社会保険労務士法人なか/労働保険事務組合福働会/福働会中部支部

オリンピック前に進めておきたい、自社Webサイトのグローバル化

19.09.10
ビジネス【マーケティング】
dummy
Webサイトをグローバル化し、自国以外からのアクセス増加を図るのは、海外の企業では当たり前のこと。
しかし日本国内に目を向けて見ると、対応できている企業はまだ少ないのが現状です。
東京2020オリンピック・パラリンピックを来年に控え、世界中から日本に大きな関心が寄せられているなか、Webサイトのグローバル化は今後必要不可欠になることが考えられます。
今回は、新たなビジネスチャンス獲得にもつながる、海外ユーザー向けのWebサイトの展開についてご説明します。
dummy
訪日外国人客数の増加をチャンスに

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2019年6月の訪日外国人客数は288万人となりました。前年の2018年6月から17万人以上も増えており、1964年の統計開始以降、6月としては過去最高を記録。
今後もより一層、海外から日本への関心が高まることが予想されます。
このような背景から、自社の商品やサービスを海外に向けてアピールし、国外の顧客を獲得できる絶好のチャンスが到来しているといえるでしょう。
そのなかで、Webサイトのグローバル化は、最も力を入れるべき課題の一つです。
ビジネス拡大を狙った、海外の潜在ユーザーへ向けたWebサイトづくりは、どのように進めていけばよいでしょうか?

多言語化への対応から第一歩を

日本企業のWebサイトは、その多くにおいて表示言語が日本語のみとなっており、海外からのアクセスがのびない原因となっています。
日本語以外の対応ができていても、英語くらいです。
海外のユーザーが、多言語化に対応できていない日本企業のWebサイトにアクセスする場合、PCの言語を母国語に切り替える必要があります。
この手間が、ユーザー離れを引き起こしてしまっています。

あなたがWebサイトを見るとき、読めない外国語のサイトを開いても、すぐに閉じてしまうはずです。
英語や中国語のサイトならなんとか読めたとしても、スペイン語やアラビア語などのページであれば、まったく読めないのが正直なところではないでしょうか。
海外のユーザーが日本企業のWebサイトを見るとき、これと同じことが起こっているのです。

2019年4月、市場調査機関『インターネットワールドスタッツ』が行った調査によれば、現在Web上で使用されている言語の割合は、英語が25.2%とトップですが、その下に中国語19.7%、スペイン語7.9%、アラビア語5.2%と続きます。
ちなみに日本語は、わずか2.7%です。
つまり、日本語にしか対応していないサイトは、残りの97.3%のユーザーを取りこぼしていることになります。
また英語に対応していたとしても、世界全体で見れば残り4分の3のユーザーにリーチしていないことになります。
近年はWebサイトの多言語化ツールも増えてきており、多言語化を意識する企業も少しずつ現れてきています。
ページを開いたユーザーを取り逃がさないためにも、より多くの言語に対応できる対策を講じてみる必要があるのではないでしょうか。

一人ひとりに向けたサービスを提供する

また、日本の企業ではあまり浸透していない『パーソナライゼーション』という手法も、海外ユーザー向けには有効といえます。
これは、ネットサービスやオンラインショップなどのWebサイトで、ユーザーの閲覧状況や購買履歴からデータを解析し、一人ひとりに適した商品や情報を提供することを意味しています。
具体的な活用例として有名なところでは、AmazonやYouTubeが、このパーソナライゼーションを上手にコンテンツに活かしています。
Amazonでは、ユーザーの過去の購入履歴から、『あなたへのおすすめ』という形で、ユーザーが関心を持つであろう商品が一覧となって提示されます。
YouTubeも同様で、ユーザーの過去の視聴履歴から、『おすすめの動画』という形で、ユーザーの好みに合いそうな動画を表示してくれます。

このようなパーソナライゼーションは、不特定多数に向けた情報を、各ユーザーに絞って届ける行為でもあります。
ユーザー自身はその情報を『自分個人に向けてのもの』と捉えることができ、そのWebサイトへの親和性を強く感じることができます。
その結果、商品の購入に結びつくかもしれませんし、ほかのユーザーに商品を広めてくれるかもしれません。

日本国内の企業のWebサイトに目を向けてみると、膨大な顧客情報の取得や管理の手間、また安全面への懸念などがネックとなって、パーソナライゼーションはそこまで浸透していないのが現状です。
しかし近年は、業種別に細分化されセキュリティを強化した顧客管理システムも多数開発されてきており、Webにおいてのパーソナライゼーションへの取り組みを後押ししてくれるはずです。

東京2020オリンピック・パラリンピックのタイミングに加え、世界全体でのグローバル化が加速度的に進む現代。
ビジネスチャンスを掘り起こす意味でも、海外ユーザーを意識した自社Webサイトの見直しを、一度検討してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2019年9月現在の法令・情報等に基づいています。