており、2022年度税制改正大綱にも2年間の延長が盛り込まれました。
課税負担を減らすことのできる交際費等の損金不算入制度について説明します。
飲食店を支援するため2年間の期限延長
日本には約382万の企業が存在し、その内の99.7%が中小企業です。
中小企業は、規模の面でハンデを負いやすい傾向があります。
そこで、中小企業を対象にした、いくつかの特例措置があります。
そのなかの一つが、『交際費等の損金不算入制度』です。
1954年に作られたこの制度は、度重なる改正を経て今に至ります。
そもそも交際費は『冗費』、無駄な費用であるとして、損金算入できないようにするのが国の方針でした。
しかし、接待などは円滑なビジネスを進めるうえで必要な費用であるという見方もあることから、損金不算入制度の一部を変更する措置が行われました。
特に中小企業では、交際費を使うことで売上の維持や拡大につながることもあり、交際費の損金算入は、その一部において可能になっています。
そもそもは臨時的な措置である制度でしたが、期間の延長も何度か行われており、2022年度税制改正大綱でも、景気対策の一環として2年間の延長が盛り込まれました。
この特例制度の延長には、企業活動の活性化とともに飲食店の利用を促し、新型コロナウイルス感染症の影響で苦境に陥る飲食業界全体を支援する目的があります。
交際費の範囲と損金算入できる金額
次に、交際費とはどのような費用をさし、どのようなケースが損金に算入できるのかを説明します。
交際費は、国税庁のホームページで『法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの』と定義されています。
つまり交際費とは、飲食等のために要する『接待飲食費』を筆頭とした取引先との会食や接待などで発生する費用のことで、従業員の福利厚生や会議の弁当や茶菓子などに要する費用は含まれません。
また、接待飲食費であっても、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である場合は、損金不算入となる交際費等から除かれます。
5,000円以下であれば、特例制度を使わなくても経費として計上できる(損金算入できる)のが、その理由です。
また、制度の利用は資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人にしか認められていませんので、注意が必要です。
資本金の額または出資金の額が1億円以下の中小企業は、損金に算入する額について、下記のいずれかを選ぶことができます。
(1)支出する交際費等の額のうち、接待飲食費の50%相当額以下の金額
(2)支出する交際費等の額のうち、年800万円までの金額
(2)の800万円までの額のことを『定額控除限度額』と呼びます。
たとえば、年間の交際費のうち、接待飲食費が1,000万円ほどになるのであれば、50%相当額以下の金額は500万円になるので、(2)を選択して、定額控除限度額である800万円を損金算入するほうが課税負担は軽くなります。
つまり、接待飲食費が1,600万円を超えるかどうかが、(1)と(2)の分かれ道になるのです。
接待飲食費の合計額が1,600万円に近づいたら注意しましょう。
たとえ少人数での会食や接待であっても、経費は一年の間に積み重なっていくものです。
自社の交際費は随時確認し、本制度を活用できるよう準備しておきましょう。
※本記事の記載内容は、2022年6月現在の法令・情報等に基づいています。
日本には約382万の企業が存在し、その内の99.7%が中小企業です。
中小企業は、規模の面でハンデを負いやすい傾向があります。
そこで、中小企業を対象にした、いくつかの特例措置があります。
そのなかの一つが、『交際費等の損金不算入制度』です。
1954年に作られたこの制度は、度重なる改正を経て今に至ります。
そもそも交際費は『冗費』、無駄な費用であるとして、損金算入できないようにするのが国の方針でした。
しかし、接待などは円滑なビジネスを進めるうえで必要な費用であるという見方もあることから、損金不算入制度の一部を変更する措置が行われました。
特に中小企業では、交際費を使うことで売上の維持や拡大につながることもあり、交際費の損金算入は、その一部において可能になっています。
そもそもは臨時的な措置である制度でしたが、期間の延長も何度か行われており、2022年度税制改正大綱でも、景気対策の一環として2年間の延長が盛り込まれました。
この特例制度の延長には、企業活動の活性化とともに飲食店の利用を促し、新型コロナウイルス感染症の影響で苦境に陥る飲食業界全体を支援する目的があります。
交際費の範囲と損金算入できる金額
次に、交際費とはどのような費用をさし、どのようなケースが損金に算入できるのかを説明します。
交際費は、国税庁のホームページで『法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの』と定義されています。
つまり交際費とは、飲食等のために要する『接待飲食費』を筆頭とした取引先との会食や接待などで発生する費用のことで、従業員の福利厚生や会議の弁当や茶菓子などに要する費用は含まれません。
また、接待飲食費であっても、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である場合は、損金不算入となる交際費等から除かれます。
5,000円以下であれば、特例制度を使わなくても経費として計上できる(損金算入できる)のが、その理由です。
また、制度の利用は資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人にしか認められていませんので、注意が必要です。
資本金の額または出資金の額が1億円以下の中小企業は、損金に算入する額について、下記のいずれかを選ぶことができます。
(1)支出する交際費等の額のうち、接待飲食費の50%相当額以下の金額
(2)支出する交際費等の額のうち、年800万円までの金額
(2)の800万円までの額のことを『定額控除限度額』と呼びます。
たとえば、年間の交際費のうち、接待飲食費が1,000万円ほどになるのであれば、50%相当額以下の金額は500万円になるので、(2)を選択して、定額控除限度額である800万円を損金算入するほうが課税負担は軽くなります。
つまり、接待飲食費が1,600万円を超えるかどうかが、(1)と(2)の分かれ道になるのです。
接待飲食費の合計額が1,600万円に近づいたら注意しましょう。
たとえ少人数での会食や接待であっても、経費は一年の間に積み重なっていくものです。
自社の交際費は随時確認し、本制度を活用できるよう準備しておきましょう。
※本記事の記載内容は、2022年6月現在の法令・情報等に基づいています。