融資を受けた際の会計処理について知っておこう
コロナ禍により業績が悪化し、資金調達を行わなければならない企業が急増しています。
主な資金調達の方法には『株式の発行』『社債の発行』『金融機関からの融資』があります。
なかでも金融機関からの融資は、多くの企業が利用する方法です。
今回は、主な資金調達手段の概要と、このうち特に押さえておきたい事項として、融資を受けた際の会計処理の方法に焦点を当てて解説します。
主な資金調達の方法には『株式の発行』『社債の発行』『金融機関からの融資』があります。
なかでも金融機関からの融資は、多くの企業が利用する方法です。
今回は、主な資金調達手段の概要と、このうち特に押さえておきたい事項として、融資を受けた際の会計処理の方法に焦点を当てて解説します。
資金調達のための主な3つの方法
資金調達の方法はさまざまありますが、主なものとしては以下の3つがあげられます。
●株式を発行することによる資金調達
株式会社であれば株式を発行することで資金を調達するという方法をとることができます。
具体的な方法としては、一般の投資家を対象にした『公募増資』と、自社の役員や取引先など特定の第三者を対象にした『第三者割当増資』、既存の株主を対象にした『株主割当増資』の3種類があります。
会計処理は、3種類のいずれも原則として払い込み金額の全額を資本金として処理します。
●社債の発行による資金調達
自社が発行する社債を投資家に購入してもらう資金調達の方法です。
発行時に金利を設定できるため、金融機関から融資を受けるよりも低金利での資金調達が可能で、さらに株式の発行のように投資家が経営に関わってくることもないことがメリットです。
ただし、社債は投資家からの借り入れの意味合いを持つため、年1~2回の利払い日に利息を支払う必要があります。
また、発行すればするだけ負債が増えることになりますし、満期になれば元本も返済する必要があります。
会計処理は、発行時、利息の支払い時、返還時、決算時と複数回行うことになります。
●金融機関からの融資による資金調達
銀行などから借り入れをする方法で、資金調達としては最も一般的です。
銀行から借りる場合には、まず融資額や利率を決めるために審査を受け、業績や財務状況などをチェックしてもらいます。
銀行は審査によって企業の格付けを行いますが、ここで業績が良好で財務状況にも問題がない企業だと判断されれば、よりよい条件で融資を受けることができます。
一方、経営難や経営破綻に陥るリスクがあると判断された企業の場合は、融資を受けられなくなる可能性もあります。
会計処理は、社債と同じく借入時や利息の支払い時など、それぞれのタイミングで処理します。
次に、もう少し詳しくみていきましょう。
金融機関から融資を受けた際の会計処理
銀行の審査が通ると、融資額が会社の預金口座に振り込まれます。
ほとんどの場合は融資額の総額から信用保証料や収入印紙代、事務手数料などの手数料が差し引かれた額が入金されますが、手数料が差し引かれないケースもあり、それぞれ会計処理の方法が異なります。
手数料が差し引かれない場合には、入金された額をそのまま借方に預金として記帳し、貸方には『短期借入金』か『長期借入金』という区分を使って記帳します。
短期借入金は契約日から1年以内に返済期日が到来する借入金で、長期借入金は契約日から返済期日が1年を超える借入金のことです。
一方で、手数料が差し引かれる場合には、それぞれの手数料の内訳に応じた仕訳を行います。
信用保証料は『前払費用又は長期前払費用』として、印紙代は『租税公課』として、振込手数料や事務手数料は『支払手数料』として記帳します。
さらに、借入金の返済の際にも会計処理が必要となり、利息を支払う際には『支払利息』で、元金を支払う際には借入時と同じく、『長期借入金』か『短期借入金』の勘定科目で処理します。
決算時の会計処理も、借入金の勘定科目が『長期借入金』か『短期借入金』で異なるため、注意する必要があります。
銀行などから融資を受けると月々の借入金残高が記載されている返済予定表が送れられてくるので、決算時には貸借対照表の残高と金額が一致していることを確認します。
長期借入金の場合は残高に差異があると翌期も差異があるままの残高になってしまうため、元本を支払利息で処理していないかなど、遡って調べておきましょう。
また、長期借入金に関して、決算の時点で返済の期限が1年以内になるものは、『1年以内返済長期借入金』への振り替えが必要となります。
ただし、重要性が低い場合は処理を行わないこともあります。
借入金の会計処理は、入金時、利息の支払い時、元本の返済時、決算時で行うことになるため手間や時間がかかります。
専門家にも相談しながら進めていくほうが得策といえるでしょう。
※本記事の記載内容は、2021年7月現在の法令・情報等に基づいています。
資金調達の方法はさまざまありますが、主なものとしては以下の3つがあげられます。
●株式を発行することによる資金調達
株式会社であれば株式を発行することで資金を調達するという方法をとることができます。
具体的な方法としては、一般の投資家を対象にした『公募増資』と、自社の役員や取引先など特定の第三者を対象にした『第三者割当増資』、既存の株主を対象にした『株主割当増資』の3種類があります。
会計処理は、3種類のいずれも原則として払い込み金額の全額を資本金として処理します。
●社債の発行による資金調達
自社が発行する社債を投資家に購入してもらう資金調達の方法です。
発行時に金利を設定できるため、金融機関から融資を受けるよりも低金利での資金調達が可能で、さらに株式の発行のように投資家が経営に関わってくることもないことがメリットです。
ただし、社債は投資家からの借り入れの意味合いを持つため、年1~2回の利払い日に利息を支払う必要があります。
また、発行すればするだけ負債が増えることになりますし、満期になれば元本も返済する必要があります。
会計処理は、発行時、利息の支払い時、返還時、決算時と複数回行うことになります。
●金融機関からの融資による資金調達
銀行などから借り入れをする方法で、資金調達としては最も一般的です。
銀行から借りる場合には、まず融資額や利率を決めるために審査を受け、業績や財務状況などをチェックしてもらいます。
銀行は審査によって企業の格付けを行いますが、ここで業績が良好で財務状況にも問題がない企業だと判断されれば、よりよい条件で融資を受けることができます。
一方、経営難や経営破綻に陥るリスクがあると判断された企業の場合は、融資を受けられなくなる可能性もあります。
会計処理は、社債と同じく借入時や利息の支払い時など、それぞれのタイミングで処理します。
次に、もう少し詳しくみていきましょう。
金融機関から融資を受けた際の会計処理
銀行の審査が通ると、融資額が会社の預金口座に振り込まれます。
ほとんどの場合は融資額の総額から信用保証料や収入印紙代、事務手数料などの手数料が差し引かれた額が入金されますが、手数料が差し引かれないケースもあり、それぞれ会計処理の方法が異なります。
手数料が差し引かれない場合には、入金された額をそのまま借方に預金として記帳し、貸方には『短期借入金』か『長期借入金』という区分を使って記帳します。
短期借入金は契約日から1年以内に返済期日が到来する借入金で、長期借入金は契約日から返済期日が1年を超える借入金のことです。
一方で、手数料が差し引かれる場合には、それぞれの手数料の内訳に応じた仕訳を行います。
信用保証料は『前払費用又は長期前払費用』として、印紙代は『租税公課』として、振込手数料や事務手数料は『支払手数料』として記帳します。
さらに、借入金の返済の際にも会計処理が必要となり、利息を支払う際には『支払利息』で、元金を支払う際には借入時と同じく、『長期借入金』か『短期借入金』の勘定科目で処理します。
決算時の会計処理も、借入金の勘定科目が『長期借入金』か『短期借入金』で異なるため、注意する必要があります。
銀行などから融資を受けると月々の借入金残高が記載されている返済予定表が送れられてくるので、決算時には貸借対照表の残高と金額が一致していることを確認します。
長期借入金の場合は残高に差異があると翌期も差異があるままの残高になってしまうため、元本を支払利息で処理していないかなど、遡って調べておきましょう。
また、長期借入金に関して、決算の時点で返済の期限が1年以内になるものは、『1年以内返済長期借入金』への振り替えが必要となります。
ただし、重要性が低い場合は処理を行わないこともあります。
借入金の会計処理は、入金時、利息の支払い時、元本の返済時、決算時で行うことになるため手間や時間がかかります。
専門家にも相談しながら進めていくほうが得策といえるでしょう。
※本記事の記載内容は、2021年7月現在の法令・情報等に基づいています。