社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

差し押さえや刑罰もあり得る!? 税金を滞納した際のペナルティ

21.01.12
ビジネス【税務・会計】
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法人には、法人税や源泉所得税、法人住民税や法人事業税に消費税など、さまざまな種類の税金を納付する義務があります。
経営状況の悪化などの理由で税金を滞納すると、そのペナルティとして『延滞税』が発生します。
さらに、それでも支払いを先延ばしにしていると、税務署から督促状が送られてきて、最終的には資産を差し押さえられてしまう可能性もあります。
そこで今回は、なかなか実態を知ることができない、税金を滞納し続けた際の流れを追っていきます。
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税金の滞納で資産を失う可能性もある

近年では、国税庁側の努力や、企業側の意識の高まりなどもあり、税金滞納の割合は減ってきています。
しかし、国税庁が発表した『令和元年度租税滞納状況』によると、令和元年度に発生した新規の税金滞納額は、5,528億円にも上ることがわかりました。
内訳は、消費税が3,202億円で、所得税が1,249億円、法人税が765億円などです。
国税庁による未納者への納付指導などの防止策が功を奏して、前年よりも10%ほど少ない数字となりましたが、依然として多額の滞納が発生していることには変わりありません。

企業が税金を滞納してしまう理由は、基本的には経営状況の悪化です。
会社の経営にはさまざまなコストがかかり、税金もその一つといえます。
金融機関からの借り入れなどで会社を回していたが、仕入れや人件費などで資金が無くなってしまい、税金を納めることができなかったというケースもあります。

税金ごとに定められた納期限を過ぎると、自動的に滞納という扱いになり、延滞税というペナルティが科されてしまいます。
延滞税は、『(納付すべき税額×延滞税率×期間(日数)÷365(日)』という計算式で求めることができます。
原則として、納期限の翌日から2カ月を経過する日までの期間は、延滞税率が年7.3%(2014年1月1日以後の期間は、年『7.3%』と『特例基準割合+1%』のいずれか低い割合)となり、2カ月を経過した日の翌日以降は年14.6%(2014年1月1日以後の期間は、『14.6%』と『特例基準割合+7.3%』のいずれか低い割合)と高くなるので注意しましょう。


差し押さえまでにはいくつかのステップがある

税金を滞納し、さらに延滞税も支払わない場合、資産の差し押さえが行われます。
しかし、すぐに差し押さえが行われるわけではなく、いくつかのステップを踏むことになります。

まずは、納付期限から1カ月ほどを目安として、会社に督促状が送られてきます。
督促状とは、支払期日と金額が明示された請求書です。
納税が難しい場合は、督促状に書かれた問い合わせ先に相談することで、分割納付の可能性など、納付に関するアドバイスをもらうこともできます。
しかし、役所にも相談せずに、督促状を無視していると、次は税務署から電話などで催促の連絡が入ります。
場合によっては、再び追加の督促状が送られてくるケースや、会社に担当が直接訪ねてくるケースもあります。

それでも税金を納めないでいると、ついに最終段階として、身辺・財産調査の後、差し押さえが行われるのです。
原則として、税務署は督促状を送った日から10日を経過した日までに滞納している税金を完納しないときは、差し押さえが行えることになっています。
滞納者においては、督促状の発送日から10日を経過した日以降は、いつでも差し押さえられてしまうという認識でいなければいけません。

差し押さえが行われる際には、まず『差押予告通知書』が届き、銀行口座がある場合には、預金の差し押さえが行われます。
口座に現金が残っていない場合には、生活を送るうえでの最低限の衣服、寝具、家具、食料などの『差押禁止財産』を除いた資産の差し押さえが行われます。
また口座の預金に関しても、給与、退職金債権および社会保険制度に基づくこれらに類する給付に関しては、差押禁止財産となります。
差し押さえられた資産は、公売にかけられ、その売値が滞納分に充てられます。

差し押さえは資産を失うほかにも、社会的な信用の失墜や、融資が受けづらくなるなどのさまざまなデメリットがあります。
そのぶん、督促状などによる注意喚起が行われますし、督促状が届いてもすぐに役所などに相談すれば、差し押さえに至ることは少ないといえます。
一方で、故意に税金を滞納したり、督促を無視したりする悪質な滞納者には、容赦なく差し押さえが行われるばかりか、刑罰に処せられることもあります。
税金を支払う能力がありながらも、納税を免れようとすると、国税徴収法の滞納処分免脱罪が適用されるのです。

納税は国民の義務であり、会社を経営していくうえで必要なコストといえます。
税金が払えなくなりそうであれば早めに税務署や専門家に相談するなど、日頃から滞納しないための策を講じておきましょう。


※本記事の記載内容は、2021年1月現在の法令・情報等に基づいています。