社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

美容業界で関心を集めるIoT機器『スマートミラー』の実力は

20.09.01
業種別【美容業】
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IoT技術を活用した鏡、『スマートミラー』をご存じでしょうか。
米国のヘルスケア分野で使われてきた、カメラ付きのIoTミラーを、美容分野にも応用したものです。
日本国内ではそれほど知られていませんが、その将来性は非常に高いといわれており、内外のメーカーが、自動診断やアドバイスなど、さまざまな機能を持ったスマートミラーの開発に取り組んでいます。
ここではそのスマートミラーの仕組みと、美容室での具体的な活用方法を紹介していきます。
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スマートミラーで多彩なサービスが可能に

美容業界にとって、スマートミラーは今後主流になるかもしれないアイテムです。
これを使用すれば、モノとカメラ、インターネットを結ぶテクノロジー(IoT)を活用し、個人の情報を記録して、よりパーソナライズしたサービスを提供できるようになります。
まず、その仕組みを解説します。
スマートミラーは、鏡にカメラやセンサーが付属し、コンピュータが内蔵されていて、解析機能やAR(拡張現実)でのシミュレーション機能が付随します。
インターネットに接続したIoT機器としても活用でき、スピーカーを接続すれば、AIや配信データなどから音声で最新のアドバイスを受けられたり、顧客ごとに情報を保存したりできるというものです。

すでに海外では、ホテルが対話型のスマートミラーを全室に置いて、周辺情報などを提供していたり、百貨店でのイベントプロモーションの一環で、店頭に置いて美容アドバイスを提供したりと、幅広い使われ方をしています。
日本でも、フィットネスジムがボディスキャニングに利用しているケースや、アパレル店舗がバーチャルフィッティングに利用してコーディネートをアドバイスするサービスを提供するなどで導入が始まりました。
それでは、スマートミラーを美容室に設置することになったら、どのような使い方が想定できるでしょうか。
たとえば、スマートミラーにはシミュレーション機能を備えたものがあります。
カット用の椅子に顧客が座り、普通の鏡のように見つめると、そこに映った本人の顔の上に仕上がりイメージが表示され、事前にカット後の自分を見ることができるのです。
どんなに腕のいい美容師でも、「希望と違う髪型になった」という苦情を受けることがあります。
事前にどうしようもなかった、と思わず言い返したくなるようなケースもあるでしょう。
そうした場合、スマートミラーがあれば、鏡を操作し、仕上がりのイメージをバーチャル体験してから、実際にカットに移ることができるので、いわゆる施術者と顧客の認識のズレがなくなるのです。
また、中型の卓上ミラーであれば、タブレット端末のような使い方も可能です。
客が待ち時間に話しかけて美容情報を取得したり、カメラがスキャンした情報をもとに、ミラーから肌のお手入れのヒントをもらったりと、多彩な機能で顧客を飽きさせません。
待たせている間のサービスにもなるのです。


過去のカット写真と紐づけて顧客情報を管理

顧客ごとにカルテを作成している美容室も多いでしょう。
サービス向上のために記録する顧客カルテですが、スマートミラーを活用することで、一歩先をいくサービスを提供することができます
たとえば、ミラーについているカメラの顔認証システム(Face IDなど)で、鏡に顧客の顔を認識させます。
すると、客が席に座って鏡と対面しているときに、過去のカットの写真を鏡上に呼び出せるようになるので、「前回と同じ髪形にしてほしい」といったオーダーがあった時に非常に役立ちます。
初来店のときに、顔データと顧客情報を紐づけておけば、次回からは、何回目の来店で誰を指名したかなどの情報が自動的に記録され、スタッフが受付にかける時間も大幅に短縮されます。
工夫によっては店の回転率もアップするはずです。
さらに、意外な使い方として、スマートミラーを『広告媒体』にすることもできます。
顔認証システムと組み合わせてスマートミラーを見ている顧客の年齢を特定すれば、美容室にいる、特定の年齢層に向けた広告を表示したいと考えている企業と契約できます。
このようにして、スマートミラーから広告収入を得ることも可能なのです。

自店の客層や設備に充てられる資金、そして将来どのようにビジネスを展開していきたいかによって、用途の違いはありますが、多くの美容室でいずれ導入を考えることになるかもしれません。


美容業界はデジタル・カウンセリング時代へ

海外のコスメブランドを筆頭に、デジタル・カウンセリングも広まっています。
主にショールームや展示会場などに設置された大型タッチパネルで、化粧品のカウンセリングを受けるサービスです。

これまでは化粧品売場でスタッフが実際にアイテムを使い、顧客をメイクしながらアドバイスを行うサービスが主流でした。
しかし新型コロナウイルスによって、接触をなるべく避ける『非接触』が求められるようになり、ますます認知度が高まるとみられています。
タブレット端末を使ったバーチャルメイクアップや、AIによる美容カウンセリングが、世の中で常識になっていくのです。
美容室でも、今後こうしたデジタル・カウンセリングの導入拡大が予想されます。
国内では都市部を中心としたごく一部の店舗で使用されていますが、今後ますます広がりをみせるでしょう。


※本記事の記載内容は、2020年9月現在の法令・情報等に基づいています。