外国人患者の受け入れ体制、整っていますか?
LCCの普及や観光地の誘致活動、2019年に新設された『特定技能』という在留資格などにより、近年急速に増加している訪日外国人。
さらに、2020年にはオリンピック・パラリンピック開催も控えており、今後もその数は増え続けることが予想されます。
これに伴い、日本国内のクリニックでは、外国人患者に対応しなくてはならない場面が増えています。
しかし、現状は外国人患者の受け入れ体制が整っているクリニックは少ないでしょう。
この機会に、『クリニックにおける外国人患者の受け入れ体制』をチェックしてみましょう。
さらに、2020年にはオリンピック・パラリンピック開催も控えており、今後もその数は増え続けることが予想されます。
これに伴い、日本国内のクリニックでは、外国人患者に対応しなくてはならない場面が増えています。
しかし、現状は外国人患者の受け入れ体制が整っているクリニックは少ないでしょう。
この機会に、『クリニックにおける外国人患者の受け入れ体制』をチェックしてみましょう。
外国人患者受け入れにおける3つの壁
外国人患者が来院したときに対応に困る点としては、主に以下の3点があげられます。
まずはこれらについて理解し、準備を進めておくことが大切です。
(1)言語の違い
外国人患者の対応の際に、大きな障壁となるのが『言語』の違いです。
外国人患者の場合も、日本人の場合と同じように症状のヒアリングをして診察するという流れになりますが、言葉が通じないために話が進まないおそれがあります。
特に、日常会話レベルでは日本語が通じたとしても、医学用語などの専門的な単語を正確に理解できる外国人患者は少ないと思われます。
クリニック側の意図をしっかり理解してもらうためには、『治療説明書』『注意事項説明書』『手術同意書』などの各種書類は、外国語で書かれたものを用意しておく必要があります。
英語のほか、中国語、スペイン語、ポルトガル語など、多言語で用意できるのが理想です。
もちろん、クリニック側も患者の話を正確にヒアリングしなければなりません。
『診療申込書』は詳細に記載してもらい、足りない部分は直接話を聞き、できる限りの情報を把握する必要があります。
また、患者が書いたものを理解できるよう、翻訳機能を入れたタブレットを準備する、外国語で対応できるスタッフを育成・配置する、インターネット電話を使った通訳を活用するなどの対策を取っておきたいところです。
(2)文化・宗教の違い
世界のさまざまな『文化・宗教』についても理解しておかなくてはなりません。
たとえば、イスラム教の女性は男性に肌を見せることを嫌がるため、男性医師の診察を拒否することがあります。
あるいは、本人が意識不明ですぐに輸血しなければならない状況なのに、宗教上の理由で患者家族から輸血を拒まれる場合もあるかもしれません。
文化や宗教の違いは医療を受ける体制にも関わってくるため、外国人患者に対応するときは、これを常に念頭に置き、対策を考えることが大切です。
(3)医療費の支払い
日本の健康保険に加入している日本人や一部の外国人なら、基本的に医療費は3割負担で済みます。
しかし、日本の健康保険に未加入の外国人観光客などの場合、全額自己負担となります。
ただし、海外旅行保険に加入していれば窓口で払わなくてもよいケースもあり、医療機関側としては、こうした違いを把握しておかなければなりません。
海外旅行保険に加入している外国人観光客に対してはどのような手続きを取ればよいのか、対応に困ったときはどこに問い合わせればよいのかを、あらかじめ周知しておくことが重要です。
また、外国人観光客の医療費の未払いが多く発生していることも問題となっています。
これを防ぐため、クレジットカードやデビットカードでの決済を導入しておくとよいでしょう。
キャッシュレス対応が普及している国もあるため、その導入についても検討しておきたいところです。
事前の確認・説明でトラブルを防ぐ
トラブルを未然に防ぐためには、『診療申込書』に以下のことを記載してもらうなどして必要な情報を確認しておくことが大切です。
【確認すること】
・外国人患者が使える言語
・通訳を希望するか
・日本の健康保険証を保有しているか
・海外旅行保険に加入している場合は、加入している会社名
・既往歴
・宗教上配慮してほしいこと
身分の偽装による診療トラブルの防止や、万が一連絡が必要になったときのために、身分証明書の確認も行っておきましょう。
また、日本と海外では診療方法が異なる場合もあるため、以下の事柄についての事前説明も必要です。
【説明すること】
・日本の医療機関での一般的な流れ
・自院で対応できること、できないこと
・保険に未加入の場合は全額自己負担になること
・診察や検査などにかかる概算医療費
・医療費の支払い方法
受け入れ先を確保しておけば安心
クリニックでは対応不可能な場合は、設備が整った病院に受け入れを求めることになります。
外国人患者受け入れ医療機関として認証されている病院が近くにあれば安心ですが、近くにそうした施設がない場合、受け入れ先となる他院と連携しておくことも大切です。
外国人観光客が増加すれば、一時的な体調不良や急性疾患など、さまざまな症状の外国人患者が病院に来ることが増えるでしょう。
そのときになって対応に困らないよう、事前に準備できるところから始めてみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2019年11月現在の法令・情報等に基づいています。
外国人患者が来院したときに対応に困る点としては、主に以下の3点があげられます。
まずはこれらについて理解し、準備を進めておくことが大切です。
(1)言語の違い
外国人患者の対応の際に、大きな障壁となるのが『言語』の違いです。
外国人患者の場合も、日本人の場合と同じように症状のヒアリングをして診察するという流れになりますが、言葉が通じないために話が進まないおそれがあります。
特に、日常会話レベルでは日本語が通じたとしても、医学用語などの専門的な単語を正確に理解できる外国人患者は少ないと思われます。
クリニック側の意図をしっかり理解してもらうためには、『治療説明書』『注意事項説明書』『手術同意書』などの各種書類は、外国語で書かれたものを用意しておく必要があります。
英語のほか、中国語、スペイン語、ポルトガル語など、多言語で用意できるのが理想です。
もちろん、クリニック側も患者の話を正確にヒアリングしなければなりません。
『診療申込書』は詳細に記載してもらい、足りない部分は直接話を聞き、できる限りの情報を把握する必要があります。
また、患者が書いたものを理解できるよう、翻訳機能を入れたタブレットを準備する、外国語で対応できるスタッフを育成・配置する、インターネット電話を使った通訳を活用するなどの対策を取っておきたいところです。
(2)文化・宗教の違い
世界のさまざまな『文化・宗教』についても理解しておかなくてはなりません。
たとえば、イスラム教の女性は男性に肌を見せることを嫌がるため、男性医師の診察を拒否することがあります。
あるいは、本人が意識不明ですぐに輸血しなければならない状況なのに、宗教上の理由で患者家族から輸血を拒まれる場合もあるかもしれません。
文化や宗教の違いは医療を受ける体制にも関わってくるため、外国人患者に対応するときは、これを常に念頭に置き、対策を考えることが大切です。
(3)医療費の支払い
日本の健康保険に加入している日本人や一部の外国人なら、基本的に医療費は3割負担で済みます。
しかし、日本の健康保険に未加入の外国人観光客などの場合、全額自己負担となります。
ただし、海外旅行保険に加入していれば窓口で払わなくてもよいケースもあり、医療機関側としては、こうした違いを把握しておかなければなりません。
海外旅行保険に加入している外国人観光客に対してはどのような手続きを取ればよいのか、対応に困ったときはどこに問い合わせればよいのかを、あらかじめ周知しておくことが重要です。
また、外国人観光客の医療費の未払いが多く発生していることも問題となっています。
これを防ぐため、クレジットカードやデビットカードでの決済を導入しておくとよいでしょう。
キャッシュレス対応が普及している国もあるため、その導入についても検討しておきたいところです。
事前の確認・説明でトラブルを防ぐ
トラブルを未然に防ぐためには、『診療申込書』に以下のことを記載してもらうなどして必要な情報を確認しておくことが大切です。
【確認すること】
・外国人患者が使える言語
・通訳を希望するか
・日本の健康保険証を保有しているか
・海外旅行保険に加入している場合は、加入している会社名
・既往歴
・宗教上配慮してほしいこと
身分の偽装による診療トラブルの防止や、万が一連絡が必要になったときのために、身分証明書の確認も行っておきましょう。
また、日本と海外では診療方法が異なる場合もあるため、以下の事柄についての事前説明も必要です。
【説明すること】
・日本の医療機関での一般的な流れ
・自院で対応できること、できないこと
・保険に未加入の場合は全額自己負担になること
・診察や検査などにかかる概算医療費
・医療費の支払い方法
受け入れ先を確保しておけば安心
クリニックでは対応不可能な場合は、設備が整った病院に受け入れを求めることになります。
外国人患者受け入れ医療機関として認証されている病院が近くにあれば安心ですが、近くにそうした施設がない場合、受け入れ先となる他院と連携しておくことも大切です。
外国人観光客が増加すれば、一時的な体調不良や急性疾患など、さまざまな症状の外国人患者が病院に来ることが増えるでしょう。
そのときになって対応に困らないよう、事前に準備できるところから始めてみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2019年11月現在の法令・情報等に基づいています。