押さえておきたい『内定者研修』のメリットとデメリット
企業が内定者に対して、入社前に研修を行うことを『内定者研修』といいます。
内定者研修は、新入社員に社会人としてのマナーを覚えさせたり、社内のチームワークを高めたりといった目的で行われており、毎年の慣習となっている企業も少なくありません。
内定者研修を行うのであれば、そのメリットを知っておいたほうが得られる効果が高まります。
そこで、内定者研修のメリットと注意点を解説します。
内定者研修は、新入社員に社会人としてのマナーを覚えさせたり、社内のチームワークを高めたりといった目的で行われており、毎年の慣習となっている企業も少なくありません。
内定者研修を行うのであれば、そのメリットを知っておいたほうが得られる効果が高まります。
そこで、内定者研修のメリットと注意点を解説します。
企業が内定者研修を行う理由とは?
今も昔も各企業の経営者や人事担当者は、内定辞退の防止に頭を悩ませているのではないでしょうか。
そんな内定辞退の防止に効果的といわれているのが、内定者を対象とした『内定者研修』です。
内定者研修は通常10月1日以降に開かれる内定式から4月の入社式の間に行われることがほとんどで、オープンセミナーによる研修をはじめ、外部から講師を招いてのマナー講習、さらにはその会社独自のカリキュラムに沿って社員が教育を担当するケースなど、方法はさまざまです。
内定者は、内定をもらったものの「会社に馴染めるのか」「仕事がうまくできるのか」といった不安を抱いています。
内定者研修は、そんな内定者を一同に集めて、仲間意識をもってもらい、さらに会社の具体的な業務を知ってもらうことで、不安を解消してもらうという効果があります。
これまでぼんやりとしか見えていなかった会社の内情や、そこで働く人たちの顔が見えることで、本人がその会社で働くことを具体的にイメージでき、内定者たちがそれまで抱えていた不安をなくすことができます。
その結果、会社としても内定辞退の防止につながるというわけです。
また、内定者研修によって、これまで学生気分だった内定者の意識を会社に向けることができます。
それぞれの会社への帰属意識を高めるためにも、内定者研修は有効です。
入社に向けた準備という意味でも内定者研修は効果的で、企業側はもちろん、内定者にもメリットのある方法といえます。
内定者研修の問題点とは?
積極的に取り入れていきたい内定者研修ですが、問題点がないわけではありません。
原則的に企業が内定を出し、内定者が同意すると、企業と内定者との間で『就労始期付解約権留保付労働契約』が成立します。
『就労始期付』とは、実際に入社し、就労がスタートするまでに期間があるためで、『解約権留保付』とあるのは、内定を出したものの、事情によっては解約、つまり内定取り消しが行われることがあるためです。
いわゆる条件付きの労働契約を交わしているわけなので、入社前に研修を受けさせても問題ないように思えます。
実際に法律上でも『内定者研修』は違法とされていませんが、あくまで『始期付』であるため、入社するまでは“労働を前提としない研修”でなければいけません。
内定者は学生であり、学生の本分は学業です。
裁判所の過去の判例では、内定者研修によって、学業を阻害されることは許されないとしています。
学生は労働を前提としないわけですから、会社の業務に携わらせるような、業務につながる直接的な研修は避けるべきとされています。
OJT担当の負担軽減を目的に、内定者研修で内定者をスキルアップさせ、入社後すぐに実務に携わらせるようにする企業もありますが、そのような実務的な研修はトラブルのもと。
もし内定者に業務をさせる場合は、すでに条件付きとはいえ、労働契約を結んでいるのですから、労働の対価となる賃金を支払う必要が出てきます。
また、基本的に内定者研修への参加は内定者の任意であり強制してはいけません。
強制でなくても、内定者研修に参加した者と参加しない者で入社後の人事評価に差をつけてはいけませんし、ペナルティなどを課してもいけません。
そして、強制ではないとしても、内定者としては研修に参加しないという選択をするのはむずかしいはずです。
内定者の心情なども考慮し、負担のない研修を設定する必要があります。
基本的に社内の業務に関する研修は入社後の新人研修で行うようにし、内定者研修を行う場合は、懇親会などの顔合わせや、職場や工場見学、先輩たちの紹介、マナー講座など、業務には直接関係のないものだけにしておきましょう。
※本記事の記載内容は、2020年5月現在の法令・情報等に基づいています。
今も昔も各企業の経営者や人事担当者は、内定辞退の防止に頭を悩ませているのではないでしょうか。
そんな内定辞退の防止に効果的といわれているのが、内定者を対象とした『内定者研修』です。
内定者研修は通常10月1日以降に開かれる内定式から4月の入社式の間に行われることがほとんどで、オープンセミナーによる研修をはじめ、外部から講師を招いてのマナー講習、さらにはその会社独自のカリキュラムに沿って社員が教育を担当するケースなど、方法はさまざまです。
内定者は、内定をもらったものの「会社に馴染めるのか」「仕事がうまくできるのか」といった不安を抱いています。
内定者研修は、そんな内定者を一同に集めて、仲間意識をもってもらい、さらに会社の具体的な業務を知ってもらうことで、不安を解消してもらうという効果があります。
これまでぼんやりとしか見えていなかった会社の内情や、そこで働く人たちの顔が見えることで、本人がその会社で働くことを具体的にイメージでき、内定者たちがそれまで抱えていた不安をなくすことができます。
その結果、会社としても内定辞退の防止につながるというわけです。
また、内定者研修によって、これまで学生気分だった内定者の意識を会社に向けることができます。
それぞれの会社への帰属意識を高めるためにも、内定者研修は有効です。
入社に向けた準備という意味でも内定者研修は効果的で、企業側はもちろん、内定者にもメリットのある方法といえます。
内定者研修の問題点とは?
積極的に取り入れていきたい内定者研修ですが、問題点がないわけではありません。
原則的に企業が内定を出し、内定者が同意すると、企業と内定者との間で『就労始期付解約権留保付労働契約』が成立します。
『就労始期付』とは、実際に入社し、就労がスタートするまでに期間があるためで、『解約権留保付』とあるのは、内定を出したものの、事情によっては解約、つまり内定取り消しが行われることがあるためです。
いわゆる条件付きの労働契約を交わしているわけなので、入社前に研修を受けさせても問題ないように思えます。
実際に法律上でも『内定者研修』は違法とされていませんが、あくまで『始期付』であるため、入社するまでは“労働を前提としない研修”でなければいけません。
内定者は学生であり、学生の本分は学業です。
裁判所の過去の判例では、内定者研修によって、学業を阻害されることは許されないとしています。
学生は労働を前提としないわけですから、会社の業務に携わらせるような、業務につながる直接的な研修は避けるべきとされています。
OJT担当の負担軽減を目的に、内定者研修で内定者をスキルアップさせ、入社後すぐに実務に携わらせるようにする企業もありますが、そのような実務的な研修はトラブルのもと。
もし内定者に業務をさせる場合は、すでに条件付きとはいえ、労働契約を結んでいるのですから、労働の対価となる賃金を支払う必要が出てきます。
また、基本的に内定者研修への参加は内定者の任意であり強制してはいけません。
強制でなくても、内定者研修に参加した者と参加しない者で入社後の人事評価に差をつけてはいけませんし、ペナルティなどを課してもいけません。
そして、強制ではないとしても、内定者としては研修に参加しないという選択をするのはむずかしいはずです。
内定者の心情なども考慮し、負担のない研修を設定する必要があります。
基本的に社内の業務に関する研修は入社後の新人研修で行うようにし、内定者研修を行う場合は、懇親会などの顔合わせや、職場や工場見学、先輩たちの紹介、マナー講座など、業務には直接関係のないものだけにしておきましょう。
※本記事の記載内容は、2020年5月現在の法令・情報等に基づいています。