社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

経営の片腕となる医療コンサルタントとの上手な付き合い方とは?

20.02.04
業種別【医業】
dummy
「開業を目指している」「経営を立て直したい」「規模の拡大を狙っている」など、医院経営に関して考えていることはありませんか。
問題に取り組むにあたって重要なパートナーになるのが、マーケティングや諸準備、手続や実務のフォローを担ってくれる医療コンサルタントです。 
そこで今回は、医療コンサルタントとの上手な付き合い方を紹介します。
dummy
医療コンサルタントは主に3種類

医療コンサルタントと一口にいっても、ニーズに応じてさまざまです。
開業を支援する開業コンサルタント、経営安定まで支援する医療経営コンサルタント、病院経営を得意とする病院コンサルタントなど。
同じコンサルタントでも、目的によって支援の仕方が大きく異なるのです。
そのため、利用を考えるときは、目的を明確にし、その分野を得意とするコンサルタントが所属している会社を選ぶことが大切です。

コンサルタントを大別すると次の3種類になります。

(1)医療業界経験者(医師、看護師、薬剤師、医事、MRやメーカーの営業など)
(2)コンサルティング経験者(経営、IT、財務、人事など)
(3)民間企業出身者(経営、事業企画、営業、マーケティング、会計、財務経理の経験者など)

(1)の医療業界経験者は当然、医療の現場の諸事情を知っています。
資格によってフィールドの違いはありますが、医療者としての価値観や医療業界の通例などに理解があり、なおかつ独自の人脈や情報ソースを持っている傾向があります。
(2)のコンサルティング経験者は、頼りがいがあります。
どの業界でもコンサルティングで必要とされる基本概念やスキルは共通ですので、その経験値は信憑性があります。
(3)の民間企業出身者は、適材適所で支援チームを組む傾向です。
営業、経理、総務、SE、どの分野も院内のオペレーションにおいては欠かせない業務であり、改善や支援に役立ちます。

一口に医療コンサルタントといっても、このように背景も得意分野もさまざまです。
病院やクリニックの在り方が多様化している現代において、コンサルタントも多様化しています。
そのため、特定の分野のエキスパートが集結して、コンサルティングチームを組むといった状況が多いようです。


医療コンサルタントにおまかせはNG

医療コンサルタントに依頼しても、クリニック経営が軌道に乗るか否かは、開業者である医師にかかっています。
最悪の場合、多額の借金を背負うのは、ほかならぬ医師自身であり、コンサルタントは基本的には責任を負う立場ではありません
そのため、コンサルティング会社に依頼をしても、医師自身がしっかり状況把握し、意見や要望を伝えながら二人三脚で進めないと、気づいたら「こんなはずじゃなかった」と泣きを見ることになります。

たとえば、経営の向上を目指すにあたり、会計コンサルタントであれば、無駄なコスト削減の計画を重視して予算超えしないようにするでしょう。
企画や経営を得意とするコンサルタントであれば、売上を伸ばす事業計画や仕掛けを考えて、そこに予算を組みたがるかもしれません。
銀行などから融資を引き出すことを得意とするコンサルタントもいますし、院内環境や雇用体制を重視し、スタッフのモチベーションアップを図ろうとするコンサルタントもいます。
なかには、開業までは親切で熱心だったのに、開業後は一度挨拶に顔を出すだけというコンサルタントもいます。
その結果、予算オーバーの開業費と高額の医療機器のローン返済に苦しむことになったなどというケースもあるのです。
また、開業後の経営安定までサポートしてもらったものの、コンサルタントでなければ操作しきれないWebサイトやシステムが組まれていてランニングコストがかかったなどというケースもあります。

こうしたコンサルタントの意向を、医師自身が理解した上で進めないと、「こんなはずじゃなかった」が起こりえます。
人から紹介されることが多いコンサルタントですが、契約を交わす前に今までの実績などをリサーチして、本当に自分の目指すところと合致しているかどうかは、しっかりと見極めなければいけません。


※本記事の記載内容は、2020年2月現在の法令・情報等に基づいています。