社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

実はメリットが多い! 美容院の『日曜定休』の導入

22.04.07
業種別【美容業】
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世間的には休日である土日は、美容院にとって稼ぎ時になります。
そのせいで、なかなかカレンダー通りの休日が取りづらいといわれてきました。
そのような休暇の取りづらさを、離職の理由に挙げる人も少なくありません。
しかし、近年では、従業員の働きやすさを重視して、『日曜定休』に踏み切る美容院も登場しています。
今回は、なぜ、日曜定休にしたのか、どのように日曜定休を実現したのか、といった事情を掘り下げ、美容師の働き方について考えていきます。
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人手不足解消とパフォーマンス向上に期待

よりよい店づくりを目指すことは、美容業界に限らず、どのサービス業にも当てはまります。
しかし、特に労働環境に目を向けてみると、長くなってしまいがちな労働時間には、さまざまな問題が含まれています。

なかでも営業日に関しては、世間一般の休日となる土日祝日は営業することが一般的であるといえます。
しかし、利益を求めるための土日営業という固定観念を少し緩め、従業員の働きやすさを重視することも大切です。
美容院の定休日といえば、これまで週一度の“火曜定休”などがメジャーでしたが、最近では完全週休二日制やGWやお盆時期の連休、リフレッシュ休暇などを採用する店舗も増えてきました。

特に日曜定休にする、という選択はやや大胆に思われるかもしれませんが、従業員には喜ばれることも多い制度です。

たとえば、育児や家族サービスのための時間を、これまでより多く作れるようになります。
スタッフの教育や売上の管理など日々の業務に追われているオーナーにとっても、土日祝日に開催される美容系イベントや研修などにも参加しやすくなり、業界研究に充てる時間の捻出も叶いやすくなります

立地条件や集客を工夫し、日曜定休にすることで、人材を定着させる効果も期待できるでしょう。


日曜定休にしている美容院の傾向

日曜定休を取り入れている店舗の特徴として、以下の5つが挙げられます。

(1)客単価が1万円以上である
(2)施術はスタイリストが1人で全て行う
(3)完全予約制である
(4)情報発信・集客手段が整っている
(5)競合する他店との差別化が明らかである

店舗により状況は異なりますが、上記のポイントも参考にしてみるとよいでしょう。

まず、1日に受け付けられる人数を考えたうえで、おおよその客単価を想定し、できるだけその単価をキープできるようスタッフ全員で意識します。
そして、接客は基本的にスタイリストが全ての工程を行うようにします。
スタイリストが一任することで、1人のお客様の細かい部分にも気付きやすくなるほか、人件費をかけずに済むメリットもあります。
そして、スタイリストの人数にあわせて1日の予約数の目標を決め、そこにあわせてお客に次回の予約を打診するなどして、売上を維持していきましょう。
新規のお客に対しては、インターネットなどで簡単に予約を入れられるよう、予約サイトや自店のホームページなどで予約受付の準備をしておくことも大切です。

ここで必要となってくるのが、SNSなどを使った集客・告知です。
ホームページだけでなくメルマガ、SNS、LINEなど、情報発信ツールが充実している店舗では、外部サイトに広告を出す手間や費用を省いて、自分たちのノウハウを生かしましょう。
地域密着型か、全国に店舗を持つかによっても戦略は変わってきますが、「私たちの店の強みはこれです」というアピールは必要です。
どのようなサービスが得意かを洗い出し、打ち出していきましょう。

美容院にとってさまざまなメリットもある日曜定休ですが、簡単に取り入れられるものではありません。
既存客とコミュニケーションを取りながらニーズを探り、導入するかどうかを検討してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2022年4月現在の法令・情報等に基づいています。