社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

ユーザーを分類して市場調査を行う『コーホート分析』とは?

20.03.24
ビジネス【マーケティング】
dummy
ECサイトなどでは、新規ユーザーだけではなく、リピーターの存在が必要不可欠になってきます。
いくら訪問数が多くても、新規ユーザーばかりでは、大きな売り上げは期待できません。
サイトを訪問するユーザーの特徴を分析し、リピーターになってもらえるような施策を行っていく必要があるのです。
そこで、重要になってくるのが、『コーホート分析』です。
今回はマーケティングに重要な役割を果たす、コーホート分析について説明していきます。
dummy
さまざまな分野で使われるコーホート分析

コーホートとは、共通する因子をもった観察対象の集団のことで、そのコーホートを分析する『コーホート分析』は、現在、さまざまな分野で活用されています。

人口統計学を例にあげると、厚生労働省では、過去における人口の動態からコーホート分析によって『変化率』を求め、それに基づき将来的な日本の人口を推計しています。

また、医学の分野でも広く使われています。
たとえば、飲酒の習慣のある集団と、一切飲酒をしない集団を数年にわたって追跡し、病気にかかる確率を調査することもコーホート分析の一つです。
分析によって、要因と病気の関連性を明らかにします。

さらに、社会学においては、世代ごとに、『戦後派』『団塊世代』『団塊ジュニア』と分類し、日本人の考え方や道徳観念などがどのように移り変わってきたのかを調べます。

そして、マーケティングの世界では次のように活用されています。 
たとえば、あるフィットネスクラブの会員数について、月ごとに記録を取っていたとします。
そのフィットネスクラブでは、月ごとに、会員数が20人増えていました。
一見、会員数が増えているのだから、何も問題はないように思えます。
しかし、その内訳まではわかりません。
もしかしたら、新規会員は毎月30人増えていても、その裏で常連の会員が毎月10人ずつ減っているかもしれません。
もしそうであれば、常連客をつなぎとめるための施策を早急に打たなければならないはずです。
これらの内訳を調査するのに必要なのがコーホート分析です。

会員をそれぞれ『その月に入会した新規会員』『入会1年以内の初心者会員』『入会1~3年以内の普通会員』『3年以上の常連会員』などに分けて、それぞれの動向を調査します。
こうすることで、月ごとの会員の動きが目に見えるようになり、それぞれに適切な施策を打つことができるわけです。
初心者会員の脱会率が高ければ、インストラクターの声かけや、レッスンの充実などの施策を取る必要がありますし、常連会員の脱会率が高ければ、常連に対するサービスや、割引などを充実させる必要があります。
また、普通会員の脱会率が低いのに、普通会員の脱会を阻止するための施策を行うようなことは起きなくなります。


サイト運営でのコーホート分析の活用

そして、近年最もコーホート分析が活用されているのは、サイト運営の場においてです。
企業サイトを訪れるユーザーを分析し、その行動や定着率を把握。
その情報を元にマーケティングを行っていきます。

Googleが無料で提供するWebページのアクセス解析サービス『Google アナリティクス』には、『コーホート分析(コホート分析)』の機能がついています。
これにより、特定期間のユーザーについて、行動をグループ化し、数値として分析できるようになりました。

たとえば、ECサイトであれば、2週間でどのくらいのユーザーが訪れ、そのうちの何割が再訪し、また、何割が商品購入までたどり着いたのかなどのデータを見ることができます。
さらに、ユーザーの減少する時期などもはっきりとわかります。
ユーザーの再訪率が低ければ、再訪したくなるようなコンテンツを考える必要がありますし、購買率が減っていれば、購買を促すサービスが必要になってきます。

コーホート分析は、今後のサイト運営の方向性を決めるのに必要不可欠な分析方法でもあります。
ECサイトや企業サイトの成長のためにも、取り入れてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2020年3月現在の法令・情報等に基づいています。