社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

無理なく借金返済をするために、自分に適した債務整理の方法を知る

22.03.08
ビジネス【法律豆知識】
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新型コロナウイルスの流行が始まり、2年近くが経とうとしていますが、その影響で仕事が減ったり会社が倒産した結果、負債を抱えてしまった人も多く存在します。
そのようなときには『債務整理』が必要になってきます。
債務整理とは、簡単に言うと、増えてしまった借金(債務)を減らす(整理)ことです。
今回は弁護士に債務整理を依頼した場合、どのようなことをするのか説明します。
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任意整理か、法的手続きをとるかを検討する

債務整理のなかで最も多く行われているのが、『任意整理』と呼ばれるものです。
具体的には弁護士が負債を抱えた人の代理人となって、クレジット会社や貸金業者といった債権者と交渉し、利息を無くしたり、毎月の支払額を減らしたりして、無理なく返済ができるようにする手続きのことです。

任意整理は、債権者と債務者が任意で話し合って和解をするものであるため、どのような内容になるかは債権者次第です。
しかし一般的には、今ある債務の元金のみをおおむね3年から5年程度の長期にわたって分割返済するという内容で和解をすることが多いといえます。

また、返済期間は業者によって対応が異なります。
返済が続くことはこれまでと変わらなくても、元金のみを返すことになれば、確実に借金が減っていきますから、気持ちの面ではだいぶ違ってくるはずです。
もっとも、毎月の支払額を減らせるといっても、少なくとも元金は全額返済する以上、任意整理をするためには安定した収入を得ていることが大前提になります。
毎月の支払額を減らしても、返済を続けることが難しい場合には、裁判所を通した法的整理を検討する必要があります。

次に、債務を整理する法的手続には、個人の場合、大きく分けて『個人再生』と『破産』の2種類があります。
個人再生手続は、簡単にいうと、法律で決められた割合に従って減額された債務を3年ないし5年で支払うというものです。
後述する破産手続とは異なり、所有している財産を手放す必要はありませんが、財産の価値に相当する額以上を返済することが求められます。
なお、個人再生手続では、住宅ローンに限って従前通りの支払いが認められるため、自宅不動産を残したい人にとってメリットの大きな手続です(投資用物件のローン等の支払は認められません)。
一方で、任意整理に比べると、多くの場合、大幅に減額されるとはいえ、長期間の支払いが続くことから、定期的な収入がない場合や、家計に余裕のない場合は、裁判所に手続きが認められないことがあります。
 
もう一つの法的整理手続である破産手続(正確には破産と免責2つの手続になります)は、所有している財産は全て手放す代わりに、全ての債務が免除されるというものです。
資産がほとんどない場合や、病気等で安定した収入を得る見込みがないといった場合にはありがたい手続きですが、浪費やギャンブルで作った借金が多い場合には免責(債務の免除)が認められないこともあります。
また、破産手続中には一定の資格制限がありますので、警備員や士業等、職業によっては利用することが事実上できない場合もあります。

いずれにしても、借金の返済に悩んでいる場合は、早いうちに解決策を探すほうが手続きの選択肢も増えます。
そのようなときには専門家にお願いするとよいかもしれません。


※本記事の記載内容は、2022年3月現在の法令・情報等に基づいています。