テレワーク時に発生する経費、どの範囲までなら認められる?
業務上発生する通信費や光熱費、事務用品代やパソコン代などの費用は、ほとんどが経費として認められています。
しかし、ここ最近はテレワークの普及により、従業員の自宅など、オフィス以外の場所でこれらの費用が発生することも多いでしょう。
家のインターネット回線を仕事に使用するなど、私的な空間でも業務が行われると、経費として認められる範囲がわかりづらいものです。
判断に迷わないためにも、テレワーク時における経費の範囲や会計処理の仕方などを確認しましょう。
しかし、ここ最近はテレワークの普及により、従業員の自宅など、オフィス以外の場所でこれらの費用が発生することも多いでしょう。
家のインターネット回線を仕事に使用するなど、私的な空間でも業務が行われると、経費として認められる範囲がわかりづらいものです。
判断に迷わないためにも、テレワーク時における経費の範囲や会計処理の仕方などを確認しましょう。
テレワーク時の経費に対する考え方
新型コロナウイルスの感染拡大の影響でテレワークが普及したことにより、オフィス以外の場所で業務を行う労働者が増えています。
総務省が行った『令和2年通信利用動向調査』によると、テレワークを導入している企業は、前年比で倍以上に増加。
今後テレワークを導入する予定の企業を含めた割合は、全体の6割近くに達していることが分かりました。
では、オフィス以外の場所で発生する経費の取り扱いに関しては、どのように判断すればよいのでしょうか。
一般的に経費の対象となるのは、オフィスでも従業員の自宅でも、『事業を行うために使用した費用』であることに変わりはありません。
したがって、従業員が業務のために使用したものは、それが自宅で使用されたとしても、そのほとんどが経費として計上できると考えられます。
たとえば、文房具や事務用品などは、業務を遂行するうえで必要な物なのであれば、従業員が自宅で使用したとしても、もちろん全額を『消耗品費』の勘定科目で経費計上することが可能です。
従業員が自ら購入した場合は、領収書を提出してもらうことで後日清算ができます。
テレワーク用のパソコンやスキャナ、プリンターなどの代金も、会社が購入し、従業員に貸し、使用後に返却を受けるのであれば、そのまま代金を経費計上できます。
使用後に従業員のものになってしまう場合には、従業員のパソコン等を買ってあげたことになってしまい、給与として処理することになるので注意が必要です。
また、代金が10万円以上のものについては、減価償却を行う必要があります。
では、従業員が自宅以外のコワーキングスペースやカフェで仕事をしたとしたら、その場所代などは、どのように判断すればよいのでしょうか。
一般的には、業務に必要な場所を確保するための経費としてみなされるため、コワーキングスペースであれば使用料、カフェであれば飲み物代などを『会議費』の勘定科目で計上することが可能です。
ただし、ランチ代や夕食代など、業務の合間にとったものであっても、飲食が目的となっている費用に関しては、経費として認められません。
そもそも、在宅勤務中にカフェやコワーキングスペースに移動して業務を行うことについて、従業員の自己判断だけに任せるのは好ましくありません。
自宅以外でテレワークを行う場合について、一定のルールを設けておいたほうがよいでしょう。
業務用途と私的用途を按分する
テレワーク時の経費計上で経理担当者が一番頭を悩ませるのが、通信費や電気料金など、従業員のプライベートと重なる部分です。
たとえば、モバイルルーターなどを会社で購入して従業員に支給している場合は、その代金を経費計上すれば済みます。
しかし、従業員が個人的に契約しているインターネット回線を業務にも使用するというケースがほとんどだと思われます。
その場合は、従業員がプライベートで使用している分と、会社の業務として使用している分とで“按分(あんぶん)”して、業務分を計上します。
按分とは、定めた基準に比例した割合で割り振ることです。
たとえば、従業員が自身のインターネット回線をプライベートの用途で30%、業務の用途で70%使用していたとすると、利用料金の70%を会社の経費として計上することができます。
この按分の割合は、通信記録などから割り出した業務遂行上、直接必要であったと証明できるものでなければいけません。
水道光熱費なども同様に、業務用途分と生活用途分とで按分します。
ちなみに、国税庁が公表している『在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)』のなかで、通信費や水道光熱費に関して、以下のように業務に使用した分を求め所得税を課税しない金額を算出する式を例示しています。
●通信費
業務のために使用した基本使用料や通信料等=従業員が負担した1カ月の基本使用料や通信料等×(該当月の在宅勤務日数/該当月の日数)×50%
●電気料金
業務のために使用した基本料金や電気使用料=従業員が負担した1カ月の基本料金や電気使用料×(業務で使用した部屋の床面積/自宅の床面積)×(該当月の在宅勤務日数/該当月の日数)×50%
これからもテレワークはますます普及していくことが予想されます。
経費に関する事柄は混乱が生じる可能性も高いため、新たにテレワークを導入する際には、あらかじめ按分の割合や在宅勤務手当のルールなど、経費に関する社内規定を整備しておくことが大切です。
※本記事の記載内容は、2021年8月現在の法令・情報等に基づいています。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響でテレワークが普及したことにより、オフィス以外の場所で業務を行う労働者が増えています。
総務省が行った『令和2年通信利用動向調査』によると、テレワークを導入している企業は、前年比で倍以上に増加。
今後テレワークを導入する予定の企業を含めた割合は、全体の6割近くに達していることが分かりました。
では、オフィス以外の場所で発生する経費の取り扱いに関しては、どのように判断すればよいのでしょうか。
一般的に経費の対象となるのは、オフィスでも従業員の自宅でも、『事業を行うために使用した費用』であることに変わりはありません。
したがって、従業員が業務のために使用したものは、それが自宅で使用されたとしても、そのほとんどが経費として計上できると考えられます。
たとえば、文房具や事務用品などは、業務を遂行するうえで必要な物なのであれば、従業員が自宅で使用したとしても、もちろん全額を『消耗品費』の勘定科目で経費計上することが可能です。
従業員が自ら購入した場合は、領収書を提出してもらうことで後日清算ができます。
テレワーク用のパソコンやスキャナ、プリンターなどの代金も、会社が購入し、従業員に貸し、使用後に返却を受けるのであれば、そのまま代金を経費計上できます。
使用後に従業員のものになってしまう場合には、従業員のパソコン等を買ってあげたことになってしまい、給与として処理することになるので注意が必要です。
また、代金が10万円以上のものについては、減価償却を行う必要があります。
では、従業員が自宅以外のコワーキングスペースやカフェで仕事をしたとしたら、その場所代などは、どのように判断すればよいのでしょうか。
一般的には、業務に必要な場所を確保するための経費としてみなされるため、コワーキングスペースであれば使用料、カフェであれば飲み物代などを『会議費』の勘定科目で計上することが可能です。
ただし、ランチ代や夕食代など、業務の合間にとったものであっても、飲食が目的となっている費用に関しては、経費として認められません。
そもそも、在宅勤務中にカフェやコワーキングスペースに移動して業務を行うことについて、従業員の自己判断だけに任せるのは好ましくありません。
自宅以外でテレワークを行う場合について、一定のルールを設けておいたほうがよいでしょう。
業務用途と私的用途を按分する
テレワーク時の経費計上で経理担当者が一番頭を悩ませるのが、通信費や電気料金など、従業員のプライベートと重なる部分です。
たとえば、モバイルルーターなどを会社で購入して従業員に支給している場合は、その代金を経費計上すれば済みます。
しかし、従業員が個人的に契約しているインターネット回線を業務にも使用するというケースがほとんどだと思われます。
その場合は、従業員がプライベートで使用している分と、会社の業務として使用している分とで“按分(あんぶん)”して、業務分を計上します。
按分とは、定めた基準に比例した割合で割り振ることです。
たとえば、従業員が自身のインターネット回線をプライベートの用途で30%、業務の用途で70%使用していたとすると、利用料金の70%を会社の経費として計上することができます。
この按分の割合は、通信記録などから割り出した業務遂行上、直接必要であったと証明できるものでなければいけません。
水道光熱費なども同様に、業務用途分と生活用途分とで按分します。
ちなみに、国税庁が公表している『在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)』のなかで、通信費や水道光熱費に関して、以下のように業務に使用した分を求め所得税を課税しない金額を算出する式を例示しています。
●通信費
業務のために使用した基本使用料や通信料等=従業員が負担した1カ月の基本使用料や通信料等×(該当月の在宅勤務日数/該当月の日数)×50%
●電気料金
業務のために使用した基本料金や電気使用料=従業員が負担した1カ月の基本料金や電気使用料×(業務で使用した部屋の床面積/自宅の床面積)×(該当月の在宅勤務日数/該当月の日数)×50%
これからもテレワークはますます普及していくことが予想されます。
経費に関する事柄は混乱が生じる可能性も高いため、新たにテレワークを導入する際には、あらかじめ按分の割合や在宅勤務手当のルールなど、経費に関する社内規定を整備しておくことが大切です。
※本記事の記載内容は、2021年8月現在の法令・情報等に基づいています。