社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

ランチ営業は本当に儲からない? 営業のポイントを再確認

22.04.07
業種別【飲食業】
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自店の特色を出すには、メニュー開発や集客など、さまざまな戦略を立てなければいけません。
ランチ営業は、ディナーに比べると単価が低く、利益が出にくいと考えられがちです。
ではなぜ、多くの店がランチ営業をしているのでしょうか?
今回は、ランチ営業のメリット、デメリットについて紹介します。
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ランチ営業に期待できる『宣伝効果』

“ランチ営業は利益が出にくい”とよくいわれますが、なぜ多くの飲食店がランチ営業をしているのでしょうか。
利用者にとっては、ディナーよりもリーズナブルで、ドリンクやサラダが付いたお得なセットも楽しめるため、「ランチを狙って行きたい店に行く」という人も多くいます。
なかなか手が届かない料金設定の高級店でも、ランチタイムには価格を抑えたメニューを提供していることが多いようです。

料理をする立場からすれば、食材のレベルはそれほど落とせませんし、作るには、同じように手間もかかります。
また、アルコールの注文が少なく単価も低いことが多いランチ営業では、ディナー営業に比べて全体的に原価率が高くなる傾向があります。
それでも多くの店は、ディナー営業につながる宣伝効果を期待して、ランチ営業を行っています。
ランチ営業で利益率を高めたい場合は、回転数があがるような工夫が必要といえるでしょう。

ちなみに、新生銀行が行った『2019年サラリーマンのお小遣い調査』では、1回(出勤日)のランチ代平均は、男性が555円、女性が581円という結果になりました。
前年の同調査と比較して、男性が15円減少、女性は5円微減となっており、この5年でゆるやかに下降していることが分かりました。
こうしたデータを見ると、 “多くの人はランチにお金をかけたくなく、費用もなるべく減らそうとしている”という印象が強くなります。

一方、ランチ営業にはメリットもあります。
それこそが、ディナーの時間帯とは違った客層が来店することによる『口コミ効果』を見込めることです。
日中に主婦が集まるエリアの飲食店では、ランチに女性向けの質や量を考慮したメニューを設定しておき、良い印象を残せば、ディナーの時間帯に、ファミリー需要を取り込めるかもしれません。
ランチメニューで“おいしい”という評価が広まれば、ディナータイムでリピートしてくれるお客もいるでしょう。
昼と夜とで料金設定や店内の雰囲気がガラッと変わる場合は、どれだけ違うのかをランチ営業時に案内しておけば、利用者側がギャップに戸惑うことはありません。
ランチ営業時の料金と雰囲気を好んでディナーにも足を運んでいた場合、“イメージと違った”と思わせないような工夫も大切です。


ランチ営業の利益を左右する『人件費』

飲食店の経営においては、人件費を抑えたり、ここぞというタイミングで投資したりと、一つひとつの判断が重要です。
売上が大きくても、人件費が比例して大きくなれば、利益を上げることはできません。
しかし、サービス業である飲食店にとって、厨房・ホールは関係なく、人手は必ず必要です。
仮に、ランチ営業でアルバイトを雇う場合、時給が昼夜ほぼ同じだと、客単価によっては営業時間のぶん利益率が下がってしまうことも考えられます。
レジ打ち、ホール、調理スタッフ全て含めた人数と、ランチタイムの売上を鑑みて、どの程度を人件費に充てられるかを考えてみましょう。
ランチと夜の営業とでは、必用な人手と稼働の仕方が異なります。従業員に無理が生じない範囲に出勤人数を調整し、人件費をなるべく抑えるようにします。
また、1人雇うごとに、人件費だけでなく交通費や場合によっては作業服代なども発生してきます。
ランチ営業に人員を配置することで、トータルどれだけ費用がかかるのかも認識しておきましょう。

ランチ営業を行う飲食店のなかには、商店街や地域活性化のために、本来は夜だけでいいところを、あえてランチ営業をする店舗もあるようです。
ディナー営業の宣伝のためランチを営業するのか、純粋に利益UPが目的なのかを明確にして、戦略を立てていきましょう。


※本記事の記載内容は、2022年4月現在の法令・情報等に基づいています。