社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

企業の法務部が担う業務とは? 担当社員が心がけるべきこと

22.01.11
ビジネス【企業法務】
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企業の法務部は、企業活動を法的側面から支える業務を行う部署です。
契約の締結、外部とのトラブル解決、コンプライアンス対応など各企業によって取り扱う範囲に違いはあるものの、法務にまつわる幅広い業務があります。
実は、30年程前までは、法務部を設ける企業はそれほど多くはありませんでした。
しかし、最近は多くの企業が法務部を設置するようになりました。
今回は、近年、企業の法務担当が担うようになった業務についてや、法務部の役割にまつわる、心がけたい点について説明します。
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企業法務はより専門性が求められる時代に

法務のなかでも、特に企業法務というカテゴリに入るものとしては、臨床法務(訴訟対応等)、予防法務(コンプライアンス対応)、契約法務、組織法務(社内規程管理、子会社設立等)、商事法務(株主総会・取締役会の担当等)、知財法務、戦略法務(M&A)などがあります。
しかし、実際には、企業の法務部がこのようなカテゴリ分けに沿って組織されているケースは、あまりないかもしれません。

法務部の業務範囲は、各企業における法務部の設置経緯や、法務部に与えられた役割によって異なります。
業種による違い、ビジネスモデルがBtoBか、BtoCかによっても法務部のニーズは異なります。
したがって、「どのような業務があるのか」という問いに対しては、「企業によって必要な役割は違う」ということになります。

近年、法務部を設置する企業が増えたのは、契約業務量の増大と、コンプライアンスの重要性が高まったことが背景にあります。
したがって、法務部のコア業務といえば、契約業務やコンプライアンスチェックになることが一般的です。
ただし、コンプライアンス業務は時代背景とともに内容が多岐にわたっています。
その結果、専門化し、細分化され、コンプライアンス部やリスクマネジメント部といった、より専門的な部署が設置されるケースもあり、もはや法務部がそれらを業務として担当していないケースもあります。

一方、法律によって厳しい規制がかけられている業種では、関連する業法(特定の業種がどのような営業を行うかについて、公共の福祉のために、一定の制約を設ける内容の法律)の対応が、法務部の重要な業務となっています。

また、ライセンス活動や特許訴訟は法務部ではなく、知的財産部が担当する企業もあります。

以上のように、法務部の役割に専門性が求められるようになってからは、各企業においても、大学法学部出身者が法務部に採用されるケースが増えているようです。
また、法科大学院出身の弁護士が、企業の法務部に所属するケースも珍しくなくなりました。

一方で、企業によっては、管理業務のアウトソーシングが進んでおり、法務もその例外ではありません。
法務部の人数を最小限にとどめ、重要な契約審査を専ら外部の弁護士に依頼する企業もあります。
この場合、法務部員には、外部の弁護士との調整能力が重視されるといえます。

企業の法務部は、自社のビジネスをよく理解したうえで、法律の知識を使っていく必要があります。
そのためにも、関連部署と連携をとりつつ業務を行うことが大切です。
企業全体としてリーガルリスクを減らし、企業価値を高め、ビジネスを推進していくことが求められる時代であるため、法務部の果たす役割については、今後ますます期待が高まっていくものと見られます。

また、企業の法務部は、難しい法的問題を扱うというイメージから、企業のなかで近寄り難い存在になりがちです。
法務部の業務を円滑に進めるには、法務部がほかの部署からアクセスしやすい関係性を築くことも大切です。

外部の顧問弁護士と異なり、企業の法務部は、企業のビジネスや企業内部の事情をよく把握しています。
だからこそ、法的に「これをやってはいけない」と伝えるだけでなく、「こうすればできる」などの積極的なアドバイスができるよう、同じ会社の仲間としての視点を大切にすることが重要です。


※本記事の記載内容は、2022年1月現在の法令・情報等に基づいています。