社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

違反すると罰則!? 広告メールに関する『特定電子メール法』とは

20.06.09
ビジネス【マーケティング】
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顧客へ直接アプローチする方法として、メールマガジンを活用している事業者も多いでしょう。
こうした手法は『電子メールマーケティング』や『Eメールマーケティング』などと呼ばれ、さまざまな効果が得られます。 
ただし、こうした広告は受信者にとって時に迷惑にもなります。
そこで、2002年に『特定電子メールの送信の適正化等に関する法律』、通称『特定電子メール法』が施行され、ルールが定められました。 
今回は、こうした法的なルールに違反することがないよう、マーケティング担当者なら知っておきたい特定電子メール法についてご紹介します。
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受信者の同意がないと広告メールは送れない

『特定電子メールの送信の適正化等に関する法律』は、電子メールが普及するにしたがって増えてきた迷惑メールを排除する目的で制定されました。
『迷惑メール法』や『特定電子メール法』などと呼ばれています。

原則的に、メール受信者の同意を得ていない広告メールを禁止するための法律で、受信を希望している人にだけメールを送信することを許可しています。
企業側が広告メールを送る際には、『オプトイン方式』を取ることに加え、メールのなかで送信者情報などを表示するよう義務付けています。

まず、オプトイン方式とは、あらかじめ受信者の同意を得てからメールを送信する方式のことです。
企業の場合は、受信者であるユーザーに対して、広告の送付や個人情報収集の可否を了承してもらうために、法に則った手続きを取ることを指します。
当然、同意を得られない場合は広告メールを送ってはいけません。

この、オプトイン(同意)を得るには、たとえば、Webページの一部に『広告メールを送る』という項目を設け、チェックを入れてもらう方法や、プライバシーポリシーに項目を入れて同意を得るなどの方法があります。
チェックを入れたユーザーは、広告メールの送付に同意したとみなされ、広告メールを受け取ることになります。

一方で、非営利団体が送るメールや、営業目的ではない個人的なメールなどは、迷惑メール法の対象外となります。
さらに、取引関係にある人や、名刺などであらかじめ相手の電子メールアドレスが通知されていた場合なども対象外。
つまり、イベントなどで名刺交換をした相手には、そこに電子メールアドレスが記載されていれば、広告メールを送っても問題ないとみなされます。

また、広告メールを送る同意を得るための電子メールや、契約や取引の履行に関する事項を通知する電子メールに付随した広告も対象外です。

ちなみに、ネット上で公開されていた営業を目的とする個人や企業の電子メールアドレスであれば迷惑メール法の対象外ですが、特定商取引法の適用範囲になるので、注意が必要です。
ネットにメールアドレスが出ていたからといって、安易に広告メールを送らないようにしましょう。


広告メール配信にまつわる義務とペナルティ 

受信者から同意を得ることができたら、その同意を受けた際の状況を示す記録を、それぞれ保存しておかなければいけません。
時期や方法などを明確にし、誰から、いつ、どのような同意を得たのかを、書面または電子データで記録しておきましょう。

これらの記録は広告メールを送信した日から1カ月の保存義務があります。
さらに、受信者の同意を得たからといって、なんのルールもなく広告メールが送れるようになるわけではありません。

特定電子メール法では、広告メールにおける表示義務を定めており、電子メールアドレスやドメイン名などの『送信者情報』、企業名やサービス名などの『送信者名』、さらには、受信の拒否ができるような『配信停止手続きの案内』や、受信拒否の通知を受け付けるための電子メールアドレスやURLなどを明示する必要があります。
ほかにも、送信者の住所、苦情・問い合わせなどを受け付けることができる電話番号や電子メールアドレスも必要です。

そして、これらの条件を満たしていても、受信者から受信拒否の通知を受けた場合には、当然、配信を止める義務があります。
企業などの送信者は、受信拒否の通知を受けたらただちに配信を止め、通知記録は保存しておきましょう。

法律を知っていれば起こらないトラブルですが、万が一受信を拒否している相手や同意のない相手に広告メールを送ってしまった場合は、内閣総理大臣および総務大臣による命令が下され、これに従わない場合は、行為者に1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科されます。
法人に対しては3,000万円以下の罰金の支払いが命じられ、表示義務違反や送信者情報の偽りについても同様の罰則が科されます。

また、配信の同意を記録しておかなかった場合は、行為者が100万円以下の罰金を支払うこととなります。
法人に対しては100万円以下の罰金が科されます。

電子メールによる広告は、一斉に多くのユーザーへ告知でき、便利で効果的な反面、法的なルールに従わなかった場合の罰則は厳しいものとなるので、法律に抵触しないように十分な配慮が必要です。
『特定電子メール法』の内容を理解し、きちんと守って、顧客や消費者のためになるマーケティング活動に取り組みましょう。


※本記事の記載内容は、2020年6月現在の法令・情報等に基づいています。