テレワーク時の中抜け時間や移動時間はどう取り扱う?
新型コロナウイルスの影響もあり、従業員が会社に出勤して業務に従事するという勤務形態だけでなく、自宅などで業務に従事するテレワークが定着してきました。
テレワーク中には、従業員が一定時間業務から離れる、いわゆる『中抜け時間』や中抜けにともなう『移動時間』が発生するケースが多々あります。
では、こういった時間は労務管理上、どのように扱えばよいのでしょうか。
テレワーク中には、従業員が一定時間業務から離れる、いわゆる『中抜け時間』や中抜けにともなう『移動時間』が発生するケースが多々あります。
では、こういった時間は労務管理上、どのように扱えばよいのでしょうか。
テレワーク時に問題となる『中抜け時間』
テレワーク中であっても、企業は労働基準法などの法律を遵守しなくてはなりません。
たとえば、パソコンのログイン記録や上長への報告などで従業員の勤怠管理を行い、勤務実態を適正に把握する必要がありますし、休憩に関しても、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上の休憩時間を設けることが義務付けられています。
これらは会社に出勤して仕事をする場合と同様に行わなくてはなりません。
しかし、まだテレワークの勤怠管理に慣れていない多くの企業で、この休憩時間を巡って、新たな悩みのタネが生まれています。
それが、従業員の『中抜け時間』に関する取り扱いです。
テレワーク下では、休憩時間以外に私用で席を離れる『中抜け』が発生しやすい傾向にあります。
テレワークでは、原則的に自宅で業務にあたることになるため、プライベートとの切り分けが難しく、また、出勤していた際には難しかった銀行や役所などへの用事を済ませたいという従業員からの要望もあるといいます。
ほかにも、子どものお迎えや学校行事、面談などのため、必要に迫られて中抜けをしなくてはならないケースもあります。
では、こういった従業員の中抜けに、企業はどのように対応していけばよいのでしょうか。
中抜け時間の取り扱い方法
中抜け時間について、使用者が業務の指示をしないこととし、労働者が労働から離れ、自由に利用することが保障されている場合については、以下のような取り扱いが可能です。
まず一つは、中抜けの開始と終了を従業員に報告させて、その中抜け時間を『休憩時間』として扱う方法で、必要に応じて始業時間の繰り上げや終業時間の繰り下げを行います。
たとえば、12時から13時が通常の休憩時間で、これとは別に14時から15時の中抜けの申し出があった場合、終業時刻を1時間繰り下げて、全体の労働時間を調整することが可能になります。
ただし、始業時間の繰り上げや終業時間の繰り下げについて、あらかじめ変更を可能とする旨を就業規則に記載し、従業員に周知しなくてはいけません。
会社側が所定労働時間を一方的に変更することはできません。
また、休憩時間ではなく、『時間単位の年次有給休暇』として取り扱う方法もあります。
この方法であれば、始業時間の繰り上げや終業時間の繰り下げの必要はなく、中抜け時間をそのまま年次有給休暇として処理してしまえばよいということになります。
しかし、この場合も会社側の判断で勝手に年次有給休暇とすることはできず、従業員との労使協定を締結する必要があるので注意しましょう。
テレワーク時の移動時間の考え方
テレワーク下では、移動時間に関する問題も発生しやすい傾向にあります。
テレワークでは、その性質上、移動中であってもパソコンやスマホなどを用いた業務を行うことが可能で、これらの時間はもちろん労働時間に含まれます。
会社への通勤時間はもちろん、テレワーク中に中抜けして役所へ向かう移動時間であっても、モバイル端末で仕事をしていれば労働時間となります。
使用者の明示または黙示の指揮命令下で行われる労働は、すべて労働時間に該当するというわけです。
逆に、従業員が使用者の命令下に置かれず自由に動ける場合は、労働時間とはみなしません。
たとえば、午前中は自宅でテレワークを行い、午後からはオフィスに移動して業務を行ったとします。
このケースにおいて、使用者からの移動の命令がなく、従業員の都合でオフィスに移動した場合は、自宅からオフィスまでの移動時間については、休憩時間として取り扱うことになります。
移動時間は労働時間とはみなさないという判断です。
ただし、この移動時間にモバイル端末などで業務を行っていた際には、この限りではありません。
このようにテレワークでは、中抜け時間や移動時間に関してはさまざまなケースが発生する可能性があります。
これらの取り扱いについて決して曖昧にせず、従業員としっかり話し合い、合意を得ておくことが大切です。
※本記事の記載内容は、2020年10月現在の法令・情報等に基づいています。
テレワーク中であっても、企業は労働基準法などの法律を遵守しなくてはなりません。
たとえば、パソコンのログイン記録や上長への報告などで従業員の勤怠管理を行い、勤務実態を適正に把握する必要がありますし、休憩に関しても、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上の休憩時間を設けることが義務付けられています。
これらは会社に出勤して仕事をする場合と同様に行わなくてはなりません。
しかし、まだテレワークの勤怠管理に慣れていない多くの企業で、この休憩時間を巡って、新たな悩みのタネが生まれています。
それが、従業員の『中抜け時間』に関する取り扱いです。
テレワーク下では、休憩時間以外に私用で席を離れる『中抜け』が発生しやすい傾向にあります。
テレワークでは、原則的に自宅で業務にあたることになるため、プライベートとの切り分けが難しく、また、出勤していた際には難しかった銀行や役所などへの用事を済ませたいという従業員からの要望もあるといいます。
ほかにも、子どものお迎えや学校行事、面談などのため、必要に迫られて中抜けをしなくてはならないケースもあります。
では、こういった従業員の中抜けに、企業はどのように対応していけばよいのでしょうか。
中抜け時間の取り扱い方法
中抜け時間について、使用者が業務の指示をしないこととし、労働者が労働から離れ、自由に利用することが保障されている場合については、以下のような取り扱いが可能です。
まず一つは、中抜けの開始と終了を従業員に報告させて、その中抜け時間を『休憩時間』として扱う方法で、必要に応じて始業時間の繰り上げや終業時間の繰り下げを行います。
たとえば、12時から13時が通常の休憩時間で、これとは別に14時から15時の中抜けの申し出があった場合、終業時刻を1時間繰り下げて、全体の労働時間を調整することが可能になります。
ただし、始業時間の繰り上げや終業時間の繰り下げについて、あらかじめ変更を可能とする旨を就業規則に記載し、従業員に周知しなくてはいけません。
会社側が所定労働時間を一方的に変更することはできません。
また、休憩時間ではなく、『時間単位の年次有給休暇』として取り扱う方法もあります。
この方法であれば、始業時間の繰り上げや終業時間の繰り下げの必要はなく、中抜け時間をそのまま年次有給休暇として処理してしまえばよいということになります。
しかし、この場合も会社側の判断で勝手に年次有給休暇とすることはできず、従業員との労使協定を締結する必要があるので注意しましょう。
テレワーク時の移動時間の考え方
テレワーク下では、移動時間に関する問題も発生しやすい傾向にあります。
テレワークでは、その性質上、移動中であってもパソコンやスマホなどを用いた業務を行うことが可能で、これらの時間はもちろん労働時間に含まれます。
会社への通勤時間はもちろん、テレワーク中に中抜けして役所へ向かう移動時間であっても、モバイル端末で仕事をしていれば労働時間となります。
使用者の明示または黙示の指揮命令下で行われる労働は、すべて労働時間に該当するというわけです。
逆に、従業員が使用者の命令下に置かれず自由に動ける場合は、労働時間とはみなしません。
たとえば、午前中は自宅でテレワークを行い、午後からはオフィスに移動して業務を行ったとします。
このケースにおいて、使用者からの移動の命令がなく、従業員の都合でオフィスに移動した場合は、自宅からオフィスまでの移動時間については、休憩時間として取り扱うことになります。
移動時間は労働時間とはみなさないという判断です。
ただし、この移動時間にモバイル端末などで業務を行っていた際には、この限りではありません。
このようにテレワークでは、中抜け時間や移動時間に関してはさまざまなケースが発生する可能性があります。
これらの取り扱いについて決して曖昧にせず、従業員としっかり話し合い、合意を得ておくことが大切です。
※本記事の記載内容は、2020年10月現在の法令・情報等に基づいています。