社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

東京オリンピック後の建設業のビッグプロジェクトとは?

20.03.03
業種別【建設業】
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東京オリンピック・パラリンピックが開催される日が近づいてきています。
開催に向けてさまざまな建物の建築や道路の整備などが行われてきたため、建設業は東京オリンピック・パラリンピック特需があったのではないでしょうか。
そのため、その後に仕事が減ることを懸念している人も多いかもしれません。
しかし、国内ではまだまだ大きなプロジェクトが予定されているのです。
今回は、それらのビッグプロジェクトと、その対策について紹介します。
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国家的プロジェクトである大阪・関西万博開催

東京オリンピック・パラリンピックが終わった後も、建設業の明るいニュースは続きます。
まず、あげられるのが2025年に開催予定の国際博覧会である大阪・関西万博です。
国内で行われる大規模な国際博覧会としては、1970年の大阪、2005年の愛知に続いて3回目になります。
国際博覧会の開催時には、さまざまな建造物が建築されたり、道路が整備されたりします。
その勢いは、国際博覧会終了後も止まることがありません。
なぜなら、博覧会の跡地が住宅やオフィスが立ち並ぶニュータウンに変貌することもあるからです。
政府は大阪・関西万博の経済効果を2兆円と試算。
過去の国際博覧会と同様、開催によるインフラ整備や多くの住宅やオフィスの建築が見込まれています。


リニア中央新幹線が全線開通の予定

リニア中央新幹線は2027年までには東京・品川から名古屋間、さらに2037年までに東京・品川から大阪間の全線開通が予定されています。
全線開通すれば、東京・品川から大阪までわずか約1時間で行けるようになるといわれています。
リニア中央新幹線が開通することで、都市間の移動者も増えることが予想されますが、このときに付随して起こるのが、その周辺の土地開発です。
新幹線の開通に伴って駅や周辺施設のリニューアル、各都市のインフラ整備や都市開発なども行われると考えられます。
このほかにも、人の動線が変わることによって、地区そのものの開発や老朽化している設備の改築や取り壊しなども進むのではないでしょうか。
そのため、リニア中央新幹線の開通は、大きな経済効果をもたらすものと予想されます。

また、東京メトロ銀座線では現在全駅のリニューアル工事を行っており、2021年には虎ノ門駅、2022年には新橋駅をリニューアルする予定としています。
駅のリニューアルに関してはデザインコンペも終了しており、すでに工事も佳境を迎えているといえますが、老朽化などによるこうした公共施設のリニューアルは今後も行われることが予想されます。


老朽化したインフラ、マンションやビルの改修

コンクリートの耐用年数は50年程度とされていますが、国土交通省によれば、道路や河川、空港などの社会資本のうち、2023年には道路橋の約39%が、水門などの河川管理施設の約42%が建築後50年以上を経過するという試算が出ています。
さらに2033年まで時間軸を広げた場合、道路橋は約63%、水門などの河川管理施設は約62%、港湾岸壁は約58%、トンネルは約42%もの割合で50年以上を経過すると考えられています。
築年数が経てば経つほどこうした施設の老朽化が進むことになりますが、これらの老朽化はインフラに影響するだけでなく、人命にも関わるところです。
そのため、今後これらの施設の建て直しなどの整備が進むことは必然だと考えられます。

老朽化しているのは社会資本だけではありません。
たとえばバブル期には多くのマンションや住宅、商業ビルなどが建設されましたが、バブルからすでに30年以上が経っており、当時立てられた建築物についても老朽化が進んでいます。
こちらも国土交通省のデータですが、2028年末に築後40~50年となる分譲マンションは約197.8万戸と考えられています。
コンクリートの耐用年数が50~60年とされていることを考えると、これらの建造物についても改修や取り壊しの工事が進められるものと考えられます。

中小企業の建設業者が今後も経営を安定させるためには、こうしたビッグプロジェクトにも積極的に関わっていくことが重要です。

さらに、経営戦略として考えておきたいのが人材不足対策です。
現在もすでに建設業では採用難が続いていますが、人口が減少し続けている日本では、採用難は今後ますます課題となるでしょう。
建設業全体で人手不足が生じた場合、どうしても大手ゼネコンなどの条件のよい会社が有利です。

人手が足りずに仕事を受注することができない事態にならないように、『できるだけ仕事を減らす』『社員を増やす』という二方向からの対策が求められます。
一例として、管理業務など定型業務のAI化、労働環境や労働条件の見直し、自社独自の強みを打ち出すなど、『この会社で働きたい』と思われるような仕組み・魅力づくりが大切です。

東京オリンピック・パラリンピック後も大きなプロジェクトが控えている建設業界。
これらを逃さないためにも、案件受注に対応できる仕組みづくりに力を入れるようにしましょう。


※本記事の記載内容は、2020年3月現在の法令・情報等に基づいています。