高齢者の健康寿命を伸ばすための『フレイル予防』
日本は世界でも屈指の長寿大国です。
『令和2年版 厚生労働白書』によると、2016年時点の平均寿命は、男性が80.98歳、女性が87.14歳でした。
一方で、健康寿命は男性が72.14歳、女性が74.79歳と、平均寿命との差がそれぞれ約9歳と約12歳もあることが分かっています。
健康寿命とは、寝たきりではなく、介護も不要で、日常生活を制限なく送れる期間のことです。
この健康寿命を伸ばすためには、『フレイル』と呼ばれる虚弱状態を予防することが重要です。
医師の指導によるフレイル予防やフレイル対策の取り組みなどを紹介します。
『令和2年版 厚生労働白書』によると、2016年時点の平均寿命は、男性が80.98歳、女性が87.14歳でした。
一方で、健康寿命は男性が72.14歳、女性が74.79歳と、平均寿命との差がそれぞれ約9歳と約12歳もあることが分かっています。
健康寿命とは、寝たきりではなく、介護も不要で、日常生活を制限なく送れる期間のことです。
この健康寿命を伸ばすためには、『フレイル』と呼ばれる虚弱状態を予防することが重要です。
医師の指導によるフレイル予防やフレイル対策の取り組みなどを紹介します。
心身が弱っていくフレイル状態とは?
人は年齢を重ねると、体力や気力が減少して思うように活動できなくなります。
このように心身虚弱になる状態のことを『フレイル』と呼びます。
フレイルは、2014年に日本老年医学会が提唱した概念で、『加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態』を表す“frailty”の日本語訳です。
日本老年医学会の『フレイル診療ガイド』によると、フレイルは下記のように定義されています。
『要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態』
この老年期における虚弱状態であるフレイルの予防が、平均寿命と健康寿命の差を縮めるためには重要だといわれています。
2025年には、団塊世代の約800万人が75歳以上の後期高齢者となる時代が到来します。
いわゆる“2025年問題”とも呼ばれ、医療費・介護費の増大や少子化、人材不足の加速が進むとされており、すでに財政面や労働環境面などで対策が行われています。
医療面でも、2025年問題に対処するための取り組みが開始されており、その一つが『フレイル予防』なのです。
『フレイル予防』のための現状の取り組み
フレイルを予防するためには、タンパク質を含んだバランスのよい食事と、適度な運動によって、筋肉の衰えを遅らせることが重要です。
医師は、後期高齢患者の血管年齢や骨密度などを計測し、計測結果をもとにしたアドバイスを行うことで、患者のフレイル予防を促すことができます。
まずは患者の自立度や認知機能などをチェックし、患者個人に合わせた生活指導と疾患管理を行っていきましょう。
また、運動に関しても、健康寿命延伸が期待できるウォーキングや水泳などを提案し、患者にフレイル予防を意識させることが重要です。
地域によっては、フレイル予防を専門に扱う外来を新設したり、運動プログラムを提供するトレーニング室を併設したりする病院も増えています。
さらに最近では、高齢者の自立や要介護者を減らすことを目的に、フレイル予防教室を開催する病院も登場しています。
患者に対してストレッチや筋力トレーニングなどの指導や食事の仕方などをレクチャーするフレイル教室は、高齢患者にとっては集いの場でもあり、精神面でもフレイル予防の効果が期待できます。
健康診断や人間ドックに力を入れたり、検診を促す施策を講じたりする医院が増えている昨今。
病気の早期発見と早期治療も健康寿命の延伸には重要ですが、フレイル予防と並行した運営が、これからの医院経営の課題となるでしょう。
何よりも、医師がフレイル予防の講習会やセミナーなどに参加して、知識と理解を深めていくことが大切といえます。
医師不足が叫ばれるなか、特に後期高齢者が抱える特有の疾病に対応できる専門医は少なく、治療法が完全に確立されていないのが現状です。
2025年までに、医師がフレイルに関する知識をより深めていき、できる範囲で超高齢患者の健康寿命を延ばすための取り組みを進めていくことが求められます。
※本記事の記載内容は、2022年2月現在の法令・情報等に基づいています。
人は年齢を重ねると、体力や気力が減少して思うように活動できなくなります。
このように心身虚弱になる状態のことを『フレイル』と呼びます。
フレイルは、2014年に日本老年医学会が提唱した概念で、『加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態』を表す“frailty”の日本語訳です。
日本老年医学会の『フレイル診療ガイド』によると、フレイルは下記のように定義されています。
『要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態』
この老年期における虚弱状態であるフレイルの予防が、平均寿命と健康寿命の差を縮めるためには重要だといわれています。
2025年には、団塊世代の約800万人が75歳以上の後期高齢者となる時代が到来します。
いわゆる“2025年問題”とも呼ばれ、医療費・介護費の増大や少子化、人材不足の加速が進むとされており、すでに財政面や労働環境面などで対策が行われています。
医療面でも、2025年問題に対処するための取り組みが開始されており、その一つが『フレイル予防』なのです。
『フレイル予防』のための現状の取り組み
フレイルを予防するためには、タンパク質を含んだバランスのよい食事と、適度な運動によって、筋肉の衰えを遅らせることが重要です。
医師は、後期高齢患者の血管年齢や骨密度などを計測し、計測結果をもとにしたアドバイスを行うことで、患者のフレイル予防を促すことができます。
まずは患者の自立度や認知機能などをチェックし、患者個人に合わせた生活指導と疾患管理を行っていきましょう。
また、運動に関しても、健康寿命延伸が期待できるウォーキングや水泳などを提案し、患者にフレイル予防を意識させることが重要です。
地域によっては、フレイル予防を専門に扱う外来を新設したり、運動プログラムを提供するトレーニング室を併設したりする病院も増えています。
さらに最近では、高齢者の自立や要介護者を減らすことを目的に、フレイル予防教室を開催する病院も登場しています。
患者に対してストレッチや筋力トレーニングなどの指導や食事の仕方などをレクチャーするフレイル教室は、高齢患者にとっては集いの場でもあり、精神面でもフレイル予防の効果が期待できます。
健康診断や人間ドックに力を入れたり、検診を促す施策を講じたりする医院が増えている昨今。
病気の早期発見と早期治療も健康寿命の延伸には重要ですが、フレイル予防と並行した運営が、これからの医院経営の課題となるでしょう。
何よりも、医師がフレイル予防の講習会やセミナーなどに参加して、知識と理解を深めていくことが大切といえます。
医師不足が叫ばれるなか、特に後期高齢者が抱える特有の疾病に対応できる専門医は少なく、治療法が完全に確立されていないのが現状です。
2025年までに、医師がフレイルに関する知識をより深めていき、できる範囲で超高齢患者の健康寿命を延ばすための取り組みを進めていくことが求められます。
※本記事の記載内容は、2022年2月現在の法令・情報等に基づいています。