企業経営を監視・統制するコーポレートガバナンスの基本
会社を継続・発展させていくうえで大切なのは、健全で公正な経営です。
不正や不祥事が起こらないようにするのはもちろん、一部の経営陣だけが利益を得るのではなく、株主や従業員、顧客や取引先も利益を得られるような経営を行っていかなければいけません。
そのためには、コーポレートガバナンスを強化していく必要があります。
今回は、企業経営を社外の管理者によって監視し、統制するための仕組みであるコーポレートガバナンスの概要について、解説します。
不正や不祥事が起こらないようにするのはもちろん、一部の経営陣だけが利益を得るのではなく、株主や従業員、顧客や取引先も利益を得られるような経営を行っていかなければいけません。
そのためには、コーポレートガバナンスを強化していく必要があります。
今回は、企業経営を社外の管理者によって監視し、統制するための仕組みであるコーポレートガバナンスの概要について、解説します。
コーポレートガバナンス・コードの基本原則
コーポレートガバナンスは、日本語で『企業統治』と訳され、企業の不祥事を防ぎ、健全で公正な経営をしていくために、社外取締役や社外監査役など、社外の管理者によって経営を監視する仕組みをいいます。
その根底には、会社は経営者のものだけではなく、株主を筆頭に、従業員や顧客、金融機関や取引先など、多くの利害関係者のものでもあるという考え方があります。
これらの利害関係者のことを、ステークホルダーと呼びます。
企業の目的はステークホルダーの利益を最大化させることにあり、そのためには、不正や不祥事などを起こさずに、長期的な企業価値の向上を図っていく必要があります。
コーポレートガバナンスが機能している状態は、経営陣が社外の管理者や委員会の監視下にあるため、不正も起こりづらく、結果としてステークホルダーの利益や権利も保護されます。
つまり、ステークホルダーの利益を守るための、長期的な企業価値の向上には、コーポレートガバナンスが欠かせないというわけです。
諸外国に比べて日本ではコーポレートガバナンスが法制化されていませんが、金融庁と東京証券取引所が会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために、ガイドラインとなる『コーポレートガバナンス・コード』を公表しています。
そのなかで、以下の5つを基本原則とし、企業はこの原則に従って企業活動を行うべきだとしています。
(1)株主の権利・平等性の確保
(2)株主以外のステークホルダーとの適切な協働
(3)適切な情報開示と透明性の確保
(4)取締役会等の責務
(5)株主との対話
(1)と(2)に関しては、前述した通り、会社には株主をはじめとした多様なステークホルダーがいるということが前提としてあり、それぞれの権利や利益が確保されるよう配慮し、また、協議によって持続的な成長に向けた取り組みを行うことを求めています。
(3)については、不正や不祥事を防ぐ目的で、会社の財政状況や経営成績、さらには経営戦略や経営課題などの情報開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報開示を行うべきであるとしています。
会社情報の開示は、ステークホルダーと協議を行ううえでのベースとなるものであり、また、会社の透明性の保持にもつながります。
また、(4)では、会社の取締役会の責務について説明しています。
取締役会は、自社の中長期的な企業価値の向上を促すとともに、経営戦略の方向性を示し、経営陣や取締役への監督の立場を担うべきであるとしています。
さらに、(5)は、経営陣や取締役は株主総会などで株主の声に耳を傾け、建設的な対話を行う必要があるとしています。
中小企業にとっても利点は大きい
コーポレートガバナンス・コードの基本原則は、すべて上場企業の中長期的な成長のために定められたものですが、非上場の中小企業であっても、積極的にコーポレートガバナンスに取り組んでいきたいものです。
ステークホルダーには銀行などの金融機関も含まれるため、コーポレートガバナンスで提示されている情報の開示や適切な協働を行うことにより、融資も円滑になり、金融機関との良好な関係構築にもつながります。
そして、コーポレートガバナンスに取り組むことは、不正や不祥事を防ぎ、透明性を保った健全な経営の証にもなります。
コーポレートガバナンスに取り組んでいる姿勢を見せることで、ステークホルダーの信用を得ることにもつながるでしょう。
コーポレートガバナンスを強化するには
コーポレートガバナンスに取り組んだり、さらに強化させたりするには、『取締役会の設置』や『執行役員制度の導入』などの方法があります。
現状で取締役会などの監督機関がないのであれば、社外の取締役や監査役などを設置し、第三者的な視点で監視を強めていくことが大切です。
また、役員とは異なる業務執行の責任者や権限を持つ執行役員を据えることは、社内の管理体制の強化になりますし、ストックオプション制度によって役員や従業員自身が株主となることで、コーポレートガバナンスへの意識を高めることもできます。
コーポレートガバナンスへの取り組みを進めていくには、『どのような会社にするのか』『どのような価値を創造できるのか』など、経営者自らの目標や判断基準などの明確なビジョンが必要です。
そのうえで社内一丸となり、中長期的な企業価値の向上を図れるような体制を構築していきましょう。
※本記事の記載内容は、2021年10月現在の法令・情報等に基づいています。
コーポレートガバナンスは、日本語で『企業統治』と訳され、企業の不祥事を防ぎ、健全で公正な経営をしていくために、社外取締役や社外監査役など、社外の管理者によって経営を監視する仕組みをいいます。
その根底には、会社は経営者のものだけではなく、株主を筆頭に、従業員や顧客、金融機関や取引先など、多くの利害関係者のものでもあるという考え方があります。
これらの利害関係者のことを、ステークホルダーと呼びます。
企業の目的はステークホルダーの利益を最大化させることにあり、そのためには、不正や不祥事などを起こさずに、長期的な企業価値の向上を図っていく必要があります。
コーポレートガバナンスが機能している状態は、経営陣が社外の管理者や委員会の監視下にあるため、不正も起こりづらく、結果としてステークホルダーの利益や権利も保護されます。
つまり、ステークホルダーの利益を守るための、長期的な企業価値の向上には、コーポレートガバナンスが欠かせないというわけです。
諸外国に比べて日本ではコーポレートガバナンスが法制化されていませんが、金融庁と東京証券取引所が会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために、ガイドラインとなる『コーポレートガバナンス・コード』を公表しています。
そのなかで、以下の5つを基本原則とし、企業はこの原則に従って企業活動を行うべきだとしています。
(1)株主の権利・平等性の確保
(2)株主以外のステークホルダーとの適切な協働
(3)適切な情報開示と透明性の確保
(4)取締役会等の責務
(5)株主との対話
(1)と(2)に関しては、前述した通り、会社には株主をはじめとした多様なステークホルダーがいるということが前提としてあり、それぞれの権利や利益が確保されるよう配慮し、また、協議によって持続的な成長に向けた取り組みを行うことを求めています。
(3)については、不正や不祥事を防ぐ目的で、会社の財政状況や経営成績、さらには経営戦略や経営課題などの情報開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報開示を行うべきであるとしています。
会社情報の開示は、ステークホルダーと協議を行ううえでのベースとなるものであり、また、会社の透明性の保持にもつながります。
また、(4)では、会社の取締役会の責務について説明しています。
取締役会は、自社の中長期的な企業価値の向上を促すとともに、経営戦略の方向性を示し、経営陣や取締役への監督の立場を担うべきであるとしています。
さらに、(5)は、経営陣や取締役は株主総会などで株主の声に耳を傾け、建設的な対話を行う必要があるとしています。
中小企業にとっても利点は大きい
コーポレートガバナンス・コードの基本原則は、すべて上場企業の中長期的な成長のために定められたものですが、非上場の中小企業であっても、積極的にコーポレートガバナンスに取り組んでいきたいものです。
ステークホルダーには銀行などの金融機関も含まれるため、コーポレートガバナンスで提示されている情報の開示や適切な協働を行うことにより、融資も円滑になり、金融機関との良好な関係構築にもつながります。
そして、コーポレートガバナンスに取り組むことは、不正や不祥事を防ぎ、透明性を保った健全な経営の証にもなります。
コーポレートガバナンスに取り組んでいる姿勢を見せることで、ステークホルダーの信用を得ることにもつながるでしょう。
コーポレートガバナンスを強化するには
コーポレートガバナンスに取り組んだり、さらに強化させたりするには、『取締役会の設置』や『執行役員制度の導入』などの方法があります。
現状で取締役会などの監督機関がないのであれば、社外の取締役や監査役などを設置し、第三者的な視点で監視を強めていくことが大切です。
また、役員とは異なる業務執行の責任者や権限を持つ執行役員を据えることは、社内の管理体制の強化になりますし、ストックオプション制度によって役員や従業員自身が株主となることで、コーポレートガバナンスへの意識を高めることもできます。
コーポレートガバナンスへの取り組みを進めていくには、『どのような会社にするのか』『どのような価値を創造できるのか』など、経営者自らの目標や判断基準などの明確なビジョンが必要です。
そのうえで社内一丸となり、中長期的な企業価値の向上を図れるような体制を構築していきましょう。
※本記事の記載内容は、2021年10月現在の法令・情報等に基づいています。